動物の異常 最期の食糧危機 異常な現象

南アフリカの農作地が「過去最大級のイナゴの大群」により荒廃し続けている

投稿日:2022年3月26日 更新日:


dailymaverick.co.za




 

これもまた食糧問題と関係するもので…

南アフリカが過去最大級のイナゴの大群の被害に見舞われていると報じられていました。

思えば、最近は忘れていましたけれど、パンデミックが始まった 2020年は、世界中で、イナゴの被害が相次いでいました。

以下のような記事などいくつかで取り上げたことがあります。

 

[記事] 世界は「疫病、イナゴの厄災、大洪水の連続」に同時に見舞われていて、どれも深化し続ける
 In Deep 2020年3月7日

[記事] インドの歴史上最悪のイナゴ襲来のカタストロフに見る世界的な食糧危機、化学物質にまみれる大地…
 In Deep 2020年5月28日

 

このイナゴというのも、激しく農地と農作物を荒らすものであり、上の記事でご紹介しました 2020年5月の報道には以下のようにあります。

 

> これはインドが過去 30年近くのあいだに経験した最悪のイナゴの大群の 1つだ。このイナゴたちによって約 50,000ヘクタールの耕作地が破壊され、インドは 1993年以来の最悪の食糧不足の危機に直面している…

> …FAO の推定によると、4000万匹のイナゴの群れは 35,000人分もの食糧を食べるという。すでに、インドのイナゴは、ラジャスタン州とマディヤプラデーシュ州の農作物を破壊している。(DW)

 

この年は、アフリカの一部、中東、インド、パキスタン、中国などでイナゴの被害が拡大しましたが、今年は、アフリカ南部から始まっているようです。

アフリカや中東諸国は、小麦やトウモロコシの輸入を、ロシアとウクライナに依存している国が多いですが、そのロシアとウクライナは現在、穀物の輸出を禁止しています。

[記事] ロシア政府が「小麦、大麦、トウモロコシなどのすべての穀物の輸出禁止」に言及。3月15日から
投稿日:2022年3月15日

[記事] 世界第5位の小麦輸出国であるウクライナが、小麦を含む「すべての穀物の輸出を禁止」する緊急命令を発表
投稿日:2022年3月10日

 

さらに、ロシアやウクライナで肥料の輸出禁止が行われていたり、あるいは肥料の生産には、天然ガスが不可欠ですが、その価格も高騰しているため、肥料価格の高騰に歯止めがかかっていません。

英国のコンサルティング企業は、「肥料価格が過去最高値に達した」と発表しています。

[報道] 英国のコンサルティング会社が「肥料価格が史上最高値に達した」と発表 (2022/03/22)

主要国の農家の方々でも、肥料の問題には苦労していると思うのですが、アフリカを含めた主要国以外では大変な負担になっている可能性があります。

そこに「イナゴの問題が発生」ということで、この秋に向けての食糧の問題は非常に厳しくなる可能性がさらに高まっています。

南アフリカの報道をご紹介します。


南アフリカの農家は、聖書のシーンのようなイナゴの大群を制御するために戦っている

SA farmers battle to control locust swarms of biblical proportions
dailymaverick.co.za 2022/03/15

南アフリカの農業産業団体 Agri SA によると、近年最大のイナゴの大群が発生しており、農家は、農務省の支援を受け、土地と食糧を保護するためにあらゆることを試みている

南アフリカの北ケープ州、西ケープ州、東ケープ州の農家が、数千ヘクタールの放牧地に被害を与え、作物を食べ続けるイナゴの大群の制御に苦労している。

南アフリカの農業産業団体によると、これは近年最大のイナゴの群れの 1つであり、農務省の支援を受けて、農家は土地と食糧を保護するためにあらゆることを試みている。

北ケープ州の農民バリー・ノーデ氏は、イナゴが彼の農場に甚大な被害をもたらしたと語った。

「 4年間の干ばつから抜け出し、ようやく昨年 11月に雨が降りました。ところが、その雨が、イナゴの壊滅的な騒乱を引き起こしました」と彼は言った。

ノーデ氏は羊の飼料のための放牧地を失ったと述べた。

イナゴは 3月9日の午後に北ケープ州のリッチモンドにある農場に到来し、しばらくそこにいたが、次日の午後に飛び去りった。イナゴが食べるものがなくなったのだ。

「イナゴは多大な荒廃の痕跡を残しました。これは最近の最大の群れの 1つとして数えられるに違いありません。…それらは約 5,000ヘクタールの農作地をカバーし荒廃させました。…これは約 10,000のラグビー場の面積と同じです」とノーデ氏は言った。

農業産業団体 Agri SA のリスクおよび災害マネージャーであるアンドレア・キャンパー氏は、これは彼らが長年見た中で最大のイナゴの発生の1つであると述べた。

「イナゴの発生は、北ケープ、西ケープ、東ケープなどで発生しています。通常、普通以上の降雨量があった場合、イナゴや害虫病の発生は起こります」とキャンパー氏は述べた。

「これらの大群のいくつかは、面積が 5キロメートル x 20キロメートルに達していると推定しています。直径 4,000ヘクタールを超える面積の大群があると言う人もいます」とキャンパー氏は言う。

キャンパー氏は、この大群の発生は、地上からのコントロールチームの能力を超えており、空中からの殺虫剤散布が必要であり、政府と組織化された農業団体の支援で現在動員されているという。

彼女は、イナゴは、トウモロコシやヒマワリなどの農作物に被害を与えるため、灌漑地域に大群が到達する前に発生を制御することが重要であると述べた。

殺虫剤の空中散布を行っている一人である、クリストフ・バーミューレン氏は、彼らの最大の課題は殺虫剤を手に入れることであると言う。

「ある日、殺虫剤があっても、翌日にはないのです」と彼は述べた。

バーミューレン氏によると、地上の管理スタッフたちは 11月から無給で働いているという。

「地上の管理スタッフたちは収入を得ていないため、継続してイナゴの制御にあたることを躊躇しています。給与の支払いがないため、すべての農家が自分たちで自分の農場に殺虫剤を散布する必要があります。しかし、一般的な農家はイナゴを効果的に管理するための設備を持っていません」

バーミューレン氏には彼らのヘリコプターは、20分ごとに 100ヘクタールに噴霧していると言った。

「イナゴは東ケープに甚大な被害を与えました。現在、大群が灌漑地帯に行く前に、イナゴを止めようとしています。私たちは大群をコントロールするために最善を尽くしていますが、南アフリカ政府が十分な殺虫剤を持っていないため、私たちは困っています」と彼は述べる。

ウィットウォーターズランド大学の動植物環境科学部長であるフランシス・ダンカン教授は、この大群は、茶色のイナゴ Locustana pardalinaであり、乾燥した地域での生活に適していると述べた。

「メスは乾燥した土壌に産卵し、卵は水不足に対処することができます。卵は休眠状態で少なくとも 1〜2年間、場合によってはそれより長く土壌にとどまる可能性があります。メスのイナゴは毎年同じ地域に産卵する傾向があります」と、 ダンカン教授は述べる。

教授は、灌漑地帯には常に群れていないイナゴが存在しており、そのいくつかの卵はほとんど降雨なしで孵化するため、イナゴの個体数の増加が今後も継続することは確実だと述べている。

この灌漑地域は、8年から 10年の干ばつを経験した後、昨年、平均以上の降雨量を示し、その結果、イナゴの群れが発生したと教授は述べた。

そして以下のように述べた。

「現在、南アフリカは、気候サイクルの 1つの相である弱いラニーニャ現象の結果として、平均以上の夏の降雨を経験しています。イナゴの大群の発生は気候事象と関連しているため、気候変動がイナゴの大群の発生サイクルを変えると予想されます」

「南アフリカでの何年にもわたる干ばつの間は、イナゴの大群は発生しませんでしたが、その間、休眠中の卵の蓄積は続いていました。これらの卵は、初夏の雨が降り始めると孵化します。したがって、気候変動はイナゴの大軍の発生頻度と、発生の間のサイクルに影響を与える可能性があります」

ダンカン氏は、イナゴの大群を見つけるためにイナゴの発生地域を監視することが、イナゴの発生を阻止する最も効果的な方法であると述べた。

イナゴの大群は 1日 1〜 2 キロメートル移動することができ、夜は茂みの中をねぐらとする。イナゴが暖まり、動くことができる前の早朝にこれらの茂みに化学物質を使用すると、ほとんどのイナゴが死んでしまうという。しかし、この感慨地域は、人口がまばらで農場の規模が大きいため、監視できる範囲は限られていると教授は言う。

ダンカン教授によると、南アフリカ農業省はイナゴの化学的管理の方法を調査したが、数年前にこのイナゴ研究ユニットは閉鎖された。

「より良い制御戦略を開発できるように、イナゴの行動をよりよく理解する必要があります」と教授は付け加えた。







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