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肥料の原料「硝酸アンモニウム」の世界最大の輸出国であるロシアが、輸出を停止

投稿日:2022年2月28日 更新日:


ロシアから輸入されたブラジルでの肥料。 mercopress




 

最近は、食糧生産の観点から、「ああ、これも良くない」と思うニュースが多いですが、

「ロシアが肥料の原料の輸出を完全に停止した」

ことを知りました。

これは、現在のウクライナとの問題の以前のことであり、2月1日にロシアの国営通信社であるタス通信が伝えたものです。

ロシアが硝酸アンモニウムの2か月間の輸出禁止を導入 - 政府

ロシア政府は、4月2日までの2か月間、硝酸アンモニウムの輸出を禁止した。硝酸アンモニウムの輸出に対する2か月間の禁止は、2月2日から発効する。

tass.com 2022/02/01

この硝酸アンモニウムというのは、Wikipedia によりますと、日本では肥料の原料としてはほとんど使われていないようなのですが、世界各国では肥料の原料として広く使われているもので、そして、この硝酸アンモニウムのロシアの輸出量は世界一であり、生産量も世界一です。

こちらのページにある国別の硝酸アンモニウムの輸出量の比較のページによりますと、以下のようになっています。

1位 ロシア  365万2445トン
2位 米国    58万334トン
3位 リトアニア 44万7219トン

というようになっていまして、他の国とは比較にならない輸出量です。生産量は、世界生産の 3分の2を占めているという報道もありました。

ロシアから肥料の原料を多く輸入している国では、今後の大きな影響が予測されています。

また、日本ではこの肥料の原料は使われていないとはいえ、日本で食糧となっている野菜や果物は、圧倒的に海外からの輸入品であるわけで、今回のロシアの肥料輸出禁止は、世界全体の農業生産と食糧価格に影響を与える可能性があります。

ロシアの肥料の輸出禁止の期間は、タス通信では「 2ヵ月間の限定」とありますが、今のように「ロシアに対して世界中での制裁が続発している中」で、ロシアが 4月から肥料の輸出を再開するようには思えません

肥料に関しては、日本で使われている肥料の原料であるリン酸やカリウムといったものも価格が高騰していて、以下の韓国の日本語の報道のタイトルで現状がおわかりになるのではないかと思います。ちなみに、今回ご紹介する報道で知りましたが、中国も現在、重要な肥料の原料であるリン酸の輸出を停止しているのですね。

(報道) 尿素など価格急騰…「1トンの肥料の方が1トンのコメより高い」食糧難懸念 (hankyoreh 2021/11/09)

 

その中で、ロシアの肥料材料の輸出停止となっています。

今後は食糧問題は、生産者の方々も含めて、これまでになく厳しくなっていくと思われます。

以下は、ロシアからの肥料の最大の輸入国であるブラジルについてのアメリカの報道です。


ロシアの肥料の輸出禁止は、ブラジルのトウモロコシ生産に厳しい影響を与えると見られる

Russia Bans Fertilizer Exports; Will Weigh on Brazil Corn Crop
Gro Intelligence 2022/02/05

世界最大の肥料輸出国であるロシアが、硝酸アンモニウムの輸出を 2か月間禁止した。この動きは、特に成長期の臨界点にある南米への肥料供給を減らす恐れがある。

ブラジルは、ロシアからの硝酸アンモニウムの最大の輸入国だ。

ブラジルの大規模な二期作トウモロコシ栽培は、大豆収穫後の数週間で植えられ、その際に、多くの分野で窒素肥料が必要になる。ブラジルは、ほとんどの年で世界第2位のトウモロコシ輸出国だ。

それがなくとも現在、南米のトウモロコシと大豆の作物の見通しは悪化しており、ラニーニャ現象によってアルゼンチンとブラジル南部で 2年連続の干ばつが発生し、収穫量と生産予測が低下している。

硝酸アンモニウムと尿素は、世界で最も使用されている肥料である窒素肥料の 2つの主要な原料だ。

アメリカ国際貿易局は先週、調査の結果、アメリカで硝酸尿素を公正な価格で販売されていないことが判明した後、ロシア、トリニダード・トバゴからの硝酸尿素の輸入に対する相殺関税を発表した。

4月1日まで続くロシアの新しい硝酸アンモニウムの輸出禁止は、ロシア国内でより多くの肥料供給を維持し、ロシアの国内価格を管理することを目的としている。

この動きは、2022年6月まで続くリン酸肥料の輸出に対する中国の禁止に続くものだ。

アメリカはロシアの硝酸アンモニウムの直接の購入者ではないが、ロシアの新たな輸出禁止により、アメリカの肥料価格が上昇する可能性がある。昨年以来、肥料の原料である尿素の現金価格がアメリカ中西部でほぼ 90%上昇し、先物価格はほぼ 30%上昇している。

アメリカの農家はまもなく春作物の植え付けを開始する。肥料価格の上昇は生産コストに影響を与え、肥料を多く含むトウモロコシ作物から生産者の 2022年の作付面積の決定を遠ざける可能性がある。







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