干ばつが激化するスペイン。eastcoastdaily.in
オーストラリアは観測史上最も寒い5月に
最近の世界や気温や気象のニュースを並べていますと、地域としての整合性がどこも全然ない感じで、たとえばベトナムでは、北中部地方ゲアン省で、44.1℃というベトナムでの観測史上最高の気温が記録されています。
まだ 5月なんですが、各地で以下の様相のようです。英 BBC の報道です。
気候変動: ベトナムは 44.1C の史上最高気温を記録
BBC 2023/05/08
ベトナムで、44℃をわずかに超える史上最高の気温を記録した。専門家たちは、気候変動のためにすぐにそれを超えるだろうと予測している。
この記録は北部のタインホア州で設定され、当局は日中の最も暑い時間帯に屋内にとどまるよう人々に警告した。この地域の他の国も、非常に暑い気候に見舞われている。
タイは、西マク州で記録的な 44.6C を記録したと報告した。一方、ミャンマーのメディアは、東部の町で 10 年間で最高気温となる 43.8 度を記録したと報じた。
両国ともモンスーンシーズンの前に暑い時期を経験するが、暑さの激しさはこれまでの記録を破っている。
さらに西にあるバングラデシュの首都ダッカでは、1960年代以来の最高気温が記録され、インド当局は、国の一部で平年より 3 ~ 4℃高い気温が発生していると述べた。
4月、スペインはその月で史上最高の気温を記録し、国の南部にあるコルドバ空港で 38.8C を記録した。
この記事では、気候変動だ地球温暖化だという部分がたくさんありますが、そのようなブレインデッドな部分は割愛しています。
ここまで極端だと、気候変動というような曖昧な概念ではなく、直接的な「作用」が関係しているはずです。
先月の 4月は、東アジア、東南アジアから中東まで、アジアではわりと広く過去最高の平均気温だったことが伝えられています (後述しますが、アジアも気温の傾向もバラバラですが)。
暑い寒いというより「安定していない」んですよ。
上の BBC の記事に、
> インド当局は、国の一部で平年より 3 ~ 4℃高い気温が発生している
とありますが、「インドの他の一部」では以下です。5月ですよ。
本当に今は5月なのか? カシミールとヒマチャルの一部での雪は、北インドの夏の到来を遅らせる
Hindustan Times 2023/05/09
5月の異常な降雪が、ジャンムー & カシミール州とヒマーチャル・プラデーシュ州のいくつかの町を襲い、平均気温は 1951年以来最低の水準となっている。
5月の降雪は、ヒマラヤ山脈の高地では珍しくないが、標高の低い町では珍しい。この傾向は通常より懸念されるようであり、気候危機がそのような異常気象につながると予測されている時期に来ている。
ジャンムー & カシミール州とヒマーチャル・プラデーシュ州のいくつかの町では 5月8日にも降雪が記録され、これらの地域は 5月の夏の異常な寒さの期間に突入し、他のまれな天候の発生がインド全土で記録されている。
オーストラリアも 5月としては記録的な寒さです。
寒冷前線がオーストラリアの大部分に雪と雹をもたらす - ニューサウスウェールズ州とオーストラリア首都特別地域の一部で記録された5月の記録的な寒さ
ABC 2023/05/08
暦の上ではまだ冬ではないが、冬の天候がオーストラリアに到来した。予報官たちは、霜が降りる状態はまだ終わっていないと言う。
南極大陸からの氷のような空気が強い寒冷前線によって東部の州に押し出されたため、週末にはオーストラリア南東部の大部分が凍結状態に陥った。
ニューサウスウェールズ州全体で、5月7日の気温は通常より 4 ~ 8 ℃低く、州の大部分に雹が降りた。 州の南東部では特に涼しく、一部の町では 5月の最低気温記録を更新した。
5月8日日の朝、バサースト、オレンジ、コバーを含む多くの内陸部では最低気温が氷点下まで下がった。
気温が急落すると降水量も増え、高山地域では今年最初のまともな雪が降った。
アメリカのミシガン州では、平地で雪が降り続けています。
雪が5月にミシガン州を襲う:「終わりのない冬のように感じる」と住民は言う
mlive.com 2023/05/02
春が正式に到来してから 1か月以上経った 5月1日になっても、ミシガン州の一部では冬が明けていない。
北部では 45センチの雪が降り、さらに雪が積もる見込みだ。
長年の住人であるマンディ・カールソン・ムービスさんは、イシュペミングの自宅で降った雪の量が信じられないと言う。彼女によると、雪は真夜中頃から降り始め、午後 7時現在も降り続いており、終わりが見えない。
「終わりのない冬のように感じます」とメビウスは MLive に語った。「雪はほとんどなくなっていたのに、また戻ってきました」
気候変動だなんだというより、単純に気候がカオス化している。
「やや暑い」とか「やや寒い」ということではなく、いくつかの地点で、観測史上最高気温とか観測史上最低気温が更新されているわけで、地球単位で整合性がなくなっているように見えます。
たとえば、以下は、2023年4月のアジアの平年との気温の差異です。
2023年4月の月間のアジア地域の「平年との気温の差異」
nofia.net
以下は、北米大陸の 2023年5月1日の平年との気温の差異です。
北米の平年との気温の差異 (西側は異常高温、東部は異常低温)
nofia.net
北米の場合、寒い地域のほうが圧倒していますが、暑いほうも平年との差異が普通ではないです。
こういう異常な気温の状態でもっとも懸念されるのは「食料生産」についてのことで、今年は、まだ春なに、すでに以下のような気候による農業生産の問題が起きていることを記事にしました。
[記事] スペインで過去最悪級の干ばつ(まだ春なのに)。「数ヶ月断水」している地域も
2023年4月21日
[記事] 温暖だった春の中国に突然の異常寒波。気温は20℃以上下がり、異例の春の雪も。農作にも影響が
2023年4月26日
[記事] アメリカ最大の農業生産地であるカリフォルニアが前例のない歴史的な洪水に襲われており、過去最大の作物の損失が起きている
2023年3月22日
[記事] 複数のインドの主要な小麦生産州が、猛暑から一転して「雹(ひょう)嵐」に見舞われ、膨大な作物の損失が報告される
2023年3月21日
[記事] まだ春前なのに、ヨーロッパを蝕みつつある前例のない干ばつ。食糧問題はほぼ確実に加速する見込み
2023年3月9日
そして、5月現在、それ以前から気温が高くて干ばつ状態だった国や地域は、さらにそれが激しくなっており、オーストラリアやインド、アメリカの一部のように、「冬が終わらない」地域は今も寒いままです。
そして、影響を受けている国々が、
「農業大国ばっかりじゃん」
ということに気づきます。
これらの地球の異常な気温の状態について、米国ゼロヘッジは、エルニーニョの初期の徴候ではないかと書いていました。
> アジアの熱波とヨーロッパの記録的な高温は、今年の夏、北半球全体で平均以上の気温を解き放とうとしている新たなエルニーニョ現象の初期の徴候である可能性がある。 zerohedge.com
エルニーニョは正式にはまだ始まっていないですので何ともいえないですが、何の影響であるにしても、まだ 5月ということを考えますと、食料生産の大国であり、人口が世界で最も多い国であるインドの異常気象や、他の農業国の多くが異様な気温、降水(降りすぎるか、あるいは全然降らない)の状況に見舞われています。
これが夏や秋まで続くと混乱はかなり広がるのではないでしょうか。
日本のこの夏の気象がどうなるのかは今はわかりません。