最期の食糧危機 洪水の時代 異常気象

アメリカ最大の農業生産地であるカリフォルニアが前例のない歴史的な洪水に襲われており、過去最大の作物の損失が起きている

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2023年3月10日 カリフォルニア州サリナスの畑で立ち尽くす男性。 Fox Weather




同州では前例のない大洪水

最近は金融問題などで揺れているアメリカですが、アメリカは農業大国でもあります。そして、米国内の農産物の「約半分」が、カリフォルニアで生産されています

そのカリフォルニアがこの数週間、苛酷な悪天候に見舞われ続けていまして、繰り返す「洪水」により、農作物が徹底的なダメージを受けていることが報じられています。

正確には、カリフォルニアでは、米国の野菜の 3分の1以上、果物とナッツの 4分の3が栽培されています。カリフォルニア州食品農業局のページによれば、以下がカリフォルニア州のトップ生産物です。

カリフォルニア州のトップ 10 農産物

乳製品、牛乳 — 75.7億ドル (約 1兆円)
ぶどう — 52億3000万ドル (約 6900億円)
アーモンド — 50.3億ドル (約 6600億円)
牛と子牛 — 31億1,000 万ドル (約 4100億円)
いちご — 30億2000万ドル (約 4000億円)
ピスタチオ — 29億1000万ドル (約 3800億円)
レタス — 20.3億ドル (約 2600億円)
トマト — 11億8000万ドル (約 2500億円)
くるみ — 10億2000万ドル (約 1300億円)
米 — 10億ドル (約 1300億円)

cdfa.ca.gov

 

予想以上の大生産州であるわけですが、そんなカリフォルニア州がダメージを受けると、特にこれらにあるような生産物の供給が非常に深刻になることが予測されます。

もともと、カリフォルニアは、少なくとも昨年までは、深刻な水不足と干ばつが最大の問題でした。昨年の春などは、カリフォルニア州にも水を供給しているダムの水位が過去最低となり、水供給が危ぶまれていました。

アメリカ西部7州の500万人に電力と飲料水を供給しているパウエル湖の水位がダム建設以来の最低レベルとなり、電力供給危機に直面。連邦政府は緊急行動を検討
地球の記録 2022年4月17日

 

ところが、その 1年後の今、カリフォルニアは、水不足どころか、

「史上最大の洪水に見舞われている」

のです。

さらにいえば、今後の見通しも良いとはいえず、なぜかというと、今年のカリフォルニアは、「異常に雪が多かった」のです。それがまだ溶けてない。

以下は、3月13日の報道ですが、こんな状態が地域的にまだ続いています。

カリフォルニアに再び雨と雪 山岳部ではすでに50センチの積雪 34の郡に非常事態宣言

天候不順となっている米カリフォルニア州では12日に「大気の川」と呼ばれる新たな細長い水蒸気帯が流れ込むことが予想されており、当局では警戒を呼びかけている。

サンフランシスコとロサンゼルスの中間に位置している海岸地帯ではここ 2日間で 300ミリの雨が降り、道路は各所で冠水もしくは寸断。モンテレー郡では 8500人が避難しており、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は 34の郡に対して非常事態宣言を発令している。

シエラネバダ山脈に接する山間部の積雪はすでに平年の 2倍で、過去 40年では最多となる 50センチの積雪となっており、ここ 3年続いた渇水対策には有効ではあるものの、大量の雪解け水が平野部に流れ込む可能性があり、もともと乾燥した気候のカリフォルニア州は“許容限度”を超える事態と直面している

sponichi.co.jp 2023/03/13

 

今、アメリカ西部の雪の状況がすごいのです。ユタ州では、観測史上最高の総積雪量となったと昨日報じられていましたが、何と、総積雪量が 17.8メートル。

米ユタ州で観測史上最大の「17メートル超」の総積雪量が記録される (2023年3月22日)

 

カリフォルニアでは、山間部の一部でまだ雪が降り続いていて、これらの「史上最多の雪」が、今後一気に溶けてきます

そして、先ほどの報道にもありました「大気の川」と呼ばれる暴風雨なのですけれど、これも繰り返されています。

前回、インドで異常気象により農作物が大きなダメージを受けていることを以下の記事でご紹介させていただきました。

複数のインドの主要な小麦生産州が、猛暑から一転して「雹(ひょう)嵐」に見舞われ、膨大な作物の損失が報告される
地球の記録 2023年3月21日

 

インドは農業大国で、そして、カリフォルニア州も大農業地域でもあります。そのどちらも今ダメージを受けています。

今後のことはわからないですけれど、ただ、先ほどのカリフォルニア州食品農業局のページからは、経済的なことも含めて、影響は大きいと思われます。

アメリカにおいて、一部の野菜や果物の価格が高騰する、あるいは、供給が不安定になることは避けられないですが、日本にまで影響があるかどうかはわかりません。

とはいえ、日本にもまったく影響がないということは難しそうです。

アメリカの報道をご紹介します。




 

カリフォルニア州の洪水が作物に損害を与える

CALIFORNIA FLOODS DAMAGE CROPS
Supermarket News 2023/03/20

カリフォルニア州全体の生産者と出荷業者たちは、今年 2番目に大きな暴風雨が州を襲ったことによる損害を集計している。

過去 2週間で 12人が死亡した雨と洪水は、作物に 3億ドル (約 400億円)の損害を与えた。 サクラメントに本拠を置くカリフォルニア州農業局によると、スポークスマンのデイブ・クランツ氏は、被害のほとんどがモントレー郡で発生したと述べた。

サリナスを含む郡は、約 2億ドル (約 260億円)の損害を被ったと彼は述べた。州全体で、レタスは 6,700万ドル、ブロッコリーは 6,500万ドル、カリフラワーは 6,500万ドル、アーモンドは 3,300万ドル、イチゴは 2,900万ドルの被害を受けた。

生産者たちは長期的な被害を評価しているが、週末にかけてさらに雨が降る可能性に備えているとクランツ氏は言った。「これは大混乱であり、これがどれほど悪いかを知るにはまだしばらく時間がかかるでしょう」と言った。

クランツ氏によると、先週の時点で、卸売価格は依然として比較的安定していたという。彼は、これらの作物の価格の上昇は、4月から始まり、夏まで続く可能性があると述べた。

特に、レタスの主な生育地域は大きな打撃を受けたとクランツ氏は述べた。

「この春、レタスは 1個 2ドル (約 260円)になる可能性があります」と彼は述べた。

カリフォルニア州が 1月に受けた豪雨と洪水が問題を悪化させていると彼は言う。「地面はすでに水が飽和しており、現在は、土が水を通常ほど吸収しないのです」と言う。

カリフォルニアのマン・パッキング社は生鮮ブロッコリーの主要な荷主であり、同社の貿易およびメディア関係のディレクターであるロリー・ヌッチ氏によると、同社は、2日間の生産停止となり、一部の作付面積を失った。

「供給は幾分減少するでしょう。短期的だとは思いますが、供給危機があると思います」と彼女は言った。先週、マン・パッキング社は生産を再開したが、ヌッチ氏は生産が制限される可能性があると述べた。

ヌッチ氏は、一部の小規模な生産者たちにとって、現在の状況はかなり悪いように見えるという。生産者たちのいくつかの畑は完全に一掃された可能性があると述べた







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