少し前に、ブラジルでの新型コロナウイルスでの感染確認数と死者数の激しい上昇が 3月に入って以来続いていることを以下のふたつの記事で取り上げました。
ブラジル(人口2億人)の新型コロナの死者数が、アメリカ(人口3億人)をパンデミック以来、はじめて上回る
投稿日:2021年3月11日
900万人以上にワクチン接種が完了したブラジルで、接種開始後1ヵ月半の時点で「コロナの死者数が過去最大」に
投稿日:2021年3月5日
その後も、死者、重症者が増え続ける中で、ブラジルの公衆衛生研究所であるフィオクルスは、公式に「衛生上の危機」を警告しました。
この衛生上の危機は、ブラジルの統計やグラフなどを見ますと、「本当」のように見え、日本や欧米の一部でこれまで言われていたような「本当は医療崩壊などしていないのに、そのように発表している」というものは異なる感じです。
以下は、ブラジルでの死者数の推移です。
2021年3月13日までのブラジルの新型コロナウイルスの死者数の推移
Fiocruz
なお、このブラジルの公衆衛生研究所のグラフは 3月13日( 1日の死者数が 1940人)までですが、公式の統計では、この後の 3月16日に過去最大をさらに更新し( 1日の死者数が 2798人)、増加の勢いがさらに増しています。
感染確認数も同じようなグラフを描いています。
また、重症度の国全体への広がり方がすごいのです。以下は、ブラジルの公衆衛生研究所が出した医療警告マップで、医療危機の度合いを色で示したものです。
・赤 危機的
・黄 警報
・緑 正常
となっており、3月に入ってからは、ほぼブラジル全土が危機的な状態に陥っていますが、とても短期間でこのようになったことがわかります。
ブラジルの「医療崩壊危機」マップ
Fiocruz
なぜ、こんなことになってしまったのかについては、いろいろと考え方はあると思われます。
メディアは、「亜種」や「変異種」という言葉でこれを説明していますが、最初にこれらの危険な変異種が出現したとされるのは、ブラジルの他に、英国と南アフリカですが、英国と南アフリカでは、死者は増加していません。
ブラジルだけが危機的な状況となっている。
個人的には、やや考えられる理由もないではない部分もあるのですが、ここでは推測のようなことは書きません。
「仮に」このような惨状が、他の国にも伝播していった場合、「最初に戻る」ことになります。これまでのあらゆる対策も最初に戻ることになります。
そのような可能性は日本にもあるかもしれません。
ブラジルは温暖な気候の場所が多いですので、「これから暖かくなるから感染拡大は収まっていく」という条件は、まったく無効となることがわかります。
場合によっては、事態は新しい局面に入っていくかもしれません。
ブラジルの医療崩壊を伝える報道をご紹介します。
ブラジルでの完全な医療崩壊の警告
vg.no 2021/03/18
ブラジルが悲惨な記録を破り続けている。医療サービスは現在、ブラジルの歴史の中で最大の崩壊を報告している。
ブラジルの公衆衛生研究所フィオクルスは、最新の報告で、国中の非常に危機的な状況について警告している。フィオクルスの研究者たちによる分析は、現在、ブラジルの歴史の中で最大の医療制度の崩壊が起きていることを示している。
ブラジル 27州のうち 24州で、集中治療室が 80パーセント以上の占有率となっており、そのうちの 15州では、占有率が 90パーセント以上を示している。
3月16日には、ブラジルの新型コロナウイルスでの 1日での死者数が、過去すべての記録を更新した。この日、ブラジルで新型コロナウイルスに感染したうちの 2841人の死亡が記録された。
約 2億1200万人の人口のブラジルでは、コロナで合計 282,127人の死亡が記録されている。
打撃を受けたブラジルは、2億1200万人の人々に十分なワクチンを入手するのに苦労し、ロシアのワクチン「スプートニクV」 1000万回分を購入した。ただし、これは最初に承認される必要がある。
一方、英アストラゼネカのワクチンと中国のワクチン(CoronaVac)がブラジルでは使用されている。両方とも 2回の投与が必要だ。現在、ブラジルの人口の約 4.2%がワクチン投与を受けており、1.4%が完全な予防接種を受けた。