パンデミックが始まって以来、これまでの長い期間では、新型コロナウイルスでの死者数(死亡率ではなく実数)は、アメリカが一貫してトップでしたが、3月10日にトップが入れ替わりました。
ブラジルの新型コロナウイルスの死者数が、アメリカを抜いたのです。
ブラジルでの感染確認数と死者数の急激な増加は、 1週間ほど前の以下の記事でも取り上げています。
900万人以上にワクチン接種が完了したブラジルで、接種開始後1ヵ月半の時点で「コロナの死者数が過去最大」に
投稿日:2021年3月5日
ブラジルとアメリカの死者数の推移は以下のようになります。
ブラジルとアメリカの死者数の推移
Daily new confirmed COVID-19 deaths
このふたつの国の人口は、およそ、
アメリカ 3億2000万人
ブラジル 2億人
となっていて、アメリカのほうが三分一ほど多いことを考えますと、この死者数の逆転はかなり印象的な出来事です。
ブラジルそのものを見ても、死者数は 3月に入って以来、パンデミック以降の過去最高を更新し続けています。
ブラジルでの死亡者数の推移
Daily New Deaths in Brazil
アメリカの大手メディアの多くは、この理由を「変異種によるもの」としています。
それはもちろんあるのかもしれないですが、しかし、新型コロナの変異種が流行の主流を占めているのはブラジルだけではなく、今では多くの国で同じです。
スイスでは、「新規感染者のうち、変異種による感染率が約70%に達している」と報じられています。
日本でも、3月9日に、「変異ウイルスに感染した新規感染確認数は、25都道府県で320人以上」と報じられていますが、日本での毎日の新規感染確認数は 1000人超程度ですので、これらの数値を信じれば、日本でも新規感染者の全体の3割ほどが変異種ということになります。しかし今のところ、日本で著しく致死率が上がっているという話はあまり聞かないです。これからはわからないですが。
いずれにしましても、ブラジルでの死亡数の急激な増加が、仮に「変異種の存在」によるものならば、今後どの国でも再び死者数は増加していくはずです。
結局のところ、アメリカとブラジルの現状での大きな違いは、こちらの記事にも書きましたけれど、
「国民に使用しているワクチンの種類が異なる」
ということくらいしか思いつきません。
アメリカとブラジルで使用されている主なワクチン
・アメリカ → 米ファイザーとモデルナの mRNA ワクチン
・ブラジル → 英英国のアストラゼネカ(ウイルスベクター)と中国シノバックのワクチン
アメリカでは、ジョンソン&ジョンソンのワクチンも緊急承認されていますが、実数では、ファイザーとモデルナが圧倒的です。
中国シノバックのワクチンは、タイやブラジル、フィリピンなど多くの国で緊急承認されていますが、フィリピンでは「有効性の低さから医療従事者と高齢者には非推奨」と報じられていて、その他の人たちに、まるで一般市民相手の実験的接種のような状態が続いています。
ファイザーのワクチンを使用しているアメリカでは死者数が減少していますので、もしかすると、ファイザーのワクチンには、重症化を防ぐ効果はあるのかもしれません(何であろうと私は、遺伝子的役割に介入する mRNA ワクチンには大反対ですが)。
仮に今後、再び死者や感染確認数が増えていった場合、諸外国なら、
「三度、四度目のロックダウン」
となり、日本なら、
「三度目の緊急事態宣言(あるいは二度目の緊急事態宣言が解除されない)」
というようなことになっていく可能性もありそうです。
以下の記事のような「ワクチンパスポート」をさらに推進するためにも、今後、「変異種」というキーワードがツールとして頻繁に使われそうです。
中国がワクチン接種と核酸検査記録が電子保存された「国際旅行健康証明書」(中国版ワクチンパスポート)を正式に発行
投稿日:2021年3月10日
この目的が達せられるまでは、実際の危険があまり見えない上での完全に終わりのないパンデミックが続くのかもしれません。
人々の恐怖が薄らいできたときに「新たな恐怖」が作り出さられる。
そういうことが続きそうです。