アイスランドの南西にあり、首都のレイキャビクもあるレイキャネス半島で、2月の下旬から「突如」群発地震が始まりました。
地震が起きているのは、以下の地図左下の周辺です。
3月11日までの48時間に発生した地震(48時間で 2967回 / ☆は M3 以上)
Iceland Met Office
地震の回数は「 2週間で 3万回」を超えています。通常のアイスランドでの地震の回数は「 1年で 1000回程度」ですので、普通ではあり得ない回数でもあります。
ちょうどその群発地震が始まった日に、アイスランドの気象庁のウェブサイトを見ていまして「突然始まった様子」をグラフで確認していました。しかし、火山国であるアイスランドで群発地震が起きることは、たまにはあることですので、「すくおさまるのだろうな」と思っていましたら、1週間経っても群発地震は収まりませんでした。
3月5日に、アイスランドでの群発地震の回数が 1週間で 2万回を超えた頃には、世界中でもこのことが報じられ始めました。
その後も群発地震は止まることがなく、3月11日までに、2週間で約 3万4000回の地震を記録するということになり、これはアイスランドでの記録に残されている中でも最大の回数となると思われます。
その後、専門家たちは、このレイキャネス半島にあるファグラダルスフィヤル火山とその周辺の火山システムが「噴火する兆候ではないか」と解釈する人たちが増えていますが、なんと、この火山、
「少なくとも過去1万年のあいだに記録した痕跡はない」
とされている火山なのです。
以下の位置にあります。
ファグラダルスフィヤル火山
Volcano Discovery
火山情報メディアは以下のように報じています。
ファグラダルスフィヤル火山 (Fagradalsfjall)
最終更新日: 2021年3月11日現在の状況:軽微な活動または噴火の警告(5段階のうち3)
2021年2月下旬以降、ファグラダルスフィヤル付近で地震危機が発生しており、これは浅い地下でのマグマの貫入によるものと解釈されている。これは新たな噴火につながる可能性がある。
ファグラダルスフィヤル火山の情報
火山噴火 : 過去 10,000年の間の噴火はなし。前回の噴火は数百万年以内(更新世)。
このような歴史の火山ですので、「噴火した場合どうなるのか」は、専門家も含めて、まったくわかりません。
大した噴火にはならないかもしれないですが、しかし「数万年、数百万年に 1度」という噴火だと考えますと、大きな事象となる可能性もあるかもしれません。
アイスランド気象庁の専門家は、「ファグラダルスフィヤルのすぐ南でマグマ岩脈が非常に急速に成長している兆候だと思われます」と述べたことが報じられていまして、時期は未定ながら、数万年ぶりの噴火が比較的近くに迫っているようです。
現在、世界中で大規模な噴火が続いていまして、その中で、1991年に「 20世紀で最大の噴火」を起こしたフィリピンのピナツボ火山で「群発地震が発生している」ことが報じられたりもしています。
最近は、地震も多いですが、大規模な火山の噴火も増加していまして、そして、成層圏に影響を与えるような、噴煙の高さが 10キロメートル以上の噴火が世界的に相次いだ場合、火山灰(粒子状物質)が日光を遮り、長期間、地温を下げるメカニズムが確認されています。
その影響は一時的ではなく何年にも及ぶと考えられています。
今後、噴煙の高さが 10キロメートル以上に及ぶような噴火がさらに続けば、中長期的に地球の気象に影響を与える可能性もありそうです。