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大量死 最期の食糧危機

中国の報道がまとめる、来年はさらに「肥料の大惨事が拡大する」可能性について

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良い兆しがまったく出てこない肥料の状況

ロシアのウクライナ侵攻以来、ずっと問題視されていたことのひとつが、「肥料価格の高騰の問題」でした。ロシアもウクライナも、共に肥料原料の大生産地であり、その輸出が減少あるいは停止したことにより、肥料の国際価格は上昇し続けています。

 

[記事] 肥料の原料「硝酸アンモニウム」の世界最大の輸出国であるロシアが、輸出を停止
 地球の記録 2022年2月28日

 

2019年からの肥料の国際価格の推移は以下のようになっています。


CGTN

リン酸二アンモニウムや尿素の国際価格は、いっとき、2019年の 4倍などに近い上昇となっていたことがわかります。

もうひとつの問題は「肥料の生産には大量の天然ガスが必要なのに、価格が激しく高騰した」ことです。現在は一時より天然ガス価格は下がっていますが、歴史的に見れば高値で、価格の状況そのものが不安定化しています。

今年は、エネルギー価格の高騰により、ヨーロッパを中心として次々と肥料工場が生産を停止、あるいは生産を削減しました。

 

[記事] 天然ガス価格高騰で次々と肥料の生産が停止。世界最大の英国肥料企業の子会社と、EUで二番目に大きなポーランドの肥料メーカーも操業を停止すると発表
 地球の記録 2022年8月28日

[記事] 世界最大の肥料メーカーのひとつであるノルウェーの企業が、ガス価格高騰によりアンモニア生産を大幅に削減すると発表
 地球の記録 2022年8月31日

 

今年 7月にロシアとウクライナで交わされた協定で、ウクライナからの穀物や肥料の輸出が再開されましたが、最近、再び停止されました

天然ガスを含むエネルギー価格の状況も先行きは不透明なままです。

このような中で、来年の肥料の供給状況が良くなることは、ほぼ考えられない状態となっています。

今回ご紹介する記事のタイトルには、「途上国は」とありますが、肥料を自国生産できない国はどこでも同じだと思われ、日本も、来年の農業は厳しくなっていくと見られています。

日本はロシアの非友好国ですから、肥料が優先的に提供される可能性は今のままではなさそうです。

現状のままですと、日本や韓国などまでも含めて、来年以降は、自給率が低く肥料を自国生産できない国は相当苦しくなる可能性があるのかもしれません。

中国の国営テレビ局 CGTN の報道をご紹介します。




 


肥料不足が開発途上国にとって大惨事になる理由

Why fertilizer shortage could be a disaster for developing countries
CGTN 2022/10/17

化学肥料は、食糧生産における重要な投入物として、過去数十年にわたって飢餓を減らし、貧困を根絶するために不可欠なものとなっていた。しかし、肥料の価格が過去 2年間で急騰したため、低中所得国の農家にとって、それらを使用することはぜいたく品になっている。

今月初め、国連食糧農業機関 (FAO)は、 9月の世界食料価格指数を発表した。FAOのチーフエコノミストであるマキシモ・トレロ氏は、食料価格が 3月以降下落しているにもかかわらず、途上国は依然として食料問題に直面しており、世界的な肥料価格の上昇により来年の収穫量が減少する可能性が高いと指摘した。

世界銀行によると、今年 9月の肥料価格は 6%上昇した。2021年 9月と比較すると、肥料価格指数は 72%近く上昇している。

既存のパンデミック関連の市場への圧迫に加えて、ロシアとウクライナの紛争が商品市場に大きな衝撃を与えている。この戦争は肥料の生産と貿易に深刻な混乱をもたらした。肥料の主要な輸出国はロシアとウクライナであり、エネルギーと穀物も同様だ。

戦争が続く中、今後の肥料価格は、1973年の石油危機と 2008年の金融危機以来の史上最高値の 1つに達すると予想されている。

西側諸国は、ロシアに対する制裁は農業関連商品の生産、販売、輸送を対象としていないと主張している。しかし、ロシアは、これらの制裁により、銀行決済、保険、輸送に多くの障害が生じ、大量のロシアの肥料がヨーロッパの港に停泊することになったと述べた。

肥料の価格が上昇するにつれて、農家にとって穀物の栽培で生計を立てることはますます困難になっている。その結果、特に食料不安に直面している国にとっては、悲惨な結果になる可能性がある。

途上国研究で知られる中国国際問題研究所のリー・キンギャン氏は、以下のように述べた。

「南アジアの多くの国が途上国です。それらの国では、農業が経済の主要な原動力であり、肥料は作物の収量を保証するために必要なのです。肥料がなければ、ほとんどの人たちは自給自足ができません」

スリランカの最近の経済危機を例に挙げると、リー氏は、昨年の同国の全国的な化学肥料の禁止により、農業が不自由になり、債務返済のリスクが高まったと述べた。

リー氏は、ほとんどの途上国は輸入肥料に依存しており、肥料価格の高騰がこれらの国の経済回復のコストを増大させていると付け加えた。

 

さらなる飢餓と混乱

7月に発表された国連の報告書によると、昨年、世界中で飢餓の影響を受けた人の数は 8億2800万人に達し、COVID-19 のパンデミックが始まってから 1億5000万人増加した。

COVID-19 のパンデミックが続く中、2022年には、地域紛争、異常気象、食料価格の高騰、不平等、国際的緊張のすべてが世界の食料安全保障に影響を与えている。途上国は、悪化する世界的な食糧危機で最も苦しんでいる。

インドネシアのレトノ・マルスディ外相は、6月に開催された世界の食糧安全保障に関する閣僚会議で、肥料不足がアジアの 20億人に災いをもたらす可能性があると述べた。

南米では、ブラジルとベネズエラが、ロシア、ウクライナ、ベラルーシから毎年約 80%の肥料を輸入している。肥料不足により、農業専門家や農家は代替作物や土壌養分を探すようになった。6月に FAO は、ブラジル、チリ、ペルー、カリブ諸国でバイオ肥料の使用に関するセミナーを開催した。

その影響は農業以外にも及んだ。4月、燃料と肥料の価格高騰に対する抗議行動に対応して、ペルーのペドロ・カスティージョ大統領は、首都リマで 1か月の非常事態と夜間外出禁止令を宣言したが、これは後に撤回された。

西アフリカ諸国経済共同体が 7月に発表した報告書によると、ロシアとウクライナの紛争が続く場合、西アフリカは 120万から 150万トンの肥料不足に直面すると推計された。この西アフリカ地域で、昨年記録された生産量の 4分の1以上を占める約 2,000万トンの穀物生産が失われる可能性がある。

報告書は、地元の肥料生産能力と流通経路を強化することを推奨している。しかし、多額の投資、技術、設備を必要とするこれらの生産ラインは、建設に何年もかかる可能性がある。

ロシアとウクライナは、国連とトルコの仲介により、7月に黒海穀物イニシアチブに署名した。これにより、黒海地域の 3つの重要なウクライナの港からの穀物と肥料の輸出が再開された。しかし、データによると、ウクライナからの農産物の約 4分の1しか低中所得国に送られず、ウラジーミル・プーチン大統領から批判された。

ロイター通信によると、先週、ロシアはこの協定について懸念を表明し、11月に協定の期間が終了するときに更新を拒否する用意があると述べた。合意の崩壊はまた、世界的な食糧危機を悪化させる可能性がある。

(※ この協定は、この後に、正式に更新が、ロシア側から拒否されました)

新華社通信によると、プーチン大統領は 9月の安全保障会議で、ロシアはヨーロッパの港に停泊している数十万トンの肥料を必要としている途上国に無料で肥料を提供する意思があると述べた。しかし、その具体的な計画はまだ出されていない。

10月16日の世界食糧デーを前に、国連世界食糧計画のデイヴィッド・ビーズリー事務局長は以下のように述べた。

「過去 3年間、飢餓の数は繰り返し新たなピークに達しました。はっきり言えば、この危機の根本原因に対処するための大規模で調整された取り組みがなければ、状況は悪化する可能性があり、そして、悪化するでしょう。さらに 1年間、記録的な飢餓状態に陥ることは許されることではありません」







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