これまでと、そして、これからの地球と私たち

地球の記録 - アース・カタストロフ・レビュー

最期の食糧危機 異常な現象

世界最大の肥料メーカーのひとつであるノルウェーの企業が、ガス価格高騰によりアンモニア生産を大幅に削減すると発表

投稿日:




 

またも肥料大企業が生産削減を発表

先日、以下の記事で、世界で最大規模のふたつの肥料企業が、相次いで肥料の生産を停止すると発表したことをご紹介しました。

 

[記事] 天然ガス価格高騰で次々と肥料の生産が停止。世界最大の英国肥料企業の子会社と、EUで二番目に大きなポーランドの肥料メーカーも操業を停止すると発表
 投稿日:2022年8月28日

 

その後、米ロイターによれば、やはり「世界最大の肥料企業のひとつ」であるノルウェーのヤラ社(Yara)が、肥料の重要な原料であるアンモニアの生産を削減すると発表しました。

ヤラ社の声明は以下の通りです。

ヤラはヨーロッパでさらに生産削減を実施します

ヨーロッパの記録的な天然ガス価格の高騰の結果として、ヤラはさらなる削減を実施しており、これによりヨーロッパのアンモニア生産能力の合計利用率は約 35% になります。

これにより、ヤラはヨーロッパの生産システム全体で、年間 310万トンのアンモニアと 400万トンの最終製品 (180万トンの尿素、190万トンの硝酸塩、30万トンの窒素・リン酸・カリウム)に相当する生産能力を削減することになります。

ヤラとしては、可能であれば輸入アンモニアを使用した継続的な硝酸塩生産を含め、運用を最適化し、顧客の需要を満たすために、そのグローバルな調達および生産システムを使用したいと考えています。引き続き状況を監視し、今後の市況に適応していくつもりです。

Yara 2022/08/25

 

逆にいえば、今後、ヨーロッパの天然ガス価格がさらに上昇した場合、追加の削減もあり得るとも読め、次第にヨーロッパの肥料供給は壊滅的な状況に近づきつつある可能性があります。

ヨーロッパの天然ガス価格は、今年 2022年の初めからは 300%近く上昇しており、大量の天然ガスが必要な肥料生産について、企業はもはや対応できない状況となっているようです。

この冬にヨーロッパの天然ガス価格が下がるということは現時点では考えにくく、ロシアからの輸送量次第では、むしろ、さらに天然ガス価格が上昇していく可能性も高いです。

来年の春までに肥料生産の問題が解決しないような場合、日本を含めて、世界中の農業生産に問題が生じる可能性があり得ます。

米ロイターの報道をご紹介します。




 

ヤラ社の生産削減は、ヨーロッパの肥料生産に懸念を投げかける

Yara cuts cast doubt on Europe's fertilizer production
Reuters 2022/08/25

世界最大の肥料メーカーのひとつであるノルウェーのヤラ社は、ガス価格の高騰によりアンモニア生産を削減しており、作物に十分な肥料を生産するヨーロッパの能力について疑問を投げかけている。

アンモニアは肥料の製造において重要な役割を果たしている。それがなければ、収穫中に土壌から除去された栄養素が補充されないため、作物の収量が低下する。

ヤラ社は、ガス価格の高騰、主要な穀物生産国であるウクライナでの戦争、肥料生産国であるロシアへの制裁の組み合わせにより、世界が極端な食糧供給ショックに直面していると繰り返し警告してきた。

肥料を生産するには大量のエネルギーが必要だ。ヤラ社などのメーカーは、肥料の生産プロセスに天然ガスを使用しているが、ヨーロッパの天然ガス価格は 8月だけで約 40%上昇し、今年はじめからは約 300% 急騰した。

アナリストのエイドリアン・タマグノ氏は、「このアンモニア生産の削減は、土壌への供給量を少し減らすことにつながる。要するに、長期的な影響としては、食料価格の上昇に結びつく」と述べた。

ヤラは今年初めにアンモニア生産の削減を開始した。同社は 8月25日、最新の削減の発表後、アンモニア生産能力は以前の約 35%しかないと述べた。

アナリストのマグナス・ラスムッセン氏は次のように述べている。「あまりいい状況とは言えず、これは農家、食料生産、そして食料安全保障にとって問題となるでしょう」

ヨーロッパの農業生産者たちが、ヨーロッパ以外から肥料を輸入することはできるが、その場合、より高価になるだろうとアナリストたちは言う。あるいは、他の国から輸出されたアンモニアを使用して肥料を生産することはできる。

ヤラは、顧客の需要を満たすために、可能であれば輸入アンモニアを使用すると、声明で述べている。しかし、「不足している可能性のあるものをすべて輸入に置き換えることができるとは考えにくい」とラスムッセン氏は述べる。

ヤラ以外でも、ヨーロッパでは肥料生産の削減や停止が相次いでいる。ドイツの肥料企業の SKW Piesteritz 社と BASF 社は、年初に一部の肥料生産を削減した。

その傾向が加速している。

ポーランド最大の化学会社であるグルパ・アゾティ社は、ガス価格の「異常、かつ前例のない」上昇を理由に、肥料の生産を停止すると発表した。

CF インダストリー・ホールディングス社の子会社である CF Fertilizers UK は、天然ガスと石炭価格の高騰により、アンモニア生産を一時的に停止すると 8月24日に発表した。







-最期の食糧危機, 異常な現象
-, ,

Copyright© 地球の記録 - アース・カタストロフ・レビュー , 2022 All Rights Reserved.