メドヴェージェフ元ロシア大統領(左)とプーチン大統領
ロシアの非友好国は、米国、英国、カナダ、オーストラリア、日本、台湾、韓国、スイス、EUの27か国すべてなど
ロシアを巡る食糧とエネルギーに関しては、内容がどんどんヒートアップする一方となっていまして(西側の敗北が続いていますが)、先日、ロシアの国会議員が、
「肥料と穀物を含むすべての輸出をルーブル支払いにするべきだ」
と提案したことが報じられていました。
[報道] ロシアの議員が「肥料と穀物を含むすべての輸出をルーブル支払いにするべきだ」と提案 (2022/03/30)
ここまではあるだろうな、と思っていたのですが、事態はこんなものではおさまらない可能性が出てきました。
元ロシア大統領のドミトリー・メドヴェージェフ氏が、「すべての食糧や作物を非友好国に出荷するべきでない」として、
「非友好国との食糧貿易を放棄するように求める」
とした意向を明らかにしました。
食糧貿易とありますので、「非友好国には輸出もしないし、非友好国からは輸入もしない」ということになります。
穀物、野菜、海産物を含む食糧生産大国のロシアは、食糧の輸入が停止したところでさほどダメージはないでしょうが、いくつかの国ではロシアからの食糧供給が完全に断たれると大変なことになります。
ロシア政府は、すでに「すべての穀物の輸出を停止」しています。
[記事] ロシア政府が「小麦、大麦、トウモロコシなどのすべての穀物の輸出禁止」に言及。3月15日から
投稿日:2022年3月15日
また、ロシアは肥料の輸出も停止し、世界中で肥料価格が異常な高騰を見せています。
[記事] 肥料の原料「硝酸アンモニウム」の世界最大の輸出国であるロシアが、輸出を停止
投稿日:2022年2月28日
肥料に関しては、その後、「友好国には肥料の輸出を再開する」と発表していますので(記事)、穀物を含む食糧も同じ流れになるかもしれません。つまり、友好国には輸出すると。
そして、非友好国は「ロシアの食糧を一切輸入できない」ということになるのかもしれません。
日本の場合、穀物等はロシアからは輸入していないですが、海産物はどうでしょうか。それなりのダメージを受けるのではないでしょうか。
事態は、どうしようもない泥沼の経済戦争に突入しつつあるようです。
ロシア RT の記事をご紹介します。
元大統領は、西側との食糧貿易を放棄するよう政府に求めた
Ex-president calls for Russia to abandon food trade with West
RT 2022/04/01
ドミトリー・メドヴェージェフ氏は、ロシアは「非友好国」への輸出をやめる可能性があると述べている
西側の制裁の中で、ロシアは「非友好国」との食糧の売買を停止するかもしれない、と元ロシア大統領のドミトリー・メドヴェージェフ氏は明らかにした。
現在、ロシアの安全保障理事会の副議長を務めるメドベージェフ氏は、4月1日にテレグラムでロシアの食料安全保障と輸出に関連する提案のリストを発表した。
そこにおいて、メドベージェフ氏は、「ロシアはインドや中国などと並ぶ主要な穀物生産国」であり、特に、小麦に関しては、「ロシアは世界最大の輸出国である」と述べた。
氏はまた、農産業の輸出が昨年 370億ドル以上に達したと指摘した。
メドベージェフ氏は、ルーブルとそれぞれの国の通貨で「私たちの友好国だけに、食糧と作物」を販売する計画を発表した。それによると、ロシアには、ヨーロッパや北アメリカ以外の「たくさんの友好国」があるとしている。
元大統領は、「ロシアは、食糧や作物を非友好的な国家に出荷してはならない」と提案した。計画によれば、ロシア政府は国内の食糧価格統制に特に重点を置いており、ロシア国内の食糧市場を優先すると見られる。
メドベージェフ氏は、「ロシアの農家の方々に、大規模で体系的な支援をおこなうつもりだ」と付け加えた。
2014年にクリミアとロシアが再統一された後、米国と EU は経済制裁でロシアに打撃を加えた。その際、ロシアは、特定の食品輸入の禁止を含む対策で対応した。
ロシアがウクライナに対する軍事攻撃を開始した 2022年2月24日以来、西側はより多くの制裁を課している。ロシア政府は、これらの敵対的なステップが未解決のままになることはないと誓った。
3月31日に、ウラジーミル・プーチン大統領は、「非友好国」(ロシアに制裁を課した国)への天然ガス輸出は 4月1日からルーブルで支払われる必要があるという法令に署名した。
これらの国の中には米国、英国、カナダ、オーストラリア、日本、台湾、韓国、スイス、EUの27か国すべて、およびその他いくつかの国が含まれる。
ロシア政府のスポークスマン、ドミトリー・ペスコフ氏は 3月30日、「ロシアは、炭化水素や他の商品の販売をルーブルに限定して開始する可能性がある」とし、「これは間違いなく取り組むべきアイデアだ」と述べている。