3月31日に、ロシアのプーチン大統領は、ロシア産天然ガスの支払い代金を「ルーブルの支払いでのみと限定する」とした大統領令に署名しました。
この大統領令の発効は翌日からということで、4月1日からロシアの天然ガスの代金がルーブルで支払われない場合、「ガス供給を停止する」とした内容でした。
(報道) ロシアのプーチン大統領が天然ガス代金支払いをルーブル限定にする大統領令に署名 (2022/04/01)
ヨーロッパ諸国などが、ルーブル支払いを拒否した場合、本当に 4月1日からガス供給を止めるのかどうかが注目されていましたが、
「本当に止めた」
ことが、4月2日になってわかりました。
ロシアのガス大手「ガスプロム」が、ヨーロッパへのガス供給のルートとなる、ロシアのヤマル地方を経由したドイツへガスを配送するパイプラインを「停止」したことが伝えられています。冒頭のマップのルートのパイプラインです。
それだけではなく、米ゼロヘッジによると、イギリスへのガス供給も停止されたとプーチン大統領の報道官が述べたことを伝えています。
昨日の以下の記事では、ロシアの元大統領であり、現在はロシア安全保障理事会の副議長を務めるドミトリー・メドヴェージェフ氏が、
「非友好国への食糧輸出を禁止するよう政府に求めた」
というロシア RT の報道をお伝えしました。
[記事] 「私たちロシアは、非友好国への食糧輸出を完全に停止する」と元大統領のメドヴェージェフ氏が計画を発表
地球の記録 2022年4月2日
今回の天然ガスの停止に見る「本気度」からは、この非友好国への食糧輸出の完全な停止というのも実行されるかもしれません。
また、ゼロヘッジは、ゴールドマンサックスの研究を引用して、アメリカの液化天然ガス(LNG)の輸出がすでに能力の上限に達していることを伝えています。
これまでロシアからガスを輸入していたヨーロッパ諸国は、ルーブル支払いに応じなければ、今後なす術がなくなっていく可能性があります。
ところで、そのヨーロッパは、昨年後半からアメリカからの液化天然ガスの輸入量を大幅に増やしていますが、グラフを見ますと、「その分、アジアへの輸出が減っている」ことがわかります。
アメリカからの液化天然ガスの輸出状況の推移
zerohedge.com
アジアへの輸出は、昨年の 10月の半分くらいになっています。
「日本は大丈夫なのか?」と、さすがに思いますが、どうなのですかね。
それにしても、以下の In Deep の記事にも書きましたけれど、このすべての西側主要国の「自死」ぶりはちょっと異常です。
[記事] 誰を崩壊させるための対ロシア制裁なのか。目指すのは西の自死? それともこれもいわゆるグレートリセットへの道?
In Deep 2022年4月2日
ゼロヘッジの記事をご紹介します。
ガスプロムはヨーロッパへのガス輸送を重要なパイプラインを介し、停止した
Gazprom Halts Gas Shipments To Europe Via Critical Pipeline
zerohedge.com 2022/04/02
ロシアのウラジミール・プーチン大統領が、ルーブルでガス代金を支払う(あるいは、それをしない場合、ガスを遮断する)とした期限が 4月1日に過ぎた。
その後、ロシアのガス大手ガスプロムは正式にガス供給を停止した。これにより、ヨーロッパのエネルギー供給にとって重要な動脈であるロシアのヤマル地方からヨーロッパに向けてのパイプラインを介したヨーロッパへのすべてのガスの配送が止まった。
ネットワーク事業者の Gascade によると、4月1日からのガス供給は、ドイツと EU に向かって流れるのではなく、反対方向に流れ始めた。
ここ数ヶ月、EU は米国からの液化天然ガス (LNG)の輸入を増やしている。
しかし、バイデン大統領が EU への輸出を強化すると約束したにもかかわらず、ゴールドマンサックスの研究では、 LNG の米国の輸出が、すでに限界に達していることを示している。
ロシアからのパイプラインに依存するヨーロッパのもう 1つの問題は、現在、大陸に LNG の輸入を急速に増やすためのインフラがないことだ。これは、公益事業やその他のエネルギー販売業者に配布する前に、慎重に処理して「再ガス化」する必要がある。
下のマップは、ヨーロッパ経済がロシアに依存しているレベルを示している。
ルーブル支払いの期限を迎えてロシアのガス供給停止となったのは、ドイツ経由のヨーロッパだけではない。プーチン大統領の報道官であるドミトリー・ペスコフ氏は、英国のロシアに対する経済制裁に対応して、英国のエネルギー大手シェルはロシアの供給から遮断されていると述べた。
プーチン大統領が圧力を強めている今、ヨーロッパ諸国は今後について難しい選択をしている。
彼らヨーロッパ諸国は、ロシアのエネルギーへの依存から脱却する彼らの努力がほとんど無駄であったことを世界に示してしまうおそれががある。
あるいは、エネルギー価格が高騰し、配給制、停電、その他の措置につながる「壊滅的な」経済危機に直面する可能性もある。
そのようなことになった場合、1970年代の石油ショックが子どもの遊びのように見えるだろう。