今年の７月に、中国で２度に渡る長期的な大洪水が発生したことは、以下の記事などでご紹介したことがあります。
・長江流域で歴史的な豪雨により広範囲で大洪水が発生。死者行方不明230名以上、被災者は3000万人超え （2016/07/04）
・黙示録的な光景を作りだしている中国北部の洪水の死者行方不明者数は300名近くにのぼり、近年の中国史上最悪の被害に （2016/07/26）
そして、先日、中国民政部は、中国国内で 7月に自然災害で死亡した人の数が 621人にのぼったことを発表しました。
自然災害といっても、そのほぼすべてが洪水による被害です。
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この 7月の洪水では、中国の 29省が影響を受け、破損、あるいは完全に破壊した家屋の数は 187万軒。そして、農地 150万ヘクタールの作物が消失。
経済的被害は、日本円で約 3兆5000億円にのぼるとのことで、経済的な面では過去に例のない甚大な被害となりました。
また、台風ニパルタック（台風１号）の被害を最も多く受けたのも中国で、この台風での死者・行方不明者は、中国で 105人となり、中国での台風による被害としては過去５年間で最悪となっています。
台風ニパルタックが通過した後の福建省の町
・Over 600 Killed In Natural Disasters In China In July
河川の氾濫で25名以上が死亡した河北省ケイ台市
・CCTV
人口の多い中国といえども、洪水で、１カ月間に 600名以上が死亡するというようなことは、近年ではなかったことだと思われます。
そして、ここ数年の中国では、毎年のように大きな洪水での被害が出ていて、下は昨年 2015年の 6月下旬の中国の洪水被害を報じているメディアです。
2015年7月2日の中国英字メディアより
・Rarest' South China floods leave 100 dead, cause $5.6b loss
昨年の洪水報道で、「あまりにも珍しい」とされた中国の洪水ですが、今年はその人的被害も経済的被害も、はるかに上回るものとなりました。
濁流に呑み込まれる河北省の町
洪水で川と化した山東省済南市のショッピングモール「銀座」
・Chinese Shopping Mall Turns Into River During Flood
そして、洪水は中国だけではなく、世界中でその規模と頻度を増しています。
1970年代に『世界宗教史』を記したミルチャ・エリアーデというルーマニアの宗教学者がいますが、その中に「洪水の意味」が書かれています。
ミルチャ・エリアーデ著『世界宗教史』より
洪水の原因は人間の罪であると同時に世界の老朽化であることが確認される。
宇宙は、生存し、生産するという単なる事実によって、しだいに退化し、ついに衰亡するのである。これゆえに、宇宙は再創造されなければならないのである。
言いかえれば、洪水は新しい創造を可能にするために「世界の終末」と罪に汚れた人間の終末を大宇宙の規模で実現するのである。
というように、
＞ 「世界の終末」と罪に汚れた人間の終末を大宇宙の規模で実現する
と、これはあくまで宗教的価値観の世界の話ですが、そこでは、そう解釈する方向もあるようです。
中国と全世界で多発する洪水の意味はどんなところにあるのですかね。