通常は決して心筋炎などにならない赤ちゃんたちが
英国で「重度の心筋炎にかかる赤ちゃん」が急増していることについて、WHO が警告を発したと米エポックタイムズが伝えています。
原因は不明ですが、通常であれば、健全な心臓を持つ赤ちゃんの心筋炎というのが「連続して起こる」ということはあり得ないことです。英国当局は、エンテロウイルス感染症によるものと述べていますが、それによって「赤ちゃんが心筋炎になる」ことはかなり異例です。
何らかの外部要因がある可能性が高いですが、赤ちゃんも含めて、現在、若い人たちに心筋炎が増加しているというのは将来的にかなりの問題であり、その理由は、
「心臓の筋肉は再生されない」
からです。
心臓の筋肉の細胞は、人体の器官の中で唯一といっていい「細胞が増殖しない臓器」なのです。そのため、一度損傷を受けた心筋は、基本的には一生元に戻ることはありません(例外はあるかもしれないですが)。
以下の記事など、過去に何度か記したことがあります。
[記事] 若い人たちに「多発している心疾患」は深刻なことかもしれない。これは生涯引きずる問題だから
In Deep 2021年12月9日
心筋炎の 5年生存率は、50%程度とも言われています。
英国で赤ちゃんの心筋炎が増加している理由そのものを断定するつもりはないですが、原因が何であったとしても、もし同じような、小さな子どもの心筋炎が世界的に増加している可能性があるとすれば、かなり憂鬱な話ではあります。
なお、「赤ちゃんとワクチンは関係がない」とする話も以前はありましたが、妊娠中の母体を通じて、あるいは、授乳を通じて、赤ちゃんに mRNA 成分が移行することは以前から知られていまして、昨年、日本の三重大学の
「妊娠中のお母さんのワクチン接種から、お腹の赤ちゃんに抗体が移行する」
という論文と、米国医師会雑誌 (JAMA)に掲載されました、
「母乳からワクチン mRNA が検出された」
という論文を、それぞれ以下の記事で取り上げたことがあります。
[記事] 日本の研究で、コロナワクチンを接種した妊婦さんの赤ちゃんに「中和抗体が大量に移行する」ことが確認される (ということは感染増強抗体も…)
投稿日:2022年9月26日
[記事] 世界最大の医学誌のひとつに「授乳を通じて母親から赤ちゃんにワクチン mRNA が移行する」ことを確認した論文が掲載される
投稿日:2022年9月29日
これらのことから、赤ちゃんたちの心筋炎とワクチンの関係性を完全に否定することもまた難しいことのようにも思います。
英国は、最近の超過死亡の大きな増加が公式に認められている国でもあります。
[記事] 2022年の英国の過剰死の拡大について、公式メディアは「専門家にも理由がまったくわからない」との見解
投稿日:2023年5月20日
エポックタイムズの記事をご紹介します。
WHO、乳児の重度の心筋炎の「異常な」急増を警告
WHO Warns of ‘Unusual’ Surge in Severe Myocarditis in Babies
Epoch Times 2023/05/18
英国当局は、ウェールズとイングランドで 15人の乳児を襲い、少なくとも 1人が死亡した重度の心筋炎の「異常な」急増を調査していると世界保健機関が発表した。
5月16日、WHO はウェールズとイングランドで 2022年6月から 2023年3月にかけて新生児と乳児の「重度の心筋炎」が増加したと警告を発した。
原因としては、まれに心臓に影響を与えるエンテロウイルス感染症に関連している可能性があると述べた。
英国保健安全庁(UKHSA)の報道官はエポックタイムズに対し、ウェールズで 10人の乳児が診断され、イングランドでは 5人の乳児が診断されたことを認めた。
WHOは、「エンテロウイルス感染症は新生児や幼児によく見られるが、エンテロウイルス感染に関連して新生児や幼児において重篤な転帰を伴う心筋炎の増加が報告されるのは異例である」と述べた。
同報告書は、同じ地域の病院で、乳児の心筋炎が報告されたのは、「過去 6年間で 1件だけだった」と述べた。
WHO は公衆衛生上のリスクは低いと評価したが、特定の状況では「感染の激しさを軽減するために保育施設や学校を閉鎖することが賢明かもしれない」と付け加えた。
しかし、WHO は、翌日、警報を解除した。WHOはエポックタイムズのコメント要請に応じなかった。
調査
イングランドとウェールズの当局は現在、感染者数の増加について調査を行っている。
英国保健安全庁のコンサルタント小児科医であるシャメズ・ラダーニ博士は電子メールで次のように語った。
「ここでも同様の症例が観察されており、症例の増加を引き起こす要因があるかどうかを確認しています」
英国保健安全庁は、新型コロナワクチンの効果との関連性の排除に関する質問には回答しなかった。
ウェールズ公衆衛生局は 5月初旬、南ウェールズ地域の幼い乳児に発生した心筋炎を伴う重篤なエンテロウイルス感染症のクラスターを調査していると発表した。
症例は 2022年6月から発生し、生後 28日未満の乳児が関与したのは 2022年11月がピークだった。
このクラスター内で 10人の乳児が心筋炎を発症した。乳児 1名が現在も入院しており、8名が外来で治療を受けている。乳児 1名が死亡している。
「大量の疑問」
コンサルタント病理学者のクレア・クレイグ博士はエポックタイムズに対し、「これらの赤ちゃんや、その母親がワクチン接種を受けているかどうかについては大きな疑問がある」と語った。
クレイグ博士は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに関連する政策およびガイダンスの推奨事項に関する懸念を共有するために設立された組織 HART のメンバーでもある。
「コクサッキーウイルスはエンテロウイルスと呼ばれるウイルス科のメンバーであり、ウイルス性心筋炎の最も一般的な原因の 1つです」と彼女は述べた。
「他のウイルスと同様に、SARS-COV 2 が出現した 2020年にはコクサッキーウイルスの診断が大幅に減少しました」
2020年以降に心筋炎に罹患した人の総数は変わっていないが、「しかしその後、ワクチンが登場した 2021年から心筋炎の発生率が非常に高くなりました」と彼女は付け加えた。
非常に稀なこと
ウェールズ公衆衛生顧問疫学者のクリストファー・ウィリアムズ博士はエポックタイムズに対し、感染に対する心筋炎という反応は「非常にまれです」と電子メールで語った。
同氏は、「エンテロウイルスは小児期によく見られる感染症で、呼吸器疾患、手足口、ウイルス性髄膜炎などのさまざまな感染症を引き起こします」と付け加えた。
「非常に幼い赤ちゃんでは、まれにエンテロウイルスが生後数週間で重篤な病気を引き起こす可能性がありますが、エンテロウイルス感染後、ほとんどの乳児や子供は完全に回復します」と彼は述べた。
ウィリアムズ氏は、「エンテロウイルスが心臓に影響を与えるのは非常にまれなケースに過ぎません」と繰り返した。
「比較的短期間に報告された症例数からすると、このクラスターは異例であるため、現在ウェールズ小児病院の小児科チームと協力して調査が進行中であり、その理由を解明し、さらに感染の可能性がある症例を調査しています。今後数週間から数か月以内に報告されるでしょう」と彼は語った。
「症例は増加しているものの、乳児の心筋炎は依然として非常にまれな出来事に過ぎず、親たちは必要以上の心配をする必要はありません」とウィリアムズ氏は付け加えた。