それは必ず「非」中和抗体になるものだから
米エポックタイムズの記事で、「日本の研究: COVID-19 ワクチンを接種した妊婦は赤ちゃんに抗体を渡すことができる」というタイトルのものを見ました。
記事には、「日本の NHK によると…」とありましたので、探しましたら、以下の報道がありました。9月18日の報道のようです。
太字はこちらでしています。
新型コロナ 妊婦にワクチン接種で赤ちゃんに抗体
NHK 2022/09/18
妊婦への新型コロナウイルスのワクチン接種によって、抗体が赤ちゃんに移行していることが確認できたとする研究結果を、国立病院機構三重病院などのグループがまとめました。
接種によって、妊婦と生まれてくる赤ちゃんを守ることにつながるとしています。
国立病院機構三重病院の菅秀副院長らのグループは、ファイザーの新型コロナワクチンを2回接種した妊婦146人の出産後の血液とへその緒からとったさい帯血を分析し、ウイルスの働きを抑える中和抗体がどれくらいあるか調べました。
その結果、中和抗体の値は、さい帯血では母親の血液の1.68倍あり、妊婦にワクチンを接種すると胎盤を通じて抗体が赤ちゃんに移行することが確認できたということです。
2回目のワクチンをいつ接種すると移行する抗体の値が高くなるか分析すると、最も高かったのは妊娠28週から34週の間でしたが、妊娠初期や出産に近い時期に接種した場合でも一定程度高い水準の抗体が移行しているのが確認できたということです。
菅副院長は「新生児を病気から守るには、母親から多くの免疫を与えることが大切だ。妊婦自身のためにも生まれてくる赤ちゃんを守るためにも、妊婦の方には接種を考えてもらいたい」と話しています。
このようなものでした。
単に「移行する」ということだけではなく、
> 中和抗体の値は、さい帯血では母親の血液の1.68倍あり
とあり、お母さんより「数多い抗体」が得られているようです。
さて。
中和抗体がお母さんから、子どもに移行しているとなると、単純な話として、その後、
「赤ちゃんの体内にも感染増強抗体が作られる」
ことになります。
この感染増強抗体というのは何かというと「 ADE (抗体依存性増強)」を引き起こすことと関係する抗体であり、中和抗体とは逆に、
「感染を促進し、重症化を促進する」
ものです。
もう 1年半くらい前の記事ですが、以下の記事で、ADE が発生するメカニズムを述べたアメリカの記事をご紹介しています。
[記事] 人類の大量死につながる可能性を否定できない ADE (抗体依存性増強)についてのメカニズム。そしてそれを避ける方法は「永遠のワクチン接種のループ」しかないという絶望
In Deep 2021年4月27日
そこでご紹介した記事には以下のようにあります。
(「コロナウイルスワクチンは時限爆弾なのか?」より抜粋)
> まず、ワクチンが機能するためには、非中和抗体ではなく、中和抗体を産生するように免疫系を刺激する必要がある。
>
> 中和抗体とは、ウイルスのある領域(エピトープ / 免疫細胞によって認識される抗原の一部)を認識して結合することにより、その後、ウイルスが細胞に侵入したり複製したりしないようにする抗体だ。
>
> 非中和抗体はウイルスに結合できる抗体だが、この非中和抗体はウイルスの感染力を中和することができない。これは、たとえば、抗体がウイルスに十分にしっかりと結合していない場合、抗体で覆われているウイルスの表面積の割合が低すぎる場合、または抗体の濃度が十分に高くない場合に発生する可能性がある。
>
> ……過去の他のコロナウイルスに対する以前の多くのワクチン試験が失敗した主な理由はこの ADE によるものだ。主な安全上の懸念は動物モデルで観察された。ADE が発生した場合、そのウイルスに対する反応は、抗体を持っていない場合の反応よりも悪くなる可能性があるのだ。
>
> 抗体がウイルスの適切な部分に結合して中和しない場合、あるいは抗体のウイルスへの結合が弱すぎるという理由だけで、それは非中和抗体となる可能性がある。
>
> または、中和抗体の濃度が時間の経過とともに低下し、ウイルスの中和を引き起こすのに十分な濃度ではなくなった場合にも発生する可能性がある。
Science with Dr. Doug 2020/08/01
このように、中和抗体が「非中和抗体」すなわち「感染増強抗体」と呼ばれるものに移行する正確なメカニズムはわかっていません。
しかし、ワクチンでも自然感染でも、その抗体(コロナワクチンならスパイクタンパク質)に、
「ある部位があれば」
いつかは、それは「非」中和抗体となり得ます。
その部位とは、
「スパイクタンパク質の NTD という部位」
です。
それがあれば、人により程度の差はあるのでしょうけれど、高い確率で非中和抗体、つまり感染増強抗体となる可能性があります (その率は不明です)。
これも昨年 5月の記事ですが、大阪大学等の研究で、
「すべてのコロナワクチンに、その感染増強抗体となり得る《部位》が含まれている」
ことがつきとめらています。
以下の記事にあります。
[記事] 大阪大学が「抗体依存性増強の研究」論文を発表。そこから想像できる「ワクチン接種拡大と共に死者数が増加する理由」。そして、今のワクチンではADEは避けられないことも
In Deep 2021年5月31日
スパイクタンパク質は以下のようになっていて、このうちの RBD という部位は、感染増強抗体と関係しません。
スパイクタンパク質
それだけに、何人かの科学者たちは、「 RBD だけを用いたワクチンを開発するべきだ」と述べ続けてきました。
以下は、東京理科大学名誉教授の村上康文さんが、経済誌フォーブスに寄稿した文章からの抜粋です。
(村上名誉教授のフォーブスへの寄稿文より)
> スパイクタンパク質そのものが様々な症状を引き起こしていることは米国のソーク研究所が既に著名な学術誌に論文発表しています。そのため、追加接種に用いる抗原はスパイクタンパク質の全長を用いずRBDの部分のみとする。このことは抗体依存的感染増強のリスクを下げるためにも重要です。 (Forbes)
しかし、ファイザーにしても、他のワクチンにしても、現在まで展開されてきたコロナワクチンは、
「すべて感染増強抗体と関係する部位(NTDという部位)が含まれたまま」
なのです。
この秋から展開されているファイザー社の新しい二価ワクチンについては、この点は明らかではありません。
というのも、先日、「トリス-スクロースの新しいコミナティの時代に」という記事で、厚生労働省の特例承認書をご紹介しましたが、
「それについての言及がない」
のです。
・SARS-CoV-2(起源株)のスパイクタンパク質をコードする mRNA を含む製剤
・SARS-CoV-2(オミクロン株)のスパイクタンパク質をコードする mRNA を含む製剤
とあるだけなのですが、これは初代ファイザーワクチンでは、「全長をコードする」という記述があり、つまり、すべてが含まれるということは、「感染増強抗体と関係する NTD も含まれている」と明確に記載されていたのですが、今回は、「全長」という言葉が使われていません。
しかし、「 RBD (抗体依存的増強と関係しない部位)だけを用いた」とも書かれていません。
つまり、「単に示されなくなっただけ」なのです。
ただ、RBD だけにしていたのなら、それについて言及するでしょうし、単に「全長という言葉を用いたくなかった」という感じもします、
というか、ファイザーは「 RBD だけのワクチンを持っている」のです。
以下の記事で書きましたように、ファイザー社の臨床試験では「 RBD だけのワクチン」での臨床も行われていたのです。
以下の記事でふれています。
[記事] 幻のワクチン : ADE (抗体依存性増強)を誘発しないコロナウイルスワクチンが現行のファイザー社ワクチン以前に存在したことを明らかに示す厚生労働省の特例承認報告書
In Deep 2021年7月7日
なのに、なぜか、実際に採用されたのは、「抗体依存性増強を起こすほうの型番だった」のでした。
初代の特例承認書に以下のようにありました。
> なお、本剤は SARS-CoV-2 の S タンパク質の全長体をコードする mRNA であり、BNT162b1 は SARS-CoV-2 の S タンパク質の RBD をコードする mRNA である。 (初代ファイザーワクチン特例承認書 22ページ)
ここに「スパイクタンパク質の RBD をコードする」と明記されていまして、感染増強抗体と関係する NTD が含まれていないものも、本採用された型番と平行して臨床試験で使われていたのです。
こちらが採用されていれば、抗体依存性感染増強の恐れはほとんどなかったはずです。
ところが、採用されたのは、これではなく、「BNT162b2」という、感染増強抗体と関係する NTD という部位が含まれたものでした。
なぜ、そうなったのかは特に書かれていません。
結果的に、日本で何億回と打たれたコロナワクチンは、この NTD が含まれているものであり、ロットによる濃度の差はあるとしても、
「ほぼ全員が、抗体依存性増強の懸念を抱えることとなってしまった」
のです。
そんなことは専門家たちは(少なくとも今は)ほとんどみんなわかっているはずなのに、先ほどの NHK の報道のように、今でも、
> ……妊婦自身のためにも生まれてくる赤ちゃんを守るためにも妊婦の方には接種を考えてもらいたい」と話しています。
こんなこと言ってる。
実際にはメディアの記者たちも今は知っているはずです。
なぜ、今なお被害を拡大しようとしているのかがわかりません。
何の意図?
いずれにしましても、今回の日本の研究で、赤ちゃんにもお母さんから多くの抗体が移行することがわかりました。
それは多くの場合、中和抗体から感染増強抗体へ移行します。
妊娠されている方々はそのあたりを真剣に考えていただきたいと思います。