大量死 戦争の時代 異常な現象

イランで何が起きているのか? イラン全土で数百人の女子学生たちが何者かに「毒ガス攻撃」を受け続けており、多数が入院

投稿日:


ヒジャブを義務づけられているイランの女子学生たち。republicworld.com



 

イランでの異常事態

中東の英字メディア「ミドルイースト・アイ」を見ていましたら、

「何百人ものイランの女子学生たちが何者かにより毒ガス攻撃を受けている」

という報道がありました。

最初はちょっと意味がよくわからなかったのですが、他の報道などを見ていまして、「まさか、この目的は…」と思うような部分に行き当たりました。

まずは、そのミドルイースト・アイの報道をご紹介します。


イラン:何百人もの女子学生に毒で攻撃しているのは誰なのか?

毒物事件をめぐって超保守派や反対派グループに疑念が向けられる中、イランでは怒りと恐怖が高まっている

Iran: Who is poisoning hundreds of schoolgirls?
Middle East Eye 2023/03/01


知事の庁舎の外で、学校での毒ガス攻撃をめぐって抗議する親たち。

イランの何百人もの女子学生たちが、当局が「意図的な」ガス攻撃と説明したものによって攻撃されており、ここ数週間で多数が入院している。

事件はイラン全土で報告されているが、大多数の事件は聖なる都市コムを中心に起きている。

BBC は、これまでにコム市で 800人もの学生が中毒に陥り、首都テヘランでも多くの症例が報告されたと報じた。ユーネス・パナヒ副保健大臣はメディアに対し、毒ガス攻撃は意図的なものである可能性が高いと語った.

中毒になった学生を治療した医師は、被害者は「下水や塩のような匂いがして、めまい、吐き気、呼吸困難の症状があった」と語った。

彼が治療した女子学生たちの多くは、「学校内に疑わしいものが投げ込まれたのを見た」と言ったという。

しかし、これまでのところ、誰がこれを行っているのかを特定することはできておらず、超保守主義者が女子の教育を妨害しようとしていることを示唆する人もいれば、反政府反対派グループを指摘する人もいる。

 

「私の学校では、550人の生徒のうち、学校に来ているのは 4人だけです。生徒たちは怯えています」 - 匿名の教師

中毒の影響を受けた学校の 1つの女性教師に話を聞いた。匿名希望の教師によると、同僚 2人も入院したという。

「毒の匂いは腐った匂いのようなものですが、ガスではありません。ガスの匂いに近く、同時に濃厚で刺激的な匂いのようなものです」とその教師は説明した。

「生徒たちは激しい咳と呼吸困難に直面し、何人かは入院しました」

イランの保健省は、毒の影響は軽度であり、主に「筋肉の衰弱、無気力、数時間の吐き気」を引き起こしていることを強調している。

しかし、度重なる事件により、保護者は子供を学校に通わせることを非常に心配しており、毒の性質と犯人に関する情報が不足しているために、恐怖がさらに高まっている。

話を聞いた教師は、「 550人の生徒のうち、学校に来ているのは 4人だけです。生徒たちは怯えています」と語った。

「毒の影響で数日歩けなくなった生徒もいます」

 

「過激派」の攻撃?

女子学生たちの中毒の考えられる動機については、多くの説が広まっている。よく語られているのは、宗教原理主義者グループが女性と少女の教育を妨害しようとしている可能性があるというものだ。

コム市に拠点を置くある保守派の聖職者は匿名を条件に、これは隣国アフガニスタンのタリバンに触発された「過激派」の仕業である可能性があると語った。

「そのような過激派の数はそれほど多くはなく、主にマシュハド、シラーズ市、ゴム市、イスファハン市などで見つけることができますが、実際には少数派です」と彼は言った。

彼は、これらのグループは、女子の教育が「腐敗」を広め、家族とイスラムの価値観の両方を損なうものと見なしていると述べた。

「そのような人々の宗教に対する認識は反動的で、ばかげており、賢明ではありません」と彼は付け加えた。

他の宗教的および政治的人物のひとりも、この理論に同意した。

改革派政府の高官であった聖職者モハンマド・アリ・アブタヒ師は、考えられる犯人をアフリカを拠点とする過激派グループであるボコ・ハラムと比較した。

「過激主義、特に宗教的なものは、すべての社会にとって最大の危険です」とアブタヒ師は警告し、過激派を特定して逮捕するよう治安機関に呼びかけている。

一方、女性と家族問題の元副大統領であるマソメ・エブテカール氏は、 警察と司法が「直ちに」行動する必要があるとツイートし、この事件を、2014年にイスファハン市で起きた、「適切な」ヒジャブ (※ 頭や身体を覆う布)をしていない女性に対しての一連の酸攻撃に例えた。

 

テロ対策を求める市民たち

多くの人々が政府に対し、この毒ガス攻撃をテロ関連として扱い、テロ対策の調査を開始するよう求めている。

イラン国営ファールス通信によると、治安当局は 2月28日、攻撃に関連して 3人の容疑者を逮捕した。

ファールス通信は、この毒攻撃がイスラム共和国の転覆に専念しているイランの反対派グループであるモジャヒディン・エ・ハルク(MEK)に関連する「未確認の」報告があると述べた。

1979年のイスラム革命を最初に支持したモジャヒディン・エ・ハルクは、シャー後の政権と決別する前は、1980年代に国内で多数の致命的な爆弾攻撃を実行したが、ここ数十年、彼らは主に外国政府へのロビー活動と、反対する国際的なキャンペーンに焦点を当ててきた。

3月1日、イラン国営のタスニム通信は、108人の学生の入院を余儀なくされた北部の都市アルダビールで別のガス攻撃があったと述べた。報道機関はまた、テヘランの 3つの学校でのさらなる毒ガス攻撃を報告した。

攻撃に関するあいまいさと政府からの情報の欠如は、国中の怒りをかき立てている。

女子学生の保護者たちはコム市の行政庁舎の外で抗議し、子供たちを守るためにもっと多くのことをするよう求めた。

この一連の攻撃は、「不適切なヒジャブ」により逮捕されたクルド人女性のマサ・アミニさんが拘留中に死亡したことをきっかけに、国内の女性の扱いに焦点を当てた大規模なデモが何ヶ月にもわたって発生した中で起きた。


 

ここまでです。

なかなか重い話ですが、こちらの報道は、この攻撃で、11歳の女の子が死亡したと伝えています。

先ほどの記事にありました症状の、

・激しい咳と呼吸困難
・筋肉の衰弱
・数時間の吐き気

などは決して軽いものとはいえず、また、どんな薬物を使っているのかはわからないですが、特に神経系などへの後遺症や副作用も考えられないことではありません。

そして、他の報道には以下のようにありました。

 

> 副保健大臣は、「イランのすべての学校、特に女子校を閉鎖することを望んでいる人がいることがわかった」と述べたSCMP

 

昨年 12月に、隣国のアフガニスタンのタリバン政権が、

「学校を含むアフガニスタンの学校への女子と女性の通学をすべて禁止」

とする通達を出しました。

(報道) タリバンが、小学校を含むアフガニスタンの学校への女子と女性の通学を全面的に禁止。女性教師もすべて解雇 (2022/12/22)

 

イランにも、こうした「女子の学習の全面的な停止」を企てている人あるいは組織があるということになるのかもしれません。

それにしても、イランの写真は空気が重いです。

先ほどの記事にも出てきたコム市という街にある女子学校は、宗教都市という性格もあるのかもしれないですが、女子学生の出で立ちは以下です。

イラン・コム市の女子学生の授業風景

hindustantimes.com

 

アフガニスタンでは、タリバン政権は、イスラム教の法制度である「シャリア法」の厳格な施行を昨年、司法機関に要求しました。

イランにも同じように考える勢力がいるということなのかもしれません。

 

[記事] タリバン指導者がアフガニスタンで「シャリア法」の厳格な施行を要求。公開処刑、手足の切断、投石による死刑等の実施を裁判官たちに命令
 地球の記録 2022年11月15日

 

イスラム原理主義については何も知らないですが、こういうこういう重苦しい世の中の光景はどうもたえられない部分はあります。

世界全体として、今は「楽しく生活する」という空気が消えつつあります。

そして、太陽活動の活発化などから、イランも含めて、大衆からの激しい抗議活動は拡大しそうで、イランを含めた中東はこれから荒れそうです。







-大量死, 戦争の時代, 異常な現象
-, ,

Copyright© 地球の記録 - アース・カタストロフ・レビュー , 2024 All Rights Reserved.