7月18日にNASAの地球観測衛星ランドサット8号が撮影したフィンランド湾の状況
・NASA
先日、北欧のスウェーデンが歴史的な猛暑と干ばつによって、国内数十カ所で森林火災が発生していることについて以下の記事でご紹介しました。
スウェーデンで歴史的な猛暑と乾燥のために「建国史上最悪の山火事」が発生中。全土50カ所以上で火の手が上がっており、鎮火の目処は立たず
現在、北欧は他のどの国も同じような状況にあるようなのですが、スウェーデンの隣国フィンランドの領域内にある「フィンランド湾」で、異様な光景が展開されていることを NASA の地球観測衛星が撮影しました。
それは、冒頭でもご紹介しましたが、下のような光景です。
7月18日 フィンランド湾。渦の直径は30キロメートル以上
・NASA
このフィンランド湾の場所は以下となります。
フィンランド湾の場所
・Google Map
この写真を見て思うのは2つの疑問です。
「なぜ海がこんな色となっているのか」
「なぜ渦を巻いているのか」
これらの理由について、簡単に書きますと、次のようになるようです。
・海が緑色の理由 → 藻(主にシアノバクテリア)の大発生
・渦を巻いている理由 → 不明
というように、渦を巻いている理由は不明ですが、海が緑色をしている理由は、現在、フィンランド湾で「青藻」が大発生していることによります。
冒頭の NASA のウェブサイトによれば、バルト海から北欧の海にかけて、同じような「藻の大発生」が起きていて、それによって、「デッドゾーン」と呼ばれる海洋生物が生きられない海域が増加しています。
現在、それらの海域のデッドゾーンは、7万平方キロメートルに拡大していると見られています。
もちろん、本来の北欧周辺の海は、夏であろうと藻が大発生するような場所ではありません。
これに関して、このような状態となっている理由は先月の以下の記事でご紹介しました「ヨーロッパ周辺の異常に高い海水温度」が関係していると思われます。
今年 6月のヨーロッパ周辺の海水温度は下のように異様なことになっていました。
2018年6月18日のヨーロッパ周辺の海水温度の平年との差異
・NOAA
そして、今はどうかといいますと、「どうやら、さらにひどいことになっている」ことが海水温度のデータからうかがえます。
下は、7月24日の海水温度の平年との差異で、北欧の部分を拡大しています。
2018年7月24日の世界の海水温度の平年との差異
北欧周辺の海域の気温差の色わけが、ほぼ「茶色」となっていることがわかります。これは、この周辺の海域の海水温度が平年より、ほぼ 3℃以上高いことを示しています。
これだと、海の状況が異常となるのも理解できなくもないです。
この異常な海水温度の中、フィンランド湾は「藻の大発生で緑に染まった」ということになったようです。
そして、ヨーロッパの周辺全域が同じように海水温度が高い状況となっていて、ここまで広範囲ですと、水産資源などへの影響もありそうです。
なお、お気づきかと思いますが、実は「日本周辺の海域も同じように異常に海水温度が高い」のです。日本の海水温度については、ここでは詳しく述べないですが、この状態が続くようですと、台風などの状態も含めて、いろいろと大変なことが今後も続くのかもしれません。
それにしても結局、フィンランド湾の、
「渦」
は何なのだろうということがよくわからないままですが、「緑色の渦を巻く海」という、ちょっと終末的な光景を見まして、ご紹介させていただきました。