シンガポールに関しては、アジアというより世界で最も高い二度のワクチン接種率(現在 93%)、あるいはブースター接種率 (現在 64%)を誇る国として、昨年以来注目していました。
その理由のひとつは、
「アジア民族でもワクチンの悪影響を受けるのかどうか」
ということについての注目でした。
シンガポールの人たちが悪影響を受けるのなら、日本を含めて、ワクチン接種率の高い他のアジア諸国も同じようになる可能性があるからです。
また、シンガポールは、基本的に「年中暖かい国」ですが(1年中、最高気温は 30 - 31℃)、そのシンガポールで感染拡大が収まらないのでしたら、たとえば、日本や韓国など、これから暖かくなっていくような国でも「気温と感染抑制に関係がなくなる」ということで、春でも夏でも感染拡大は起こり得ることになります。
そのあたりを伺う意味でも、シンガポールの状況は長く見続けています。
シンガポールのコロナ感染拡大の流れとしては、まず昨年の 9月に、パンデミック開始以来最大の感染確認数が記録されました。以下の記事にあります。
世界最高率の全国民80%のワクチン接種率を誇るシンガポールが、全パンデミック期間を通じて最大の感染確認数を記録
投稿日:2021年9月24日
それでも、この時の波の感染確認数はまだ最高で 3000人程度ものでした。
この波はその後収まりましたが、「感染が収束してすぐ」に昨年 12月頃から新しい波が始まり、今年の 1月には、新たな感染数が前回の時の 10倍となる 1万人に達しました。
ブースター接種率が世界最高級のシンガポールで、前回の波を大幅に上回る「 1日の感染者が1万人超」を記録
投稿日:2022年1月23日
その後も新たな感染確認数が減少することなく現在に至り、2月7日には、新たな感染数が 1万5000人を記録しています。
感染数は一直線に増え続けていまして、今のところ下げ止まる気配はありません。
シンガポールは医療水準が高いですので、死亡者数は劇的には増えてはいませんが、ここにきて少しずつ死者も増えています。
なお、シンガポールの大手報道社ストレイツタイムズによれば、シンガポールでも、子どもの感染数が多いと報じられており、報道には以下のようにありました。
> シンガポール保健相は、12歳未満の子どもが、すべての年齢層の中で最も感染率が高く、人口 10万人あたり約 67人であると述べた。
>
> 次に 12歳から 19歳の人々の感染率が高く、人口 10万人あたり約 55人の感染率だった。 (straitstimes.com)
ストレイツタイムズの報道は以下です。
なぜ子供たちはオミクロン変異体によってより激しく影響を受けているのか
Why are children hit harder by the Omicron variant of Covid-19?
子どもの感染と入院が多いことについては、先日の以下の記事でご紹介しましたデンマークのデータと同じです。デンマークでは圧倒的に若年層の感染が多いです。
オミクロンBA.2の「さらに新しい変異種」が拡大するデンマークでのコロナ死者数が過去1年で最大に。若年層の感染数、入院数が急増中
投稿日:2022年2月12日
また、感染数はともかくとしても、デンマークで「若い人の入院率が高い」ことは気になるところでもあります。以下の記事にグラフがあります。
厚生労働省による広域火葬計画下の日本の「オミクロン後の社会」を、デンマークの国家機関データから考える
In Deep 2022年2月13日
デンマークの年代別の入院患者数
files.ssi.dk
シンガポールでも、12歳以下の入院者が比較的出ていることが報じられています。
いずれにしましても、「温暖な気候の国」であり「ワクチン接種率がとても高い国」であるシンガポールがこのような状況である以上は、日本や韓国などのワクチン接種率が高い国でも、春あるいは夏にかけて、再度の流行波に(繰り返し)見舞われることがあっても不思議ではないです。
実際、やはり比較的温暖な香港でも感染者数は過去最大となっています。
・香港のコロナ感染確認数がパンデミック開始以来最多に (マカオ新聞 2022/02/14)
あるいは、タイやマレーシア、インドネシアなど、やはり温暖…というより年中暑い東南アジアの国でも、1月に始まった感染増加が続いています。
コロナ変異種の感染要因には、もはや、気温や湿度などの環境要因はほとんど関係なくなっているようです。
環境に関係なく、ワクチン接種率の高い国や地域に繰り返し流行波を発生させるだけの存在となっているようで、たとえば日本も、そのうち現在の流行は終わるでしょうが、日本もブースター接種を推進している以上、そのブースター接種の推進を先におこなっていたシンガポール同様、「またすぐ流行が始まる」ことになることは避けられないとみられます。
春も夏も関係なく続く。
国民全体にワクチン接種キャンペーンを行った国家の代償は、果てしなく続いていくと思われます。