2月7日に、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課が、各都道府県、市町村などにあてて、
「オミクロン株の感染流行に対応した広域火葬計画の整備について」
という事務連絡文書を送付していました。
以下にあります。
オミクロン株の感染流行に対応した広域火葬計画の整備について
厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課 令和4年2月7日
以下のように書かれています。
オミクロン株の感染流行に対応した広域火葬計画の整備について
厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課
火葬行政関連業務については、日頃より御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
他方で、今般のオミクロン株の感染力の高さは各方面から指摘されているところであり、死亡者数も再び全国的に増加している状況にあります。
火葬場については、国民生活・国民経済の安定確保に特に不可欠な業務を行う事業者であることから、先月17日に事業継続方法の検討を依頼する事務連絡を発出したところですが、その後、各都道府県における対応状況を聴取したところ、新型インフルエンザ等の感染症のまん延時においても、災害発生時と同様に、広域火葬計画に則った形で要員の派遣要請及び受入を行うことが非常に重要となると考えられます。
このことは、死亡者数の増加に対応した広域火葬体制の整備という点でも同様であり、各都道府県におかれては、緊急の事態に対応できるよう、広域火葬計画を改めてご確認いただき、必要に応じて、下記広域火葬計画を参考に規定の整備を行っていただくようお願いいたします。
ここに「下記広域火葬計画」というところにあるのは、「神奈川県広域火葬計画」と「千葉県広域火葬計画 」というリンクで、これを参考に広域火葬計画の整備を進めてほしいということのようです。
その神奈川県広域火葬計画の内容を掲載させていただきます。
内容は「戦時」そのものです。
神奈川県広域火葬計画
第1 総則
1 目的
この計画は、神奈川県地域防災計画及び神奈川県医療救護計画に定められた埋・火葬対策の円滑な実施及び遺体の適正な取扱いを確保するため、県、市町村及び火葬場設置者が行うべき基本的事項を定め、もって被災市町村における公衆衛生の確保及び遺族等の精神的安寧を図ることを目的とする。
2 定義
(1)この計画において「災害等」とは、大規模災害、我が国に対する外部からの武力攻撃及び新型インフルエンザ等の感染症の大流行をいう。
(2)この計画において「広域火葬」とは、災害等により被災市町村が平常時に使用している火葬場の火葬能力だけでは、当該市町村内の遺体の火葬を行うことが不可能となった場合(当該火葬場が被災して稼働できなくなった場合を含む。)において、主に県内の火葬場を活用して広域的に火葬を行うことをいう。
3 基本方針
県、市町村及び火葬場設置者は、災害等により広域火葬が必要になった場合は、この計画に基づき広域火葬を実施するとともに遺体の取扱いに配慮するものとする。
4 災害時相互応援協定との関連性
この計画は、災害対策基本法(以下「法」という。)第5条の2及び第8条第2項第12号の規定に基づき他の地方公共団体と締結した相互応援協定等と整合性を図り、これらとあいまって円滑な広域火葬の実施及び遺体の適正な取扱いに対応するものとする。
第2 事前対策計画
1 火葬場及び連絡担当部局等の把握
県は、次の事項を定期的に把握し、市町村に情報提供するものとする。また、火葬場を設置する一部事務組合(以下「一部事務組合」という。)に対しても、同様の扱いとする。
(1)県内及び近隣都県(関東地方知事会、関東甲信越静ブロック環境衛生主管課長会及び九都県市首脳会議を構成する都県をいう。以下同じ。)内の火葬場に係る名称、所在地、連絡先、火葬炉数、火葬炉の型式、使用燃料、周辺交通事情及びその他必要な事項
(2)市町村及び近隣都県の広域火葬に係る連絡担当部局の名称、連絡先及びその他必要な事項
2 広域火葬等実施組織の整備
(1)市町村は、災害等発生時の遺体の取扱い体制、火葬実施体制、情報伝達等について、あらかじめ定めておくものとする。
(2)一部事務組合は、災害等発生時の火葬実施体制、情報伝達等について構成市町と協議し、あらかじめ定めておくものとする。
(3)民間の火葬場設置者にあっては、災害等発生時の火葬受入体制、情報伝達等の整備に努めるものとする。
(4)県は、前記(1)から(3)までに関して必要な協力等を行うものとする。
3 資器材等の確保及び関係事業者との協定締結
市町村は、必要に応じて次の事項に係る措置を講じておくものとする。
(1)災害等発生時に使用する遺体安置所の確保、棺及び遺体保存剤(ドライアイス)の確保、作業要員の確保方法並びに火葬場までの搬送手段の確保方法及び搬送経路及びその他必要な事項
(2)感染性遺体を収納する際に必要とされる非透過性納体袋の確保、及び作業要員の感染を防止するための手袋、マスク等感染予防のための物品の確保方法
(3)災害等発生時における資器材の確保を目的とした葬祭業者、霊柩車運行業者等の関係事業者又は関係団体との協定の締結
(4)遺体の搬送及び資器材の搬送に使用を予定している車両については、法第76条第1項に規定する緊急通行車両として、県公安委員会に事前に確認を受けてお
くものとする。
4 情報伝達手段等の整備
県は、市町村、火葬場設置者及び近隣都県間の広域火災の円滑化を確保するために必要な情報伝達の手順、書類様式等をあらかじめ定めておくものとする。
5 広域火葬の模擬計画及び訓練
(1)市町村及び火葬場設置者は災害等の種類及び規模、死亡者数及び所在、火葬場の被害状況、周辺交通事情等、複数の被害状況を想定し、各状況に応じた広域火
葬の模擬計画の作成に努めるものとする。
(2)県は、必要に応じて次の事項を行うものとする。
ア 市町村等関係者に対する広域火葬計画の周知徹底
イ 被害想定に応じた広域火葬訓練の実施
第3 災害等発生時対応計画
1 広域火葬支援班の設置
県は、広域火葬が必要であると判断した場合は、広域火葬支援班を保健福祉局生活衛生部生活衛生課に設置(法に基づく災害対策本部が設置されている場合は、同本部とする。)し、情報の収集及び災害規模等に応じた応援可能な火葬場の選定を行い、効率的な広域火葬を推進するものとする。
2 被災状況の把握
(1)火葬場を設置する市町及び一部事務組合(以下「火葬場設置市町等」という。)は、災害等発生後、速やかに火葬場の被災状況、火葬要員の安否及び出動の可能性並びに火葬能力等の把握を行い、県に報告するものとする。
(2)民間の火葬場設置者は、前記の報告を行うよう努めるものとする。
(3)被災市町村は、災害等発生後、速やかに区域内の死者数の把握を行い、県に報告するものとする。
(4)県は、前記(1)から(3)までの報告及び神奈川県災害情報管理システムにより被害状況を把握し、速やかに厚生労働省に報告するものとする。
3 広域火葬の応援・協力の要請
(1)被災市町村は、広域火葬が必要と判断したときは、速やかに県に対して広域火葬の応援を要請するものとする。
(2)県は、被災市町村からの応援要請又は県自らの判断により、火葬場設置者及び必要に応じて近隣都県に対し、広域火葬の応援依頼を行うとともに、厚生労働省にその旨を報告するものとする。
(3)県は、県内の火葬場及び近隣都県だけでは広域火葬への対応が困難であると判断した場合は、速やかに厚生労働省に対し近隣都県以外の道府県(以下「他の道府県」という。)への応援要請を依頼するものとする。
(4)県及び火葬場設置市町等は、県内又は近隣都県内で災害等が発生したときは、速やかに広域火葬の応援体制を整え、積極的に対応するものとする。
(5)県及び火葬場設置市町等は、厚生労働省より他の道府県への広域火葬の応援要請があったときは、積極的にこれに対応するものとする。
(6)民間の火葬場設置者は、前記(4)及び(5)と同様の対応に努めるものとする。
4 火葬場の割振り及び調整
(1)県は、火葬場設置者、近隣都県及び他の道府県の広域火葬の応援承諾状況を整理し、被災市町村ごとに火葬場の割振りを行い、これを被災市町村に通知するとともに、応援を承諾した火葬場設置者、近隣都県及び他の道府県に対し応援依頼の通知を行うものとする。
(2)被災市町村は、県の割振りに基づき、遺体安置所及び遺族が保管している遺体について火葬場の割振りを行い、応援を承諾した火葬場設置者と火葬の実施方法等について詳細を調整するものとする。
(3)被災市町村は、災害等の規模、交通規制状況等の非常事態のため火葬場が限定されていること等を遺族に対して説明し、当該市町村が遺体を直接割り振られた火葬場に搬送することについて同意を得ることに努めるものとする。
5 火葬要員の派遣要請及び受入
(1)火葬場設置者は、当該火葬場の職員が被災したために火葬場の稼働ができない場合は、県に対し火葬要員派遣の手配を要請するものとする。
(2)県は、火葬場設置者からの要請に基づき、他の火葬場設置者又は近隣都県に対し、火葬要員の派遣について依頼するとともに、厚生労働省にその旨を報告するものとする。
(3)県は、県内の火葬場及び近隣都県だけでは火葬要員の確保が困難であることが判明した場合は、厚生労働省にその旨を報告し、他の道府県等の応援を依頼するものとする。
(4)県及び火葬場設置市町等は、県内又は近隣都県内で災害等が発生したときは、火葬要員の応援依頼を踏まえ速やかに応援体制を整え、積極的に対応するものとする。
(5)県及び火葬場設置市町等は、厚生労働省より他の道府県への火葬要員の応援要請があったときは、積極的にこれに対応するものとする。
(6)民間の火葬場設置者は、前記(4)及び(5)と同様の対応に努めるものとする。
6 遺体の取扱い
(1)死者に対する礼を失することなく、遺体の適切な取扱いをすることを念頭に行動する。
(2)被災市町村は、火葬の実施までに時間を要する場合には、遺体数に応じた十分な数の遺体安置所の確保、遺体の保存のために必要な物資の調達、作業要員の確保など、遺体の取扱に係る必要な措置を講ずるものとする。
(3)特に、感染性の遺体は、遺体保存剤(ドライアイス)とともに非透過性納体袋に納め、速やかな火葬について配慮するものとする。
(4)県は遺体の保存のために必要な物資の調達及び作業要員の確保について、被災市町村より要請があったときは、これに応ずるものとする。
(5)被災市町村は、遺体を取扱う場合は、別添「遺体の取扱いに対する心得及び遺体適正処理ガイドライン」を実施基準として行うものとする。
7 遺体等の搬送手段の確保
被災市町村は、火葬場までの遺体保存のための資器材の搬入車両及び遺体を火葬場まで搬送する車両は、あらかじめ県公安委員会の確認を受けた緊急通行車両を用いるものとする。なお、緊急通行車両が十分に確保できない場合は、関係業者、自衛隊等の協力を県に要請するものとする。
8 相談窓口の設置
被災市町村は、広域火葬を円滑に実施するために相談窓口を設置し、広域火葬に係る情報提供を行うものとする。
9 災害以外の事由による遺体の火葬
被災市町村は、当該市町村の区域内の自然死病死等、災害等以外の事由による遺体の火葬についても広域火葬の対象とし、相談窓口において火葬の申込を受付けるものとする。
10 火葬に係る特例的取扱い
(1)市町村及び火葬場設置者は、被災市町村が迅速な火葬許可事務の実施が困難であると認められる場合には、戸籍確認の事後の実施等、実態に応じた事務処理を
行うものとする。
(2)県は、市町村等から前記(1)に係る協議があったときは、直ちに厚生労働省に照会し、その結果を市町村等に連絡するものとする。
11 火葬状況の報告
(1)被災市町村は、自ら設置する火葬場における火葬実績及び近隣被災市町村から搬入した広域火葬実績を災害等による遺体とその他の原因による遺体とに区分して、県に日報として報告するものとする。
(2)広域火葬を行った火葬場設置市町等(前記(1)の報告を行った市町を除く。)及び民間の火葬場設置者は、災害等による遺体とその他の原因による遺体とに区分して、県に日報として報告するものとする。
(3)県は、県内の火葬場からの日報をとりまとめ、厚生労働省に報告するものとする。
12 引取り者のない焼骨の保管
被災市町村は、引取り者のない焼骨については遺骨保管所等に保管するものとする。