最期の食糧危機

インドがコメ輸出停止を発表した後から米国で「コメのパニック買い」が発生。地域により価格は一気に3倍以上に

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Jim Ferguson




 

コメ生産国の気候がさらに悪化し続ける中で

少し前、世界最大のコメ輸出国のインドが、「コメの完全な輸出禁止を検討している」ことを取り上げたことがあります。

[記事] 世界最大のコメ輸出国であるインドが「コメの完全な輸出禁止」を検討
 投稿日:2023年7月16日

 

その後、7月20日にインド政府は、バスマティ米以外のすべてのコメの輸出を停止することを発表しました。バスマティ米というのは、香り米の一種で、やや特別なものです。

その直後から、アメリカのいくつかの州で「コメの買い付けパニック」が起きていることを、デイリーメールが伝えています。

インド系住民などの多い地域ではかなりのパニックとなっているようで、価格も急激に上昇していると伝えられています。

今のところ、パニックが確認されているのは、以下の州となっています。

パニックが発生している州

dailymail.co.uk

テキサス州、ミシガン州、ニュージャージー州、アラバマ州、オハイオ州、イリノイ州、カリフォルニア州などでインド系アメリカ人がパニック買いをしている様子が店舗のカメラに映っているとデイリーメールは伝えています。

生産地の気候の問題が世界全体的に拡大している中で、インドは今は、大雨と洪水の影響を受けており (水没したままの水田が多数発生している模様)、コメ輸出が再開されるとも思えず、また、世界第2位のコメ輸出国であるタイでも、政府がエルニーニョによる水不足対策として、コメ生産の削減を要請しています。

(報道翻訳) タイ政府が米作農家に、「エルニーニョによる水不足に備えて、コメの生産量を減らすように」要求
 BrainDead World 2023/05/13

 

今年 4月に格付け機関のフィッチが予測していたコメ不足はいよいよ本格的なものとなりそうです。

[記事] 「世界のコメ不足は過去20年で最大になる」と信用格付機関フィッチが発表。…日本の近年最大のコメ不足時と同様の強力エルニーニョが迫る中で
 In Deep 2023年4月22日

デイリーメールの記事をご紹介します。




 


インドのコメ輸出禁止で米国のスーパーマーケットでパニック買いが発生 - 20ポンド袋の価格が16ドルから50ドル近くに高騰

India's rice export ban triggers panic buying at US supermarkets - sparking costs of 20-pound bag to soar from $16 to almost $50
Daily Mail 2023/07/24

インドのコメ輸出禁止が、米国のスーパーマーケットでコメパニック買いを引き起こしており、一部の店舗では 20ポンド袋の価格がもともとの 16ドル (約 2300円)から 50ドル (約 7000円)近くまで高騰した。

世界のコメ輸出量の 40%を占めるインドは 7月20日、国内価格を沈静させるため最大のコメ輸出品目である非バスマティ米の輸出停止を命令し、世界的なコメ不足への懸念を引き起こした。

週末にソーシャルメディアでシェアされた動画や報道では、テキサス州、ミシガン州、ニュージャージー州、アラバマ州、オハイオ州、イリノイ州、カリフォルニア州などでインド系アメリカ人たちが長蛇の列に並んだり、パニックになってコメを買い占めたりする様子が映っている。

Business Line は、一部の店舗では、20ポンドの袋の価格を 46.99ドル (約 6600円)に値上げし、パニックに乗じて金もうけを始めていると報じている。

PBSフロントラインによると、米国のコメ価格は平均約 11%上昇した。

オハイオ州メイソンのある店では、コメを一人当たり 20ポンド袋 1袋に制限しており、価格は 24ドルであると PBSが報じた。

非バスマティ米は、伝統的なアメリカのレシピだけでなく、アジア料理やメキシコ料理でも使用される最も一般的なコメだ。

コメは、地球の 30億人以上の人々にとっての主食であり、また、コメ栽培は水を大量に消費する。そしてコメ生産の 90%近くは、エルニーニョ現象の影響下で降水量が少なくなる傾向があるアジアで生産されている。

しかし、逆にインドでは、ここ数週間にわたる大雨により、パンジャーブ州とハリヤナ州で新たに植えられたコメに被害が及んでいる。

水田は1週間以上水没しており、苗木は破壊され、農家は稲の種を植え直すまで待機を余儀なくされている。

他の主要なコメ作国では、農家は水田の苗床を準備したが、降雨量が不十分なため苗を移植することができなかった。

ニューデリーがコメの買い取り価格を引き上げたことで、コメ作付面積は増加すると予想されていたが、これまで農家が田植えした面積は 2022年よ​​り 6%減った。

インド、タイに次ぐ世界第 3位のコメ輸出国であるベトナムから今週輸出されるコメの価格は、エルニーニョによる供給懸念の高まりを受け、過去 10年以上で最高値に上昇した。

ベトナムの 5%砕米は 1トン当たり 515~525ドルで販売され、2011年以来の高値となった。インドの 5%砕米はパーボイルされた品種で、1トン当たり 421~ 428ドルで過去 5年間の最高値付近を推移している。

ある欧州トレーダーによると、5%砕米の価格は 1トン当たり 600ドルになる可能性があるという。

別の欧州ディーラーによると、一般的にベトナム米やタイ米を購入している中国とフィリピンは、大幅に高い価格を支払うことを余儀なくされるだろうという。

タイとベトナムは不足分を補うのに十分な在庫を持っていないが、インドの決定により最も影響を受けるのはアフリカのバイヤーになるだろうとラオ氏は述べ、多くの国がニューデリーに出荷再開を求めるだろうと付け加えた。

インド米の他の上位購入国には、ベナン、セネガル、コートジボワール、トーゴ、ギニア、バングラデシュ、ネパールが含まれる。

コメ輸出業者協会のクリシュナ・ラオ会長はロイターに対し、「インドは、ウクライナがロシアの侵攻で小麦市場に与えたよりもはるかに速いスピードで世界のコメ市場を混乱させるだろう」と語った。







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