最期の食糧危機 異常気象

世界最大のコメ輸出国であるインドが「コメの完全な輸出禁止」を検討

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完全な輸出禁止を検討中と伝えられる

昨年、ロシアのウクライナへの侵攻が始まった後、世界中で食料価格のインフレが拡大する中、インド政府は、自国の食糧価格の上昇を受けて、「コメの輸出に高い関税を課す」ことを発表し、同時に、砕米という砕けたコメに関しては、輸出を禁止しました。

(記事)世界のコメ輸出の40%を担う最大の生産国であるインドが、コメ輸出に20%の関税を課すと発表。砕米の輸出は完全に禁止
 投稿日:2022年9月10日

 

砕米はクズ米などとも呼ばれますが、非常に用途は広く、日本では、米菓、味噌、日本酒、焼酎、調味料などの原料として使われていて、食糧構成の中で重要なものです。

その砕米の輸出は昨年禁止されたのですが、インドの食料インフレは収まっていないようで、世界の食料流通の調査データを示しているグロ-インテリジェンスの最新の報告は、

 

「インドからのほとんどのコメの出荷を禁止する可能性がある」

 

伝えています。

以下は、インドの過去 20年間のコメ価格の推移で、上昇幅は緩やかながら、上昇基調が続いていまして、コメ価格は 20年前の 3倍以上となっています。

過去20年間のインドのコメ価格の推移

gro-intelligence.com

インドは世界最大のコメの輸出国であり、仮に本当にインドがコメの輸出を全面的に禁止した場合、影響はかなりのものとなりそうです。

日本の場合は、日本米で賄えるので問題ない」という考え方もあるでしょうが、最近の気候を見ていると何ともいえない部分もあります。

現在、秋田県などで大変な大雨による被害が伝えられていますが、秋田県は日本で第3位のコメ生産地です。

そして、東北から北海道などでは断続的に寒冷前線のために平年より低い気温になる日が多くなっており、やや懸念される部分もあります。

世界を見ましても、それがエルニーニョの影響なのかどうかはわからないですが、世界の気温は何だかグチャグチャになっています。メディアは猛暑とか高温地域の話ばかりを取り上げますが、たとえば、以下のアジアの気温の「平年との差異」を見ましても、実際は寒いところの方が多いです。

2023年7月14日の平年との気温の差異

GFS 2m Temperature Anomalies

 

中国などは、南部で過度に暑く、北部では過度に寒い状況で、ロシアは全域が平年より非常に気温が低くなっています。

現在、「暑くて乾燥しすぎるか、寒くて雨が多すぎるか」の二択のような世界となっているようです。

このような気象の極端化が今後も続けば、食糧安全保障の面から、インドのように食料輸出を制限する国や地域が出てきても不思議ではありません。

インドがコメの輸出の禁止を実施するのかどうかは現時点ではわからないですが、インドも気象が不順ですので、可能性はありそうです。

もともと、以下の記事にありますように、今年は「世界的なコメ不足」がすでに予測されています。

(記事) 「世界のコメ不足は過去20年で最大になる」と信用格付機関フィッチが発表。…日本の近年最大のコメ不足時と同様の強力エルニーニョが迫る中で
 In Deep 2023年4月22日

 

アジアの多くの国では、主食はやはりコメであり、不足が起きれば、その影響は大きなものとなります。

グロ-インテリジェンスの報告をご紹介します。




 


インド、国内の食料インフレが高まる中、コメの輸出制限拡大を検討

India Considers Broadening Rice Export Curbs as Domestic Food Inflation Mounts
gro-intelligence.com 2023/07/15

インドの食料価格インフレの上昇を受けて、政府がコメの輸出をさらに制限し、同国からのほとんどのコメの出荷を禁止する可能性があるとの懸念が生じている。

インドは世界最大のコメ輸出国であり、世界出荷量の 40%以上を占めている。さらなる輸出制限により、既に上昇しているコメの世界価格がさらに上昇する可能性がある。

また、コメの輸入に大きく依存している国や地域の食糧不安が悪化するリスクもある。

インド米の主な目的地には、バングラデシュ、中国、ベナン、ネパールなどがある。他のアフリカ諸国も大量のインド米を輸入している。インドは、過去 1年で輸出価格が上昇しているにもかかわらず、世界で最も低コストの米の供給国の 1つだ 。

インドはすでに、一部のコメの輸出制限を実施しており、政府は昨年、砕米の輸出を禁止し、白米と玄米の出荷に 20%の関税を課した。インドの輸出制限の影響を受けるその他の商品には、小麦、小麦粉、砂糖が含まれる。

今週発表されたインドの統計は、食料価格インフレが依然として問題であることを示しており、伝えられるところによると、政府はバスマティ米以外のすべてのコメ、またはインドの総米輸出量の約 80%に影響を与える可能性のある、より広範な輸出制限を検討しているという。

インドは以前、2008年に非バスマティ米の輸出禁止令を制定している。

通常、各国は国内供給を維持し、国内価格をコントロールするために輸出制限を設ける。しかし、こうした措置により、多くの商品の世界的な供給がさらに逼迫する恐れがある。

主要なコメ輸出国の中で、供給可能性の重要な尺度である穀物の在庫対利用比率は、2023/24年にここ 5年間で最低のレベルに低下すると予想されている。

このような在庫の少なさは、出荷がさらに削減されれば、ロシア・ウクライナ戦争と世界中で主要作物の生産が抑制されていると見られる乾燥気候によって引き続き引き起こされる食料価格の上昇に拍車をかける可能性が高いことを意味している。

エルニーニョ現象の再発による農作物被害への懸念もコメ先物価格を押し上げ 、現在 2年ぶりの高値となっている。コメは水を大量に消費する作物だが、エルニーニョ現象時にはアジアの主要なコメ生産地域では降雨量が減少する傾向がある。

世界第 1位のコメ生産国であると同時に、世界最大の穀物輸入国でもある中国では、コメ栽培地域の高温と、平均を下回る降雨により、土壌水分がここ 10年以上で最低レベルにまで減少している。

インドのコメ輸出禁止によって最も影響を受ける国は、トルコ、シリア、パキスタン、そしてアフリカ諸国など、すでに国内の食料価格高騰に苦しんでいる国々だろう。

例えば、農業価格インフレ・アプリケーションによると、アフリカ最大のコメ輸入国のベナンでは、国内食料価格は現在、世界的な食料インフレが加速し始めた 2020年初頭と比べて 40%高くなっている。







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