徴兵部隊に強制的に車両に押し込まれるウクライナの若者。magyarnemzet.hu
腐敗のルツボ
ロシアとウクライナの戦争が長引く中、戦争に関してのさまざまな現実が、特に「ウクライナ国内からの発信」で明らかになるにつれ、以前は、ウクライナに同調的だった多くのヨーロッパのメディアが、ウクライナに対しての嫌疑を報じ始めています。
先日、ハンガリーの報道メディアが、「ウクライナにおける非人道的で腐敗した動員」というタイトルの記事を報じていました。
街中で、若者たちを強引に車中などに引きずり込み、そのまま徴兵される、という動画がウクライナ中で投稿されており、ウクライナの若い男性たちは、現在では「強制動員されることを恐れ、家から出ることをやめている」とさえ報じられています。
なお、なぜ、徴兵されていない男性たちがいるのかというと、
「ウクライナでは、平均 7000ユーロ (約 110万円)を支払えば、徴兵を回避できる」
からです。「支払えるお金があれば、戦争に行かなくていい」のです。
いろいろと極まった国家となっているようですが、このハンガリー語の報道を英語で伝えていた、やはりハンガリーのメディア記事をご紹介します。
なお報道では、それぞれに動画が貼られているのですが、状況は文字で説明されていますので、割愛しています。
強制徴兵に関するビデオが続々と公開される中、ウクライナの若者たちは家を出るのを恐れている
Young Ukrainians scared to leave their homes as more and more videos emerge of forced conscription
REMIX 2023/07/14
ウクライナの若者たちが最前線に送られることを避けるために全力を尽くす一方で、一部の徴兵隊員たちは見て見ぬふりをして小金を稼いでいる
ウクライナの前線の人員が減り始める中、ウクライナ軍指導者たちはロシアに対する反攻を前進させるための新兵の確保にますます必死になっている。しかし、そのような反攻にボランティアとして参加する若者の数は激減している。
ウクライナ全土で強制徴兵される若いウクライナ人男性たちの最近の動画が、ウクライナで人気の暗号化メッセージングアプリで拡散しており、前線に送られることを恐れている人々は、そのような運命を回避することに積極的に取り組んでいる。
ハンガリーのマジャール・ネムゼット紙の報道によると、ウクライナ軍の新兵募集職員による残忍な若者の強制動員は 1年半前から行われている。
「徴兵された男性の多くは、制服を着た男たちによって通りからまっすぐ連れ去られる」と同紙は述べている。「つい最近、サブカルパチア州で、店に行こうとしていた男性が白昼に自転車から誘拐される様子を監視カメラが記録していた」と報じている。
男性はムンカーチ市区の小さな村で、自転車を道路に放置したまま、日中路上で警察と徴兵隊員によって拉致された。
別のビデオには、トランスカルパティア州ムカチェヴォで、若者が意に反して、軍用のミニバスに押し込まれる映像が映っていた。
キエフやオデッサなど、ウクライナの他の主要都市からも同様の動画が投稿されている。
このような事例のビデオは、テレグラムや Viber などのメッセージングアプリで急速に拡散しており、ウクライナとロシアの両国で現在非常に顕著になっている「情報の自由の制限」をある程度回避することができる。
ウクライナ全土の地域で、軍の募集担当者たちが兵役年齢のウクライナ人男性を、不意を突いて軍隊に徴兵しようとする抜き打ちの移動検問所が増えているため、家から出ることを拒否している若者たちもいる。
ただし、過剰な徴兵はトランスカルパティア州に限定されていない。例えば、キエフとオデッサの間に位置するヴィーンヌィツャでは、地元軍補助司令部の職員が被害者を高級車に強制的に押し込む動画も出回っている。
あるウクライナの若い男性は放送局フランス24のインタビューで以下のように語った。
「多くのウクライナの若者たちはもはや家から出ていません。街には常に(強制動員の)リスクが存在します。危険がないか注意深く周囲を見回さなければなりません。それは本当にストレスとなっています」
「なぜウクライナの若者たちが軍隊に徴兵されたくないか? それは前線を維持するための代償を知っているからです。何千、何万もの命が犠牲になっています」
ウクライナの弁護士で軍事問題の専門家であるアンドリー・ノバク氏は、軍の新兵募集者の汚職は依然として蔓延しており、一部の徴兵将校たちは一攫千金を狙ってこの制度を利用していると述べた。同氏はフランス放送に対し、汚職のせいで、徴兵を回避するための違法な方法が存在すると語った。
過去 1年半にわたり、軍の新兵募集事務所が汚職の温床となっていたことはよく知られている。
ウクライナでは、平均 7,000ユーロ (約 110万円)で動員を回避できることは周知の事実だ。このため、警察官たちは信じられないほどの富を築くことができており、中には新たに手に入れた富を隠さず、新しい高級車で出勤する者たちもいる。
ごく最近では、オデッサの軍司令官エフゲニー・ボリソフ氏が、過去 1年間でスペイン海岸の豪華な邸宅に 400万ユーロ (約 6億2000万円)近く、高級車に 20万ユーロ (約 3200万円)近くを費やしたことが判明した。
ボリソフ司令官はまた、妻にコスタ・デル・ソルのチェーン店を買い与えた。1年半にわたって国境が閉鎖されていたにもかかわらず、ボリソフ司令官はスペインの宮殿で休暇を過ごすことができていた。
エフゲニー・ボリソフ、オデッサ補助部隊司令官
スペインのマラベラにあるボリソフ司令官の400万ユーロの別荘
ボリソフ司令官のこの事件はウクライナの国民たちに激しい抗議を引き起こし、約 2か月にわたる苦情の後、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、軍から追放すると宣言せざるを得なかった。ゼレンスキー大統領はすべての軍の官職を見直すとさえ約束した。
ウクライナの強制徴兵が最も攻撃的で陰険なのはオデッサだ。この地域は徴兵件数が最も多い地域でもある。抵抗する者はほとんどおらず、逃げる機会もあまりない。自宅からそのまま戦地へ連行される者もいる。
ウクライナでは戒厳令とそれに伴う動員が 8月24日まで延長された。しかし、さらに 90日間延長されることが見込まれており、ウクライナの男性たちはその後も安堵のため息をつくことができない。