銃が「禁止されていない」地区では乱射はまったく起きていない
アメリカのワシントン州では、銃所持についての法規制が施行されていて、つまり「人々が銃を手に入れにくい」状態となっています。
なんとなく、このような規制により犯罪や殺人は減少しそうな気がしますが、実際には、ワシントン州の殺人事件の件数は、2022年に、記録が残る 1980年以来「最多」となりました。
ワシントン州の殺人事件数の推移
Epoch Times
警官の数の減少など、いろいろな理由はあるようですが、しかし、「憲法修正第2条」というものを支持する人たちは、「銃規制こそ犯罪を増加させる」と述べています。
憲法修正第2条は、1791年に採択された憲法で、アメリカ国民が武器を保持、所持する権利を保護しているものです。
条文には以下のように書かれています。
「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない。」
このワシントン州の出来事は、解釈はなかなか難しいと思ってはいましたが、現実として、「銃の所持が規制されて以来、飛躍的に殺人事件が増加した」ということがあり、議論となっているようです。
そして、意外だったのは、今回ご紹介する記事に以下の記述があることでした。
> 犯罪予防研究センターがまとめたデータによると、1950年から 2018年までの銃乱射事件の 97.8パーセントが銃禁制区域で発生したことが確認されている。
データは、ほぼ「銃が禁止されている場所でだけ銃乱射事件が起きている」ことを示します。
「銃の禁止区域」と「禁止ではない区域」の銃乱射の発生状況
crimeresearch.org
つまり、「銃の所持が自由な地域では、乱射事件はほとんど起きていない」ようなのです。
これは意外なデータでした。
それについてのアメリカの記事をご紹介させていただきます。
銃規制可決後、ワシントン州の殺人件数が96%増加
Homicides in Washington State Rise 96 Percent After Passage of Gun Restrictions
Epoch Times 2023/07/13
最近ワシントン州の殺人件数が急増しており、合衆国憲法修正第2条支持者たちは、いくつかの銃規制措置の施行が原因だとしている。
7月10日に発表された報告書によると、2022年にワシントン州全体で殺人、暴力、財産犯罪の発生率が上昇した一方、対応して市民を保護するための警察官の数は減少したという。
具体的には、報告書は、2022年に 394件の殺人事件が発生し、2021年に比べて 16.6パーセント増加し、ワシントン保安官・警察署長協会がこのデータを記録し始めた 1980年以来最多の殺人事件があったことを明らかにした。2019 年以降、殺人事件は 96%増加した。 暴力犯罪は 8.9% 増加した。
7月10日の記者会見で、ワシントン保安官・警察署長協会事務局長のスティーブ・ストラカン氏は、犯罪が「現実の生活に現実的な形で」影響を及ぼし始めているため、住民は犯罪に対してより懸念していると述べた。
同氏は特に、2022年に過去最高となる 394人が殺害され、16.6%増加した殺人事件の増加について言及した。
「 2021年の過去最多の年と比べて 16.6%増加したということは、2019年の殺人事件数より 96%増加したことになる」とストラカン氏は語った。
1980年 - 2022年までのワシントン州の殺人件数の推移
2023年7月10日にワシントン保安官・警察署長協会が主催したメディア向けセッション中に示されたスライド。
ストラカン氏はまた、ワシントン州が 2021年に警察官の 4.4%にあたる 500人近くが削減されたことにも触れた。市民 1,000人当たりの警察官の一人当たりの損失は 1.38人にまで減少し、「これは過去最低であり、全米で最低だ」とも述べた。
2022年になっても状況は改善されなかった。
ストラカン氏は、州全体の正味の法執行職員数 (警察官)はさらに 70人減り、一人当たりの数は 1000人当たり 1.36人に減り、「これもまた過去最低であり、また全米で最低だ」と述べた。
ワシントン州の警察職員数は 13年連続で全米最低となった。
1980年 - 2022年までの人口当たりのワシントン州の警察職員数の推移
警察官に対する暴行は 20%増加し、2021年の 1,968件から 2022年には 2,375件に増加した。
法執行機関に対する暴行は 5年間増加傾向にあったが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックのロックダウン下ではわずかに減少した(59件減)。
ワシントン州の総人口は 93,262人増加したが、法執行官の数は 2021年に 10,736人から 10,666人に減少した。これにより、ワシントン州は住民 1,000人当たりの警察官の数で全米最下位となった。
2022年には警察官による暴行事件も 2,375件報告されており、20.7%増加した。警察官 2名が勤務中に死亡した。
一方、シアトル市議会は 2020年に警察予算を 20%近く削減したが、法執行機関の予算を 50%削減するという目標には届かなかった。報道によると、「それ以来、当局は低迷に陥っている」という。
「規制が裏目に出ている」
ワシントン保安官・警察署長協会の報告書に応えた 7月10日の声明の中で、武器保有・所持の権利市民委員会のアラン・ゴットリーブ委員長は、2019年以来 96%増加した殺人事件は「億万長者たちが支援する銃規制措置に問題があることの厳しき証拠だ」と述べた。
「 2014年のイニシアチブ 594号と 2018年のI-1639 の可決は、法を遵守するワシントン市民に、憲法違反であると我々が考える大規模な障害を生み出す以外に何も成し遂げていない」とゴットリーブ氏は述べた。
イニシアチブ 594は、銃器の購入者に身元調査を課し、許可を受けた販売業者のみが無許可の者に銃器を販売または譲渡することを義務付けている。
2018年5月2日に提出されたイニシアチブ措置第1639号は、「半自動突撃銃」の購入に制限を設け、購入者に「過去 5年以内に訓練を受けている」ことを要求し、購入者に待機の条件を課しており、受け取るまでに 10 ~ 60 営業日かかる。
同法はさらに、銃の販売業者に対し、「購入者が有効な隠し拳銃許可証を提示し、販売者が購入者の名前、許可証番号、発行機関を「三重に」記録するまでは、購入者に拳銃を引き渡してはならないと規定している。
ゴットリーブ氏は、ワシントン保安官・警察署長協会のデータはそのすべてが「裏目に出た」ことを証明していると語る。
「これらの調査結果は、ワシントン州が発議または立法プロセスによって可決したすべての銃規制措置について、私たちがこれまで述べてきたことを真に裏付けるものだ」と同氏は述べ、同州が、銃の権利を制限する法案を可決した後から、銃による暴力と殺人がエスカレートしたことを数字がどのように証明しているかを指摘した。
「 2022年の殺人列率、 1980年以来記録された最高の殺人率だ。つまり、ワシントン州での暴力を止めようとしていたいわゆる銃規制措置はすべて裏目に出ている」
同氏はまた、アメリカ人が憲法修正第 2条の権利を自由に行使できるようになると、特に憲法施行州で犯罪率が低下すると提案した。
2022年10月に発表された米国疾病管理予防センター(CDC)データの分析によると、何らかの形の許可のない携行または憲法に基づいた携行を許可している州では、「全体的な殺人および銃関連の殺人が少ない」ことが示されている。
逆に、ゴットリーブ氏は、銃規制法により法を遵守する国民が武器を所持する権利を制限している「民主党支配の州」では犯罪率が劇的に上昇していると述べた。
「シカゴ、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ボルチモア、フィラデルフィアなど、全国各地でこの現象が見られている」と彼は語った。「自衛手段がないと安全性が低くなる」
ゴットリーブ氏はまた、銃乱射事件のほとんどが「銃禁制」区域でどのようにして起こっているかについても語った。
犯罪予防研究センターがまとめたデータによると、1950年から 2018年までの銃乱射事件の 97.8パーセントが銃禁制区域で発生したことが確認されている。
この数値には常にあまり変化はない。