ロシア各地の大規模なミツバチの大量死を伝えるロシアの報道
世界中でミツバチに関しての問題が本格化して久しいですが、今年 2019年は、ロシアにおいても、ミツバチの大量死と大量失踪(蜂群崩壊症候群)が発生し続けていることが、報道でわかりました。
これまで、ロシアのミツバチの大量死はあまり聞かれたことがなかったですが、ここに来て、ついにロシアでも、それが始まったということのようです。
まずは、ロシアの通信社 RIA ノーボスチの報道をご紹介します。
ロシア農業省が、国内各地でのミツバチの大量死について声明を発表
ロシア連邦農業省は、声明で、ロシアのいくつかの地域で大量のミツバチが死に続けており、養蜂に重大な損害を与えていると述べた。
この夏、ロシアの様々な地域でミツバチの大規模な大量死が記録されている。
ロシア各地で大量死は見られるが、特に顕著な事例は、アルタイ地方のウドムチア、マリエル、リペツク、サラトフ、ウリヤノフスク、クルスクなどで観察されたものだ。
専門家は、このミツバチのコロニーの大量消失は、農薬や作物を処理するために使われる化学薬品などと関連付けられている可能性があるという。
ロシア農業省は、国の多くの地域でミツバチが大量に死んだために、畜産業のサブセクターとしてのロシアの養蜂業は、今年、重大な物的損害を受けていると述べた。
ミツバチの大量死が起きた各地域では、状況を分析する作業が進行中であり、その結果はロシア農業省に報告される。
当局は、以下のように述べる。
「さらには、将来的に、同様のミツバチの大量死状況が発生することを回避するために、農産に関わる地域当局は、農薬規制の遵守に関してロシア連邦の現在の法律を農家の方々とそして養蜂家に習熟させる説明および助言的な作業を行っている」
ロシア農業省はまた、認定試験所の助けを借りて、影響を受けた養蜂家がミツバチの大量死の特定の各事例において、養蜂場の被害の原因を正確に特定することが必要であるとも考えている。
原因が、農薬や化学薬品以外である可能性も考慮しなければならないとして、当局は以下のように声明で述べた。
「農薬や化学薬品の使用だけでなく、他の要因にもミツバチの生命活動を侵害する原因となる可能性があると考えている」
ここまでです。
この記事の中では、原因について、農薬などの化学薬品によるものである可能性について強く述べられていますけれど、しかし、農薬は今年から突然使われ始めたというものではないでしょうし、その影響が主要因だとすれば、もっと以前から同じ現象が起きていたと思われます。
ちなみに、アメリカでも現在非常に大規模なミツバチの大量死と大量失踪が続いています。以下の記事は、今年 6月のアメリカの科学メディアのものですが、昨年の秋から春までの冬期だけで、
「アメリカ全体のミツバチのコロニーの 40%が失われた」
ということが報じられています。
アメリカでの記録的なミツバチの消失を伝える科学メディア
しかし、アメリカの場合は、ミツバチの大量死の主要な要因は、異常に暖かかった冬の気温ではないかとされていまして、つまり、気候の異常がミツバチの大量死と関係していると推測されているようです。
昨年の春には、アルゼンチンで 7000万以上のミツバチが突如として死亡するという事象が発生したことを以下の記事で取りあげさせていただいたことがあります。
これも原因がまったくわかっていないようで、ミツバチの大量死や大量の失踪については、その原因は複雑だということはいえるのかもしれません。
もちろん、農薬も異常気象もそれぞれの要因のひとつなのかもしれないですが、それほど単純化できることでもないのかもしれないな、という気もします。
ミツバチが減少していくという事態の本質的な問題は、「ミツバチは植物の受粉に大きな役割を果たしている」というところにあります。
他にも、鳥や風や他の昆虫など、受粉に貢献している自然は数多くありますが、その中でも、ミツバチは最大級のものだと思われます。
今のペースで世界的にミツバチが減少し続ければ、将来的に食糧生産にも影響が出てくるのかもしれません。