数日前に、アイスランドの首都レイキャビク近くで群発地震が発生していることをご紹介しました。
・アイスランドで数日で5000回の火山性地震が発生。当局は「数日中に噴火が発生する可能性がある」と発表
投稿日：2023年7月7日
アイスランド気象庁は、数日内に噴火する可能性があると発表していましたが、7月10日にその予測通りに噴火が始まりました。噴火の場所は、ファグラダルスフィヤル山とケイリル山という山脈の間に位置するあたりで、以下の予測されていた場所です。
アイスランド気象庁の最新の報告によると、噴火はかなり小規模で、また、基本的に無人の地帯であることから、実質的な被害は現状ではないと見られています。
しかし、噴火している場所の周辺から「火山ガス」が検出されており、噴火を見に来ている観光客などには、現場から離れるよう述べています。
また、今後の噴火の進展についても、今のところは明らかではないと記されています。
噴火について報じていたガーディアンの記事をご紹介します。
記事には、1738年に噴火し、アイスランドの人口の 3分の1から 4分の 1が失われたとされるラキ火山についても述べられていますが、これについては、2011年の以下の記事にあります。
［記事］ 英国史上最大の自然災害はアイスランドからやってきた： 1783年のラキ火山の噴火
In Deep 2011年09月07日
アイスランドには、ヨーロッパ全体に影響を与えるような火山が多数あり、今は活動を休止していますが、今後のことはわかりません。
アイスランドの首都近くで火山が噴火し、煙雲と溶岩が発生
Smoke clouds and lava as volcano erupts near Icelandic capital
Guardian 2023/07/10
首都レイキャビク近郊で数週間小規模な地震が続いた後、噴火が発生した。当局は、現地への旅行を控えるよう勧告している。
アイスランドの首都レイキャビクから約 30キロの地点で火山が噴火した。同国の気象庁が発表したところによると、この地域で溶岩が噴出するのはここ 2年間で 3回目となる。
「噴火はリトリ・フルトゥールのすぐ北にある小さな窪地で発生しており、そこから煙が北西の方向に流れている」と気象庁は述べた。
地元メディアの映像には、地面から立ち上る大量の煙と大量の溶岩の流れが映っている。
首都と国際空港を結ぶ道路からも噴火の煙が見え、車を停車して写真を撮る人たちが見られた。
噴火に至るまでの 1週間にこの地域では数千回の群発地震が記録されており、地下のマグマが動いており噴火が差し迫っていることを示していた。
2021年の噴火以前、この地域は 8世紀にわたって休眠状態だったが、火山学者たちは、活動増加の新たなサイクルが数年間続く可能性があると考えている。
これまでのところ、この噴火はそれほど危険ではなく、航空交通への影響も出ていない。
2021年と 2022年の噴火では、活火山の珍しい姿を一目見ようと数十万人の訪問者が集まった。アイスランド当局は今回の噴火について、状況を評価する前に現場に行かないように住民や観光客に勧告している。
アイスランドには現在活動していると考えられる火山系は 33個あり、これはヨーロッパで最も多い。平均して 5年ごとに噴火が起きている。
2010年 4月、エイヤフィヤトラヨークトル火山の大噴火により、約 10万便が欠航となり、1,000万人以上の旅行者が足止めされた。
アイスランド中部の無人の高地にあるアスジャ火山など、アイスランドの他の火山も最近活動の兆候を示していることがわかっている。
この国で最も危険な火山の 1つは、南海岸近くのカトラ火山だ。最後に噴火したのは 1918年で、異常に長い休止期間を経て、差し迫った再覚醒が示唆された。
1783年に噴火した島南部のラキ火山の噴火は、アイスランド史上最も壊滅的な噴火とされており、最大の環境および社会経済的大惨事を引き起こしたと考えられている。
ラキ火山の噴火により、アイスランドで家畜の 50～ 80％が殺され、人口の 4分の1ほどが死亡する飢餓が発生したことが記録されている。
噴火による気象への影響も数年間にわたって影響を及ぼし、その影響がフランス革命の引き金となった可能性があると示唆する専門家もいる。