レバノンとの国境沿いのイスラエル国防軍の兵士。 aawsat.com
ヒズボラが参戦を表明
昨日の 10月21日に、サウジアラビア、イランなどの複数の国が、
「24時間以内にレバノンから出国すること」
と自国民に通達していました。
24時間以内の退避要請というのは、尋常なことではありません。
以下にそれぞれの報道をリンクしています。
（記事）イランやサウジアラビアなどが「24時間以内にレバノンから出国するように」と自国民に要請
BDW 2023年10月21日
中東の10月21日の報道より
aawsat.com
また、アメリカとイギリスの政府も、自国民に対して、早急にレバノンから退避するようにと要請しています。
イスラエルの報道より
ガザ地区を支配するテロ組織ハマスとイスラエルの戦争を巡りイスラエルとヒズボラ間の国境緊張が激化する中、ベイルートの米国と英国の大使館は 10月19日、自国民に対し、「航空便が利用可能な状態のうちに」レバノンを出国するよう勧告した。
両国はすでにレバノンへの旅行に対して国民に警告を発していた。
これだけ多くの国で緊急の退避勧告が出るというのは、何らかの状況がレバノンに差し迫っているということだと思いましたが、その後、
「ヒズボラが戦争に参戦することを決定した」
ことを、イスラエルの国防相が述べたことが伝えられています。ヒズボラの本拠地はレバノンです。
イスラエル国防大臣「ヒズボラが戦闘に参加することを決定した」
イスラエルのヨアブ・ギャラント国防大臣は 10月21日、レバノンの武装組織ヒズボラが「戦闘に参加」することを決定したと述べ、イスラエルに対する攻撃で「大きな代償」を払うことになると述べた。
「ヒズボラは戦闘に参加することを決定しており、我々はそれに大きな代償を払っている」とヨアヴ・ギャラント氏はタイムズ・オブ・イスラエル紙に述べたと伝えられた。
レバノンからイスラエルへの攻撃も激しくなっており、21日には、レバノンとの国境沿いで、イスラエル軍兵士一人がミサイル攻撃で死亡したことが報じられています。
イスラエル周辺の地図
Google Map
イスラエル軍も、ヒズボラに対して空爆を含めた激しい攻撃を始めています。
正確に「戦線が拡大した」といえる状態のようです。
ヒズボラに関しては、先日の以下の記事で書きました。
（記事）世界最強の民兵組織ヒズボラがイスラエルに対しての「総力戦」を準備しているとの報道
地球の記録 2023年10月18日
世界で最も重武装した民兵組織であるヒズボラは、ミサイルやロケット兵器を 10万発以上所持するとされる組織です。
ヒズボラの参戦により、イスラエル軍は、国の南部（ハマス）、そして北部（ヒズボラ）の両方で戦闘を行う必要が出てきており、戦力が大きく分散するため、自国だけでの防衛が厳しいものとなりつつあります。
軍事メディアの記事をご紹介します。
イスラエル国防省、レバノンでの地上作戦の許可を要請：国防相は「ヒズボラが参戦－レバノンが主要交戦地帯となる」と発言。イスラエル戦闘機による集中砲火が始まる
warnews247.gr 2023/10/21
イスラエル国防大臣のヨアヴ・ガーランド氏は、昨日の紛争の急速な激化を受けて、軍評議会とネタニヤフ首相に対し、レバノンでのヒズボラに対する地上作戦の許可を求めた。
イスラエル外務省の要請は今のところネタニヤフ首相から拒否されたが、事態の進展は芳しくない。
本日イスラエル国防省は、レバノンに本拠を置くヒズボラが参戦を決定したと発表した。
「ヒズボラは戦闘に参加することを決定した。彼らは戦争を決意したが、大きな代償を払っている」とイスラエル国防大臣は述べた。
「あらゆる可能性を慎重に評価する必要がある。この先にはさらに大きな課題が待っている」とヨアヴ・ギャラド氏は付け加えた。
イスラエル国防当局者らは、来週レバノン南部でヒズボラによるロケット弾攻撃が大規模にエスカレートすると予想しており、北部に追加部隊を展開する準備を進めていると述べた。
イスラエル国防当局者は「ヒズボラはイスラエル北部に対する『圧力』を強める」と述べ、このため「イスラエル軍はレバノンが主戦場となる可能性に備えている」と具体的に述べている。
すでに追加のイスラエル軍が北部戦線に配備され、砲兵陣地の準備が進められているほか、レバノンとの国境にあるさらに 3つの入植地の住民たちも避難させる予定だ。
イスラエル空軍がレバノンに集中攻撃を開始
21日、ヒズボラはレバノン南部からシバ農場のイスラエル軍陣地に大規模なロケット攻撃を開始した。
その後、イスラエル国防軍の航空機がヒズボラの目標を攻撃した。
イスラエル軍の発表によると、ヒズボラのインフラだけでなく、作戦やテロ目的で使用される軍事施設も攻撃を受けた。
さらに、イスラエル軍は国境沿いに設置された対戦車ミサイル発射装置を攻撃した。
イスラエル軍の攻撃で炎上するレバノンの国境付近
OSINTdefender
ヒズボラの声明：「我々は勝利する」
ヒズボラのナイム・カセム副事務総長は 21日、イスラエルによるガザ地区への地上侵攻は「墓場」になるだろうとして以下のように述べた。
「我々は南部でレバノンとパレスチナ双方のために戦っている。私たちはキャンペーンの初期段階にあり、成功を収めている」
「ガザはシオニストたちの墓場となるだろう」
「我々には、イスラエルに勝つ以外の選択肢はない」
「我々は戦争の真っ只中にある」