ロシア大統領が「心停止」という報道
ロシアのプーチン大統領が「心停止」を起こしたという報道が伝えられています。
これが、西側のメディアだけのものなら、これまでの体調不良についての報道がずいぶんとなされていましたので、同様のゴシップ的なものかもしれないですが、ロシア語で検索しても、同じような報道が多数見られます。
ただ、ロシア語の報道元を見ていますと、ほとんど「ウクライナの報道」で(ウクライナの報道メディアは、ロシア語とウクライナ語の両方で報じることが多いです)、ロシアのドメイン(.ru)であるものが見当たりません。ですので、ロシア国内では報じられていないか、「報道を禁止されている」かどちらかだと思われます。
今回は、ふたつの報道をご紹介します。
ひとつは、英語圏で広く報じられている内容の米国の報道から。
もうひとつは、「この報道がデマである可能性」について書いたウクライナの報道です。これは「ロシアには、プーチン大統領の死についてのシナリオがすでにある」という興味深い記事でした。
まずアメリカの報道です。
ウラジーミル・プーチン大統領が「心停止」。これがクレムリンの側近たちに大規模な「警戒」を引き起こした
Vladimir Putin 'suffers cardiac arrest' sparking massive 'alarm' in Kremlin inner circle
Express US 2023/10/23
伝えられるところによると、ウラジーミル・プーチン大統領の邸宅の警備員たちが大きな衝突音を聞いて大統領のアパートに入り、その後「ベッドの横の床に横たわっている」71歳のプーチン氏を発見したという。
ウラジーミル・プーチン大統領が 22日夜、モスクワにある個人のアパートで「心停止」を起こしたとされる。
元クレムリン内部関係者が運営しているとされるテレグラムチャンネルは、プーチン氏が寝室の床で「目を丸くして床に横たわっている」ところを警備員に発見されたと、この事件を報じた。
伝えられるところによると、すぐに医師が呼ばれ、その後、71歳のプーチン氏は「心停止」を起こしたと診断されたという。
その後、大統領はアパート内に建てられた特別な医療施設に移され、そこで集中治療を受けたと情報筋は主張している。
この未確認の報告書は、長らく隠されていた病状に関する噂が流れる中、プーチン大統領の健康状態をめぐる根強い憶測を受けて発表された。
ロシアの元中将が運営していると伝えられるテレグラム・チャンネルは、投稿の中で「公邸で勤務していたロシアのウラジーミル・プーチン大統領の警備員たちは、大統領の寝室から騒音や落下音を聞いた」と投稿した。
「警備員 2人がすぐに大統領の寝室に入り、ベッドの隣の床に横たわるプーチン大統領と食べ物や飲み物が置かれたひっくり返ったテーブルを見た」と続けている。
「プーチン大統領は床に横たわったままけいれん的に体を反らせ、目を丸くしていた」と続けた。
その後、医師たちが到着し、「大統領が心停止の状態にあると判断」し、その後、プーチン大統領を「蘇生させた」と伝えられている。
ここまでです。
記事にあるテレグラムチャンネルの投稿は、こちらです。
次は、この情報はデマではないかと報じたウクライナのチャンネル24の報道です。
テレグラムの記事がプーチン大統領の「心停止」について書いた:なぜそれがデマである可能性があるのか
В сети написали об "остановке сердца" Путина: почему это может быть вбросом
24tv.ua 2023/10/23
ロシアのテレグラムが、10月22日の夜、ウラジーミル・プーチン大統領が重大な健康上の問題を抱え、さらには突然心停止に陥ったと主張している。しかし、この情報は非常に疑わしい。
結局のところ、ロシアの公式情報筋もプーチン氏の宣伝活動家たちも、まだそれを確認していない。おそらくこれも敵(ロシア)の作り話であるとチャンネル24は報じている。
彼らがインターネット上でプーチン氏について書いたこと
ロシアのテレグラムチャンネルは、「プーチン大統領の側近」の匿名の人々に言及し、「プーチン氏が床に横たわり、テーブルがひっくり返っていた」とし、「けいれん的に腰をかがめ、床に横たわり、目を丸くしている」とさえ書いている。
しかし、これらの主張に対する証拠は提供されていない。
さらに医師たちはプーチン氏に「英雄的に」蘇生処置を施し、その時点ではもう鼓動していなかった心臓を瞬時に蘇生させたと書いた。これは平凡なフィクションのような話であり、現実とは異なる。
ロシア政府は、オンラインで拡散されたこの情報については、今のところコメントしていない。
プーチン大統領の死には「シナリオ」が準備されている
ウクライナのヴェザ公共分析センター所長のヴァレリー・クロチコ氏によると、プーチン大統領の病気と死に関する「プロジェクト」は約 5年前に開始されたという。それはロシア国内で積極的に開発されており、おそらくさまざまな国の諜報機関の参加を得ている。
「私の意見では、今回のこの新しい情報(心停止のこと)の出現はこのプロジェクトが継続していることを示します。この年齢の人が完全に健康であることはできないことを理解することが重要です。プーチン氏もまた生理学的変化を経験します」と強調した。
したがって、これもまたロシアによるプロパガンダのストーリーかもしれない。
その目的は、ロシアの権力の拠り所である従来の独裁制の「構築」がなぜ突然崩壊したのかを明らかにすることにある。
この話は、プーチン大統領は永遠の存在ではなく、死ぬ可能性があるというプロパガンダの観点からすると興味深い。
つまり、プーチン大統領の死のシナリオが存在し、それが常に検討されているということだ。環境に有益な場合には、そのシナリオを打ち上げることができる。
「プーチン大統領自身もこれを理解しており、この目的のために措置を講じています」とクロチコ氏は述べた。
ロシア大統領は確かに健康上の問題を抱えている
KGBとロシア対外情報局の元職員であるセルゲイ・ジルノフ氏は、プーチン大統領の北京からキルギスタンへの歴訪は、実際にはプーチン大統領の精力的な活動を示すものではないと述べた。むしろ、それは彼の重大な健康問題について語っている。
特に、プーチン大統領は歴訪後、ロストフ・ナ・ドヌのペルミに立ち寄り、その後初めてソチの公邸に向かった。ジルノフ氏は、「プーチン大統領の健康状態はおそらく悪化している」と述べ、プーチン氏が長時間空中の飛行機内に留まることは許されないだろうと述べた。
ジルノフ氏はまた、北京に飛んだのはおそらく本物のプーチン大統領であり、彼の影武者ではないとも指摘した。だからこそ、帰途、何度も各地に着陸を繰り返さなければならなかったと見られるという。