270人の医療従事者がコロナ感染し、機能停止したドイツのシュレスヴィヒ・ホルシュタイン大学病院。 bild.de
医療従事者たちのコロナ感染による医療崩壊が発生
いろいろな国や地域で、コロナの新たな流行が見られていますが、現在流行しているオミクロンの BA.4 だか BA.5 だかはわからないですが、この株の感染は、
「基本的にワクチン接種者での感染が主流」
となっているようです。
特にドイツでは大変なことになっているようでして、各地の病院や診療所で、医師や看護師たちが次々とコロナに感染していっていることが、ドイツの各メディアで報じられています。
以下は、ドイツの報道社 Bild の報道(ドイツ語)のタイトルです。
(報道)ドイツの医療機関でのコロナ緊急事態 (2022/07/03)
これによりますと、ドイツのシュレスヴィヒ・ホルシュタイン大学病院(UKSH)という大病院では、
> 現在、コロナ感染のため、200人以上の看護師と 70人の医師を配置できなくなっている。
とあります。
かなりの大病院のようですが、それでも、200人の看護師たちと、70人の医師たちが診療にあたることができなくなっているのでは、病院は機能していないと思われます。
このようなことがドイツ各地で起きていることが別の報道で伝えられています。
ドイツでは、医療従事者には 2回のコロナワクチン接種義務がありましたので、基本的には、ドイツの医師と看護師はすべて、2回のワクチン接種を完了していると思われます。
つまり、現在感染している医療従事者たちは、「 2回のワクチン接種後に次々と感染している」ということになります。
まあ……ドイツもおおむね展開されたのは、ファイザー社等のワクチンだったと思われますので、日本などを含めて、同じことが他の国で起きても不思議ではないです。
つまり、ワクチン接種者主体の新たな流行波ということですね。
いずれにしても、現在のドイツは、医師や看護師たちの感染拡大により、コロナ以外の通常の医療対応にも支障が出ており、緊急入院なども行えない場合が出ているようですので、そのための「医療従事者不足による致死の拡大」という問題も多く出てくるかもしれません。
現在、ドイツでは、一般の人たちを含めて全体として感染者数が上昇していますが、それでも、データでは、コロナの死亡事例は横ばいで特に上昇はしていないです。
先日書きました以下の記事のように、最近の英オックスフォード大学の研究では、現在のオミクロン株は、致死率が非常に低くなっています。
[記事] 新型コロナウイルスの「感染致死率」が劇的に低下。現在の致死率はパンデミックが始まってからの30分の1に。風邪より軽くなった病気には、もはや検査も対策も不要のはず
地球の記録 2022年7月2日
ただ、現在のドイツでは、「集中治療室で約 1,000人のコロナ患者が治療を受けている」ということですので、今後、死亡率にも変化が出るかもしれません (ADEの問題も含めて)。
報道では、ドイツでさらに感染拡大が続いた場合、またも「マスク復活」と「学校の閉鎖」の可能性が言及されていました。
これだと、毎年、そして永遠に繰り返されることになってしまいます。
いずれにしましても、「医療従事者の間のコロナ感染拡大しによる医療崩壊の危機」というパンデミック以来、おそらく初めてとなるような事態がドイツで起きているようです。
ドイツの報道をご紹介します。
コロナの夏の流行波が医師や看護師の不足を引き起こしている
Corona-Sommerwelle dünnt Klinikpersonal aus
ntv 2022/07/05
コロナのこの夏の流行波が医療機関を襲っている。非常に多くの医療従事者たちがコロナに感染しているため、全国で医療部門が閉鎖されている。
コロナのこの夏の波による医療機関のスタッフの喪失の増加が、病院や医師の間で懸念を引き起こしている。
ドイツ病院協会(DKG)の最高責任者のゲラルド・ガス氏は次のように述べる。
「現在、救助管理センターでは、緊急入院も拒否される事例があります。この状況は、来たる秋を視野に入れて、私たち医療関係者の大きな懸念です」
ドイツでのコロナ感染数は、ここ数週間で急激に増加している。
ロベルトコッホ研究所は、この 7日以内のドイツの 10万人あたりの新しい感染数を約 687人としている。専門家たちは、多くの感染者が、もはや PCR 検査を行っていないために記録されておらず、実際の感染数は約 2倍などになると推定している。
集中治療室登録の責任者は次のように述べている。
「集中治療室の占有率は緩やかに増加しています。そして、もともと(コロナ以外での)夏の集中治療室の占有率は比較的高く、そのため、利用可能な病床は、ますます少なくなっています。それに加えて医療スタッフが不足しています」
ドイツ患者保護財団は、感染確認者の隔離期間の短縮の要求を拒否した。
財団副議長は、簡易テストによる無料の検査を提案した。
ドイツ教育組合の会長であるマイケ・フィネルン氏は、秋からの学校閉鎖を回避するために、マスクと検査の要件の法的根拠を求めた。
「感染数が急激に増加し続けた場合は、マスク着用義務の検討が必要です。また、感染率が高い場合に、教育機関で定期的なコロナ検査を再導入する可能性も含まれています」とフィネルン氏は語った。
学校や保育所が再び閉鎖されるのを防ぐために、すべてをしなければならないと彼女は言う。
しかし、ドイツ教育訓練協会のウド・ベックマン会長は、感染率が高い場合、個々の学習グループまたは学校が再び閉鎖されるべきだとして、以下のように述べた。
「遠隔教育が必要な場合でも、生徒にデジタルで連絡できるように、すべての学校にデジタル機器を設置する必要があります。2年間のパンデミックの後でも、インターネット環境を備えていない学校がまだあるのです」