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最期の食糧危機 異常な現象

小麦の国際先物価格が謎の暴落。しかし楽観の根拠はあまりなく、さらに小麦生産の問題は2023年から特に悪化する可能性

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2月にロシアがウクライナに対しての特別軍事作戦を開始して以来、国際的な小麦の先物価格は過去最高値にまで急激に上昇していました。

ところが、6月から小麦価格は下落に転じ、そして、7月5日には、1日で 5%以上の下落という「暴落」となり、侵攻以前のレベルに戻っています。

シカゴの小麦先物価格の推移

tradingeconomics.com

商品市場サイトには、アメリカの小麦の収穫が予定より良い状態であることや、ロシアが大豊作である見込みがあることなどが書かれてありますが、一方で、ウクライナからの穀物の輸出が、前年比で 44%減少したことや、ヨーロッパの小麦生産地で各地で猛暑と干ばつが拡大していることなどもあり、これほど価格が暴落する理由がよくわからない面もあります。

もちろん、小麦価格は安いほうが社会は安定するわけですので、それはいいことなのですが、何となく腑に落ちない面はあります。

このまま小麦価格の下落が続き、世界的な穀物価格高騰の不安が少し和らいでいくのか、あるいは再び上昇するのかはわからないですが、世界全体的には、気候の問題を含めて、どうも先行きはそれほど安定していないような気はしないでもないです。

あとはロシア次第なのですかね。

今年のロシアは、現時点では小麦は豊作と見られていまして、その輸出が順調ならば、小麦供給は安定するのかもしれません。もっとも、敵対国にその小麦がやってくるかどうかはわからないですが。

今回は、「国際穀物評議会(IGC)」の最近の会議の内容を報じていた記事をご紹介します。

専門家たちの一部は、小麦の問題の本番は、2023年からと見ているようです。




 


小麦についての懸念

Worries about wheat
World-Grain.com 2022/06/29

2022 - 23年の小麦生産の見通しはここ数ヶ月間で急激に悪化し、北半球の収穫が近づくにつれ、神経質な市場があらゆるニュースを注視していると最近の国際穀物評議会(IGC)会議で代表団は述べた。

ウェブサイトで公開されたプレゼンテーションでの小麦市場に関する評議会の予測の傾向を検討した。

国際穀物評議会のシニアエコノミストは以下のように述べている。

「食料安全保障が、ここ数週間と数ヶ月で世界的な注目を集めており、実際、広範なインフレ圧力と相まって、穀物価格の高騰は、多くの国、特に最も脆弱な国での不足に対する懸念を引き起こしており、食糧不安の懸念さえも引き起こしています」

小麦の輸出価格は最近記録的な高値に達したが、ウクライナでの紛争が始まる前の 2022年2月にはすでに「高水準」であったと彼は述べた。

2022 - 23年の小麦生産予測について、シニアエコノミストは「現在の生産見通しは、数ヶ月前に当初予想していたよりもはるかに悪くなっています」と述べた。

「今後、4年以内に世界の小麦生産量が初めて減少する可能性があると予測しています」と彼は述べ、収穫面積の減少が予測されていると述べた。

冬小麦地域の放棄レベルが通常よりもはるかに大きくなると予測されているウクライナによって、生産量が前年比で 2%減少すると予想される。これは、戦争により、農作業の困難が報告されているためだ。それに加えて、最近では、燃料不足の報告がある。

他のいくつかの国では、特に厳しい干ばつ状況のために、イラク、パキスタン、インドなどで、天候が生産に悪影響を与えると予想されていると彼は述べた。インドでは、シーズン後半の熱波により、最近非常に大幅な収穫量の減少が見られた。

オーストラリアでも生産量の減少が予想されるが、オーストラリアは、過去 2年の収穫状況が非常に良く、その際との比較となる。

世界の一部の地域での生産量の低下は、北米、特にカナダと米国、およびロシアでの増加によって補われる可能性がある。

とは言っても、この地域にも、まだ多くの不確実性があると彼は北米に言及して言った。北米現在の状況は、小麦栽培に理想的とはとても言えないものであり、特に米国では干ばつが続いている。

彼はまた、米国の干ばつによって引き起こされたいくつかの播種の遅れを報告している。また、別の地域では、過度に湿った状態のために春小麦のいくつかの種まきの遅れがあった。

カナダは春の植え付け中にさまざまな条件があり、一部の地域ではまだ干ばつが続いている。

また、欧州の一部の地域、特にフランスの干ばつに対する懸念の高まりを特定しており、中国では、秋の播種条件が悪く、最近では、干ばつが不利になっていることが指摘された。

ロシアは、予想では多少の収穫量の上昇があると見られるが、今後の乾燥した天候への予測もあり、依然として不確実性がある。

スイスを拠点とするオラム社のファハド・バイペル副社長は、小麦の状況を「世界に十分な小麦がないためではなく、小麦を必要とされる場所へ移動できないための危機です」と説明した。

気候による収穫量の低下より、貿易状況の問題が大きいという。

バイペル副社長は「問題は、小麦はそこにあっても、ウクライナとロシアで販売されている小麦が世界に移動できないことです」と言った。

昨年 7月から9月の四半期の世界の小麦貿易の 50%はロシアとウクライナからのものだった。

「現在、私たちはウクライナがほとんど何も輸出しない状況を見ています」と彼は言った。「そしてロシアも、貨物が利用できないなど制裁措置のために問題があります。そのため、ロシアからの小麦の入手は非常に限られているのです」

Ukr Agro Consult 社のゼネラルディレクターであるフェオフィロフ氏は、2022年のウクライナの小麦生産量は、前年の過去最高の 3,200万トンと比較して、 2,000万トンをわずかに下回ると予測している。

「 5月のウクライナの小麦の輸出はわずか 41,000トンでした」

フェオフィロフ氏は、燃料の問題が小麦の収穫を妨げていることに言及した。

「重要な問題は農場の外にあります。現在、貯蔵できていない小麦が 440万トンから 450万トンとかなりのレベルであり、さらに貯蔵不足の 2000万トンの新しい作物があるので、その小麦作物をどこに保管するかということなのです」

「私の考えでは、小麦生産の重要な問題は 2023年に起きるかもしれません」







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