昨年来の In Deep で、
「パンデミックの中で、子どもたちの言葉の極端な遅れが世界中に広がっている」
ことを何度か取りあげました。
アメリカ、ブラジルなどで、深刻な言語発達の遅延と、認知能力の遅延が広く報告されています。
以下はそれらを取りあげた記事の一部です。
[記事] マスクによる乳幼児の「深刻な言葉の遅れ」の増加率が「364%」に達しているとアメリカのセラピストが声明
In Deep 2022年1月20日
[記事] アメリカで、パンデミック後の子どもたちの「双方向の会話」能力と読解力が壊滅的な崩壊に瀕している…
In Deep 2022年5月15日
[記事] ブラジルの6歳と7歳の読み書きのできない子どもの数がパンデミックの2年間で100万人増加し、「4割が識字できない」状態に。同様のことが、日本を含めた子どもがマスク着用をしていた全世界で起きている可能性
In Deep 2022年2月10日
先日、朝鮮日報の記事で、「韓国でも深刻な言葉の遅れが出ている」ことを知りました。
朝鮮日報は、行動制限や対面接触が減ったことによるものだとしていますが、それは確かに多少の影響はあるでしょうが、
「乳幼児は、周囲の大人の表情で、認知力と言語を獲得していく」
という観点からは、「周囲の人たちがみんなマスクをしていた2年間」という状況が最も大きな悪影響だと思われます。
なお、3歳くらいまでに、正常の言語獲得ができなかった場合、後から取り戻せる部分はほんのわずかです。
また、パンデミック中に生まれた、あるいは育った乳幼児たちは、「 IQ そのものが劇的に低下」していることがアメリカの研究でわかっています。こちらの過去記事にあります。この IQ のほうも、後から取り戻すことができる部分は、ほんのわずかです。
人間の基本的な認知能力と言語能力は、3歳くらいまでの環境が極めて大きいといえ、マスクとロックダウンはそれを阻害したということでも犯罪的です。
しかも、日本では、今もほとんどの大人がマスクをしている。自分たちの「犯罪性」をまったく認識していないままに。
ここから朝鮮日報の記事をご紹介します。
コロナ巣ごもり2年…言葉の発達が遅れる子ども、韓国で増加
朝鮮日報 2022/07/03
「子どもの言語治療を受けたいのですが、ここも予約がいっぱいですか?」
京畿道水原市に住む会社員のホンさん(30)は最近、2歳3カ月になる息子のために病院を探している。今年初めから保育園に通わせているが、同年代の子どもたちよりも言葉がかなり遅く、「言語治療を受けなければならないのでは」と思ったからだ。
例えば、今も「ソンセンニム(先生)」という単語を最後まで正しく発音できず、「ソン」と発音するのがやっとだという。
保育園の先生に相談したところ、「満2歳の子どもだと 100語くらいの単語を知っていなければならないが、この子は 20語くらいしか知らない」と言われた。
言語治療を一度受けてみようと病院を探しているが、早くて 1カ月、最長で約1年の予約待ちだと言われ、焦りを感じている。
最近、医療界や教育界とその周辺では、新型コロナウイルス流行で言葉の発達が遅れている子どもたちが増えているという懸念の声が上がっている。
専門家らはこの2年間余りに新型コロナ感染予防のための、いわゆる「巣ごもり」の影響だと分析している。対面接触が減った反面、動画などを視聴する割合が大幅に増えたという。
事実、健康保険審査評価院の統計によると、発話や読書などが困難な「発話と言語の特定発達障害」とみられる患者は、新型コロナ直前だった 2019年末の 1万2866人から 2021年には 1万4693人へと増えたという。このうち 90%前後が 10歳未満の幼児や子どもたちだ。
幼稚園・小学校でもこのような変化を実感しているという声がある。
京畿道高陽市内のある幼稚園に勤務しているソンさん(24)は「 2019年より前は 5歳くらいならお友達とケンカしても、後で『ごめんなさい』と言えたし、リンゴやバナナなどの果物の写真とハングルの単語をつなげるのは普通だった。
こうした活動に問題があったのは、2019年なら 1クラス 15人中 2-3人くらいだったが、今はそうした子どもたちが 1クラスに 10人前後いる」と語った。
ここまでです。
この最後のセクションは、
「言語に問題のある子どもが 1クラス 15人中 10人前後いる」
ということになり、非常に深刻な様相がうかがえます。
日本でも同様のことが起きていると見られますが、報道で見たことはないです。現場の保育士さんや幼稚園の先生方は感じているのだと思いますが。
いずれにしても、最大の被害者は子どもたちであり、無思考の大人たちによって未来をつぶされてしまいました。