当初は小麦の豊作が伝えられていたインドが、予想を上回る熱波に見舞われたことにより、5月の中旬、「小麦の輸出を禁止する」と発表しました。
インドの猛暑は、3月と 4月を貫き、現在も続いています。
[記事] インドで120年ぶりの熱波により電力危機の恐れ。そして何より豊作が予想されていた小麦の収穫が「大きなダメージを受ける」可能性
地球の記録 2022年4月30日
雨季であるモンスーンが、平年通りにやってくるならば、6月中旬くらいまでには、この暑さも収まるのかもしれないですが、いずれにしても、予想外の猛暑により、インドの小麦の収穫は予想を下回りそうです。
そのようなインドが、今度は、
「砂糖の輸出を制限する」
という通達を出したことが報じられています。
インドは、世界第2位の砂糖生産国です。
砂糖生産は、
1位 ブラジル
2位 インド
3位 EU
となっています。
インドは砂糖の消費量が多いことでも知られ、2016年の米国農務省のデータでは、
・砂糖生産量 2万5500(千トン)
・砂糖消費量 2万7200(千トン)
と、生産量より消費量が多いということになっています。そのような大量の砂糖消費国であるということもあり、インド国内の価格安定のために砂糖の輸出を制限することになったようです。
また、マレーシアは「鶏肉の輸出の禁止」を発表しています。
どちらも影響を受ける国がある話ですが、インドとマレーシアについて、それぞれの報道をご紹介いたします。
まず、インドの報道です。
インド政府は砂糖の輸出を1,000万トンに制限した
Government caps sugar exports at 10 million tonnes – Times of India
NDTV News India 2022/05/24
5月24日、インド政府は、9月に終了するこの砂糖シーズン中に 100ラクトン(1,000万トン)を超える砂糖の輸出を抑制することを発表した。政府は、過去数ヶ月の甘味料の輸出の大幅な増加を考慮してこれが行われたと述べた。
「砂糖の輸出の前例のない成長と、国内の砂糖の十分な在庫を維持する必要性を考慮し、砂糖の国内価格を抑えることによって国の一般市民の利益を保護することを考慮して、インド政府は砂糖の輸出を規制することを決定した」とインド食品省は述べた。
同省は、2022年9月までのシーズンに砂糖の輸出を 1,000万トンしか許可しない。
製糖工場はすでに 900万トンを契約しており、過去最高の 780万トンが出荷されている。
次に、マレーシアについて、シンガポールのストレイツ・タイムズの記事です。
マレーシアは 6月1日から月に 360万羽の鶏肉の輸出を停止する
Malaysia to stop exporting 3.6 million chickens a month from June 1
Straits Times 2022/05/24
マレーシア政府は、生産と価格が安定するまで、月に 360万羽の鶏肉の輸出を停止すると、イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、5月23日に述べた。輸出停止は 6月1日から始まる。
首相は、「政府は、国民に影響を及ぼしている鶏肉の供給と価格の上昇の問題を真剣に考えている」と声明で述べた。
この動きは、マレーシアが鶏肉価格の高騰とともに鶏肉の不足に直面しているときに起きた。
マレーシア農業食品産業省 獣医サービス局のデータによると、マレーシアは 2020年に 4,900万羽以上の生きた鶏肉と、42.3トンの鶏肉と鴨肉を輸出した。
シンガポールは 2021年に約 73,000トンの鶏肉をマレーシアから輸入した。これはシンガポールの鶏肉供給量の 3分の1以上となる。シンガポール食品庁のデータによると、鶏肉はシンガポールで最も広く消費されている肉であり、2020年の一人当たりの消費量は 36kgだった。
マレーシア政府は、鶏肉価格の高騰について、カルテルが鶏肉の価格と生産を管理しているという報告を知っていると述べる。マレーシア競争委員会がこの問題を調査しており、調査は6月までに完了する予定だ。
国内の市場では、卸売価格が 1kgあたり約 13リンギット (約 370円)まで急騰したと報告されており、一部の屋台は鶏肉の供給不足のため閉鎖されたと言われている。
また、報告によると、養鶏業者たちは政府の補助金の支払いが遅れたために生産を停止したという。
鶏肉と卵の上限価格が低いままであることは、長期的には生産業界に打撃を与えると、養鶏業者たちは、マレーシア政府に警告している。
養鶏業者は、ウクライナとロシアの間で進行中の戦争のために、両国からの穀物供給が抑制されているため、飼料コストが高騰する中で苦労していると述べる。