戦中を超える過剰死亡
カナダ最大の全国紙であるグローブ・アンド・メール紙(Globe and Mail)が、「2023年のカナダの死亡数のあまりの多さ」について、記事にしていたことを知りました。
「2023年に、カナダでは予想より多くの人が死亡しているが、理由はまだ明らかではない」というタイトルの記事です。
カナダの専門家が「通常では考えられないような多くの人が亡くなっている」と述べるほどの状況となっているようですが、しかし、記事に出てくる専門家の人たちが「理由はわからない」と述べるにとどまっているあたりは、今年3月に、オーストラリアの異様な超過死亡について報じていたメディアと同じ様相です。
2023年3月7日のザ・サンの報道より

The Sun
オーストラリアは「超過死亡率が過去80年で最大」となっています。以下の記事で取り上げています。
(記事)オーストラリアの超過死亡率が「過去80年で最大」に。メディアは「不可解な現象だ」と述べる (あまり不可解ではないですが)
地球の記録 2023年3月10日
そして、カナダでも、同じように「超過死亡の増加の理由はわからない」と報道は述べています。
記事によると、カナダの現在の超過死亡数は、「第二次世界大戦時の約 2倍に達している」ということで、数字からは、なかなかの惨事になっているようです。
ここから、グローブ・アンド・メールの記事をご紹介します。
2023年、カナダでは予想より多くの人が死亡しているが、その理由はまだ明らかではない
More people than expected are dying in Canada in 2023 for reasons that are not yet clear
The Globe And Mail2023/08/15
カナダ連邦データによると、新型コロナ感染者数は 1年前に比べて劇的に減少している。
入院者数はパンデミックが流行した最初の2回の夏よりも増加しているが、2021年12月以来最低水準付近で推移している。そして現在、全国で報告される新型コロナウイルス感染症による死亡者数は週に30人未満となっている 。
しかし、検査が限られていることと、未検出またはまだ報告されていない新型コロナウイルス感染症による死亡者がいることにより、新型コロナウイルス感染症がカナダ国民に及ぼしている実際の被害規模はまだわかっていない。
解釈が難しい別の尺度で見ると、カナダでは予想よりも多くの人が、まだ明らかになっていない理由で亡くなっている。
超過死亡は、国の人口の増加や高齢化などの人口動態要因に基づいて予測される数値よりも多くの死亡が発生していると計算される状態だ。
超過死亡率の推定値は、今年 1月と 2月には低下したが、最新の 2023年の統計では、超過死亡率が 2020年と 2021年に比べて約 15パーセントから 20パーセント高いことを示していると、感染症研究者で医学研究所の共同創設者であるタラ・モリアーティ氏は述べた。
これは 2022年よりもかなり低いが、モリアーティ氏は「(2022年は)カナダにとって恐ろしく、本当に最悪の年でした」と語った。
超過死亡率がパンデミックの現状について何を語っているかは不確実であり、その理由の一つは、 カナダにおける死亡報告システム更新が遅いことがある。
しかし、この超過死亡率は無視されるべきではないと、モリアーティ博士は言う。
「死亡率が歴史的に高い理由を絶対に知る必要があるのです」と彼女は言う。
モリアーティ博士のグループは、パンデミックが始まってから 6月までにカナダでは 9万500人近くの超過死亡者が発生していると推定しており、これは第二次世界大戦中のカナダ人の死亡者数の約 2倍に相当する。
この数字は、ブリティッシュコロンビア州の薬物中毒、自殺、大量殺人、熱波による死亡者数を差し引いて調整されている。
カナダ公衆衛生局のデータによると、パンデミックが始まって以来記録されている新型コロナウイルス感染症による死亡者数の合計は 53,216人となっている。
タイムリーな死亡報告システムを導入している英国やフランスなど他の国では、超過死亡のほぼすべてが新型コロナウイルス感染症による死亡で説明できるとモリアーティ博士は述べた。2つの数値は互いにかなり近く一致するという。
しかしカナダでは、国内のすべての死亡者の死因を含む情報を収集する公式のカナダ人口動態統計データベースへの各州の報告が遅れている。
モリアーティ博士は、パンデミックの最初の1年間の報告もまだ完了していないと述べた。
しかし、これまでのところ、2020年にデータベースに報告された新型コロナウイルス感染症による死亡者のほとんどは、その年の超過死亡の約 90パーセントがおそらく新型コロナに起因する可能性があることを示していると博士は述べた。
まだ報告されていない死者に加えて、検出されていないか、正式にこの病気によるものとされていない新型コロナウイルス感染症による死亡者が多数存在する可能性があると同氏は付け加えた。
たとえば、誰かが感染症により重篤な健康状態を発症し、検査で陽性反応が出てから 28日以上経過して死亡した場合、一部の管轄区域では、その死亡は、新型コロナウイルス感染症による死亡とはみなされない場合がある。
ブリティッシュ・コロンビア大学保健サービス・政策研究センターのキム・マグレール教授は、この超過死亡は「調査する必要のある何かが起こっていることを示すもの」だと考えているが、何が起こっているのかを具体的に示すものではないと述べた。
同様に、カナダ統計局は電子メールでの声明で、異常な超過死亡は必ずしも新型コロナウイルスのカナダへの影響を物語るものではないと述べており、それらはより深い分析の必要性を示している。
カナダ統計局は、年齢、性別、総人口の変化を考慮しながら、2015年から 2019年の死亡率傾向に基づいて週ごとの予想死亡数を推定する統計モデルを使用していると説明している。
マグレール博士は、問題の一部は、パンデミック以前とは異なる、現在の死亡率に影響を与える多くの要因があることだと述べた。したがって、現在の死亡率をパンデミック以前の状況に基づいたモデルと比較することは、有毒薬物危機やその他の公衆衛生上の危機を含む多くの要因によって複雑になっているとマグレール博士は述べた。
新型コロナによる直接的な死亡以外にも、コロナの間接的または長期的な影響、パンデミックによる精神的健康への影響、または他の種類の病気の治療や手術の遅れによって死亡する可能性があると博士は述べた。
同氏は、将来のパンデミックであれ気候変動の影響であれ、起こり得るあらゆる危機へのより迅速な対応を知らせるために、カナダは死亡報告システムを改善する必要があるとも付け加えた。
さらに、原因が何であれ、この超過死亡はカナダ政府が注意を払うべきものであると述べた。「なぜなら、通常では考えられないような多くの人々が亡くなっていることが明らかだからです」