東部アフリカ、中東、そしてインド、パキスタンと、イナゴ(サバクトビバッタ)の大群の発生が世界的に拡大しています。
最近では、以下の記事で取りあげましたように、南米のアルゼンチンやウルグアイでもイナゴの大群が発生し、穀倉地帯であるアルゼンチンやブラジルへの影響が懸念されていることも報じられています。
南米アルゼンチンに黙示録的なイナゴの大群が侵入。数は推定4000万匹
earthreview.net 2020/06/21
そのような中、イナゴの大群が、インドの隣国ネパールに達していることが報じられています。
記事だけを読みますと、インドから侵入したサバクトビバッタなのか、もともとネパールに生息する種なのかが明らかではないのですが、
「侵入した」
という表現から、サバクトビバッタがインドからネパールに入ったということになりそうです。
ネパール政府の農業畜産省が毎日更新している「イナゴの大群の移動予測に関しての情報」によりますと、現在、イナゴの大群の主流の移動は以下のようになっていました。
赤い部分が最も多い大群となっている場所だと思われます。
これを見ます限り、巨大な大群は今のところネパールに達してはいないようですので、現時点でのイナゴの大群は「散発的」なものなのかもしれません。
それでも、ネパールで確認されている 800万匹という数はなかなかのもので、これからさらにイナゴの繁殖シーズンだと考えますと、ネパールも油断できないところかもしれません。
これまでの各国の報道などを見ますと、この春からのイナゴの大群の移動は、おおむね以下のような感じとなっていると思われます。
イナゴの影響の拡大マップ
・Google Map
仮に、イナゴの巨大な大群がネパールにまで達するとすれば、その周辺国であるブータンやバングラデシュに影響が拡大する可能性もあるのかもしれません。
どの国も農業国であると共に、決して豊かとは言えない地域も多く、イナゴの繁殖期が最低でも 9月までは続くと考えますと、懸念される部分はありそうです。
ネパールの報道によりますと、すでにいくつかの地方の畑はイナゴに激しく荒らされているとのことで、農家は対策に追われているようです。
農家は現在、焚き火などで煙りを焚いてイナゴを寄せ付けないようにしているようで、その理由は、農薬や殺虫剤を大量に散布すると、他への悪影響(作物への影響や人の健康など)が大きいという判断のようです。
しかし、被害が拡大するような場合、大規模な殺虫剤の散布に踏み切ることになる可能性もあると農産当局は述べています。