過去に以下のような記事で何度か取りあげさせていただきました「ロックダウンを行わなかった国」のひとつにスウェーデンがあります。
新型コロナウイルスへの「ロックダウンという愚行」のほどを、強固な封鎖を貫徹する英国と、ほとんど何もしないスウェーデンの数字の比較から見てみる
In Deep 2020/04/15
スウェーデンの新型コロナウイルスに対しての政策方針は、「速やかに国民全体に感染を行き届けさせて、多くの人に免疫をつけてもらう」というものでした。
重症化しやすい高齢者と基礎疾患のある人以外には、ロックダウンや移動の制限、マスクなどの規制は基本的に行わずに今まで来ています。
このような方法ですので、感染が拡大していくのは当然で、感染者の数も死者の数も非常に増加しましたが、それでもスウェーデンはロックダウンを行わずに進みました。
そのようなスウェーデンに「明確な出口」が見えてきたようです。
7月2日、ついに、
「新型コロナウイルスによる新たな死者数がゼロになった」
のです。
死者数は 5月からどんどん減り続けていたのですが、6月の下旬から「 1日数人」という日が多くなり、7月に入って、ついに「0人」という日が訪れたのでした。
推移は以下のようになっていまして、スウェーデンで最初に新型コロナウイルスによる死者が発生した 3月11日(死者 1名)以来、約 4ヵ月で、その時点と同じほどの死者数に戻ることができたようです。
まだ先はわからないとはいえ、今後再び急速に死者数が増えていくというような推移には見えませんので、スウェーデンの新型コロナウイルスの重症化数は落ち着いてきたということが言えそうです。
なお、新たな感染確認数そのものは 5月以降も増え続けていましたが、そちらも、6月の下旬から急速に減少しています。
このように「死者数が減少し続けている」のは、たとえば、感染者の増加が続いているアメリカなどでも同じでして、世界全体として「新たな感染者数は増えているけれど、死者は減っている」傾向が明らかとなってきています。
これはおそらく「変異株」と関係しているのかもしれず、先日、アメリカのロスアラモス国立研究所などの研究者たちが、「新しい変異株」についての発表を行ったことが報じられていましたが、それによりますと、G614 と呼ばれる新型コロナウイルスの新しい変異株は、「以前より感染しやすいけれど、症状が軽い」という特徴があるとしています。
つまり、新型コロナウイルスは、「さらに風邪に近いような、軽い病気になってきている」ようなのですね。
それなら、スウェーデンのように「放っておく」のが一番だと思うのですが、多くの国や地域の当局者や保健衛生担当の方々はこういう新しい発表やデータに興味がないのか、これまで通りの「制限政策」を続けようとしています。
いずれにしましても、スウェーデンの「何もしない政策」は、今のところまでは、順調に成功を収めているようです。