琵琶湖では2016年にハスが消滅し、復活していません。
10月9日に以下の報道がなされていました。
琵琶湖の底で「酸欠」、イサザ・ヨコエビの生息確認できず 北湖の第一湖盆、1979年以降で初
京都新聞 2020/10/09
滋賀県は9日、琵琶湖の北湖に位置する水深約90メートルの第一湖盆で、酸素濃度が0・5ミリグラム未満のほぼ無酸素状態となり、イサザやヨコエビの生きた個体が確認できなかったと発表した。
また1979年の観測開始以降初めて、水深約80メートルでも基準値の2ミリグラムを下回る低酸素地点が観測された。2年連続で「全層循環」の完了が確認されなかったことが影響しているとみられ、第一湖盆の「酸欠」状態が明らかになった。
琵琶湖の観測で、
「複数箇所でほぼ無酸素となっていることが確認」
されたのです。
これは1979年の観測開始以来初めてということですが、理由として、専門家は、「全層循環」という現象が今年発生しなかったからではないかと述べています。
全層循環というのは、酸素を含む表層の水が、下層の水と混ざり合う湖の水の循環のことで、この現象が、「 1979年の調査開始以来、初めて観測されなかった」と今年 4月に報告されていました。
これにより、湖の下層に酸素が行き渡らず、無酸素になったと。
なぜ、この水の循環が起きなかったかというと、「暖冬の影響とみられる」と報じられていますが、しかし、調査が開始されて以来の 40年間では、前回の冬と同じ程度あるいはそれ以上の暖冬もあったはずで、詳しい温度差はともかく、1979年以降は、以下の年で西日本で大暖冬が起きています。
1979年以降暖冬だった年
・1992年
・1998年
・2007年
・2016年
・2019年
こういうこともあり、暖冬だけが原因ともいえないとも思いますが、実は、琵琶湖あるいは岐阜や滋賀の多くの湖などでは、ずいぶん以前から「異変」が起きていまして、そのたびに報道を取り上げていました。
関係性はわからないですが、2006年以降、以下のようなことが起きています。
報道からの短い抜粋と、紹介したブログのリンクをつけています。
琵琶湖で起きてきたこと
・2006年4月 謎のメタロゲニウムの大量発生が確認
(毎日新聞 2006/04/16) 滋賀県・琵琶湖の北湖で、マンガン酸化物構造体「メタロゲニウム」の大量発生が続いていることが、同県琵琶湖・環境科学研究センターの調べで分かった。
湖底の低酸素化を示しているとみられていたが、昨年からは溶存酸素が多い所でも多量に確認。湖に何らかの環境変化が起こっていると推測する声も出ている。
・2010年2月 琵琶湖の湖底で堆積物が吹き上がっていることが確認される (地球の記録)
(京都新聞 2010/02/26) 琵琶湖・北湖深層部の2カ所で、土砂など湖底の堆積物が吹き上げられている現象を滋賀県琵琶湖環境科学研究センターが初めて確認し、撮影に成功した。湖底からの堆積物の吹き上げは全国の湖沼では報告例がないという。
地殻変動や、地下水やメタンガスの噴出など、複数の原因が考えられるという。
・2016年 琵琶湖を含む岐阜や滋賀の多くでハスが消える (In Deep)
(京都新聞 2016/07/02) 国内最大級の群生地である滋賀県草津市の烏丸半島のハスに、過去にない異変が起きている。例年なら湖面を埋め尽くすハスの葉が、ほとんど見られない。
食害、老化、病気などの可能性が取り沙汰されているが、今のところ原因は不明。草津市は調査を進めるとともに、観光業者らに状況を連絡するなど、対応に追われている。
・2017年 専門家が「琵琶湖のハスは復元不可能」と報告 (地球の記録)
(京都新聞 2017/06/01) 滋賀県草津市は、昨夏に烏丸半島で消滅したハスに関する調査結果を発表した。姿を消した主な原因として、土質の変化による粘土層の消失やメタンガス濃度の上昇などが挙げられた。
消滅には複合的な要因があり「かつての状態に戻すことは不可能である」とした上で、生育環境のモニタリング調査など試験的な対策の必要性を指摘した。
・2017年 琵琶湖から鮎が消える (地球の記録)
(産経WEST 2017/04/24) 琵琶湖のアユがかつてない不漁に陥っている。昨秋にはアユの産卵量が平年値の倍以上観測され、今年初めからの漁でも豊漁が期待されたが、ふたを開けてみれば漁獲量は昨年の10分の1程度。
深刻な事態を受けて滋賀県が原因を調査したところ、気候の影響で成育が遅れているらしいことがわかったが、他にも植物プランクトンの大量発生が影響している可能性も指摘され、原因の特定には至っていない。
などです。
琵琶湖などのハスの消滅の「意味」については、以下の記事で取りあげています。
信仰的な慈愛と輪廻転生を象徴するハスの花が「消滅」した日本の夏に
投稿日:2016年7月18日 更新日
琵琶湖というよりも、その周辺の地下で何かが起きている気配があります。