2021年1月16日 秋田横手市の小学校の屋根で除雪作業にあたる陸上自衛隊。mainichi.jp
日本海側や北海道を中心に断続的に記録的な大雪が続いていますが、時事通信社の集計によると、今シーズン、日本での雪かきに関連する死者数が 1月20日までに 70人に達したことが伝えられています。
少し前の以下の記事では、日本での大雪による死者数について取り上げましたが、その後、主に雪かきで多くの、特に高齢者が犠牲となっているようです。
2021年1月の大雪による日本での死者は少なくとも13名。負傷者は250人以上に
投稿日:2021年1月13日
毎日新聞によれば、近年の雪による死者数は以下のような推移だそうです。
・2015年度 23人
・2016年度 45人
・2018年度 40人
・2019年度 8人
このすべてを現時点ですでに上回っており、日本の記録で過去最大の 113人の死者数が出た 2005年度の推移と比較しても、現時点のしきい値では超えており、今後も雪のシーズンが続くと考えますと、過去最大の死者数になる可能性が大きくなっています。
気温の推移の予測を見ますと、1月29日頃に非常に冷たい寒気が西日本から日本海側に広がると見られていまして、この頃に再度の大雪が降る可能性があります。
2021年1月29日の日本列島周辺の気温の平年との差異の予測
GFS 2m Temp Anomalies, tropicaltidbits.com
また、時事通信の報道では、このように死者が増えた理由として、大雪のレベルはもちろんありますが、コロナウイルス対策による「自粛政策」により、子どもやご近所などが、除雪にやって来ることができず、高齢者が自ら行わなければならなくなっていることも原因だとしています。
あるいは、北海道の実家の親から聞いた話では、夏から冬まで長いこと家に閉じこもっていた高齢者が多いため、足腰、それと「骨」が徹底的に弱っている人が多くなっているとのことで、雪道で転んで骨折する人がたくさんいるとのこと。
そこまで足腰が弱ってしまっては、重労働である除雪は難しいと思われます。特に屋根からの雪おろしで事故となってしまうことが多くなるのかもしれませんが、雪国では雪かきは毎年行われるものですので、本来なら、雪国の方々は慣れていることです。うちの八十代の父親も毎日のように早朝から除雪しているとのこと。
結局、この雪かきでの死者の増加も、コロナ対策の副次被害のひとつと言えそうです。
日本の状況について、英字紙ジャパンタイムズからご紹介します。
日本での雪かきによる死亡者数が70人に達する
Death toll from snow shoveling reaches 70 in Japan
japantimes.co.jp 2021/01/24
時事通信社の集計によると、この冬、日本では、雪かきに関連する死者数が 70人に達した。北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、新潟、富山、石川、福井の 10都道府県で死亡が報告されている。
70歳以上の人々が 48人の死者を占めた。多くの場合、高齢者は除雪中に屋根から落ちて亡くなった。
集計は、12月14日から 1月20日までの日本の各地方自治体と警察からの情報に基づいている。
死者数は新潟が 14人と最も多く、秋田が 13人、北海道が 10人、山形が 9人と続いた。雪かきによる死者が4人と報告されている秋田県湯沢市の関係者によると、雪は通常よりもはるかに早く、短期間で積もったという。
当局者は以下のように言う。
「あまりにも短期間で大量の雪が積もったために、除雪会社の支援を受けるために 1ヶ月待たなければならなくなったこともあり、高齢者の方々はご自身で除雪するしかありませんでした」
秋田県の災害管理当局は、コロナウイルスの移動制限が多くの死者の背後にある要因の 1つであることを示唆した。
秋田県の関係者によると、多くの住民は、年末年始に家族が故郷に帰ることができず、しかし、自分たちで家の屋根から除雪することは難しいと感じていたという。
「県の人口減少により、除雪作業を手伝うことができる人の数も減少しています。これは社会全体の問題でもあります」と、秋田県の当局は述べた。
新潟市の関係者は、「一人で除雪作業を行うと、事故が起きても誰かが気付くことがないですので、一人での除雪作業は非常に危険です」と述べ、近隣住民に高齢者への援助を求めた。