デンマークは、ヨーロッパの中で最初に「あらゆるコロナ対策を終了する」ことを議会で決議した国で、8月のデンマークの国会で、
「 10月1日から、行動制限、マスク義務、PCR検査、ワクチン接種証明を含めたすべてのコロナ対策を終了する」
と決定されました。
この時の報道は以下のようなものでした。8月9日の報道です。
デンマーク政府はすべてのコロナ対策を廃止する
デンマーク議会は、すべてのコロナ対策を 10月1日から終了することを決定した。したがって、マスク義務はなくなり、PCR検査体制は廃止される。
この日からは、デンマークでは、ワクチン接種を受けているか、受けていないかの証明は不要となり、あるいは検査で陽性か陰性かを示す証拠を提供する必要がなくなる。 (freewestmedia.com 2021/08/09)
このことは欧米では大きく報じられていたのですが、記事では取り上げませんでした。なぜなら、
「次に感染の大きな波が来た時に、この、すべての制限を廃止するという議会決定を守り続けるのかどうか」
を知りたかったからです。
その時期は意外と早くやってきました。
コロナ対策がすべて解除されたデンマークですが、10月中旬から感染の急拡大が起き始めたのです。
10月24日頃からは、「過去半年で最大レベルの感染拡大」が続いています。
10月28日には、2000人を超える 1日の感染者が記録されました。
そして、この感染急増の中で、デンマークの保健相は、
「人々がさらにワクチン接種をしない場合、社会の閉鎖などの制限を再開する」
と宣言したことが報じられていました。
約束は守られなかったようです。
デンマークは、ワクチン接種率がとても高い国であり、
・人口全体のワクチン接種率 75%
・12歳以上のワクチン接種率 85%
となっており、これ以上どうしろと……という感じではあるのですが、場合によっては、デンマークは再度、各種の制限とワクチンパスポート義務が導入されるかもしれません。
なお、デンマークの人口 580万人で、現在感染拡大に抑制が効かなくなっている人口 570万人のシンガポールと同じような人口数ですが、このふたつの国は、状況も似ています。
以下は、デンマークとシンガポールの感染数の推移です。
以下は、ワクチンの接種率の推移です。
シンガポールは、以下の記事などで取りあげていますように、感染数、死者数共に過去最大を更新し続けており、感染拡大に歯止めがかからない状態となっていますが、デンマークはどうなりますか。
ワクチン接種率84%のシンガポールの1日の感染数がついに5000人を突破。感染率は世界最大規模に。その中でブースターショットも進み、死者も激増
投稿日:2021年10月28日
すでにコロナ規制が撤廃されていたオランダも感染拡大に歯止めがかからず、「新たなコロナ規制を再導入する」と報じられています。
デンマークについての報道をご紹介します。
デンマークの保健相は、より多くの人々がワクチン接種を受けなければ社会を閉鎖すると脅迫している
Danish Health Minister Threatens To Shut Down Society If More People Don’t Get Vaccinated
greatgameindia.com 2021/11/01
人口の75%が完全にワクチン接種されているデンマークは、なお COVID の急増を経験している。
現在この状況を管理するために、デンマークの保健相はますます多くの人々にワクチン接種を受けるように求めていると報じられている。さもなければ、デンマーク政府は「社会を閉鎖する」という可能性に言及した。
デンマークは 1月に感染率 (実効再生産数 / R)が 2.01である最悪のコロナ感染拡大に見舞われたが、現在の状況はその 1月以来となっており、現在のデンマークでは、1日の新たな感染者数が 1000件以上を記録する日が 1週間以上続いている。
デンマークは、12歳以上の人口の 85パーセント以上がワクチン接種を受けている。
野党の保健スポークスマンであるマーティン・ゲールセン氏によると、今や当局は「社会を閉鎖する」と脅迫しているという。
政府のマグナス・ヒューニッケ保健相は「デンマークをオープンに保つためには、より多くの人々にワクチンを接種してもらう必要がある」と述べた。保健相はワクチン接種は自由選択であり続けるとも述べたが、同時に、より多くの人々に接種を受けるように警告した。
昨年、デンマーク政府は、コロナワクチン接種を強制化する法律を可決しようとしたが、大規模な国民の抗議の後で撤廃されている。