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最期の食糧危機 洪水の時代 異常気象

オーストラリアのニューサウスウェールズ州で過去70年で最悪の洪水被害により、一大農作地帯の小麦やナタネが「ほぼ全滅」。復旧の目処はなし

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作物は、ほぼ全滅。abc.net.au




アメリカに続きオーストラリアでも小麦の巨大な損失が発生中

オーストラリアは現在、夏に向かっているのですが、時期として異常といっていいほど大雨が続いているようで、全土的に洪水警報が発令され続けています。

その繰り返される洪水の中で、ニューサウスウェールズ州では、オーストラリア有数の一大農作地帯で「小麦が全滅した」とオーストラリア ABC ニュースが伝えています。

ラニーニャの影響なのかどうかはわからないですが、この1年間のオーストラリアでは、農業生産が盛んな東部にあるニューサウスウェールズ州とクィーンズランド州で洪水が繰り返されていました。以下の今年 7月の記事に、オーストラリアの洪水の状況をまとめています。

 

[記事]洪水と観測史上最低の気温に見舞われているオーストラリアの最近の洪水で「クイーンズランド州の作物が一掃された」と報じられる
 地球の記録 2022年7月9日

 

オーストラリアは長く干ばつに苦しんでいましたので、本来なら雨は歓迎するべきものですが、「降りすぎている」ようなのです。地元の人たちが経験したことのないような大雨が長く続いていると報じられています。

昨年から今年のオーストラリアでは、何度も農作物に被害が出ていましたが、今回も小麦生産地に大きな被害が出ているようで、こう農作物被害が繰り返されると、この先の供給状況にも影響は出るかもしれません。もちろん直近ではなく、影響はかなり先になって明らかになると思います。

先日、アメリカの冬小麦の収穫量が劇的に低下する可能性について書きました。

 

[記事]アメリカの干ばつ面積が過去最大に。乾燥し過ぎて「肥料も蒸発してしまう」状態の中、冬小麦の収穫量に重大な懸念
 地球の記録 2022年10月30日

 

アメリカの場合は、極端な干ばつによるものですが、オーストラリアは、極端な雨の連続による農作の被害となっています。

ロシアの戦争などを含めて、今年はすでに小麦などの穀物の流通状況や価格は相当タイトになっているわけですが、アメリカの状況とオーストラリアの状況が、現在のように壊滅的になっていますと、その詳細が判明する来年中盤以降には、さらに厳しい状況になる可能性もあるかもしれません。

日本の小麦は、ほぼ輸入に頼っていまして、その比率は、年により若干変動はあるとはいえ、おおむね以下のようなものです。

日本で消費されるの小麦の輸入と国内産の量の比較

農林水産省食糧需給表

この中で、輸入先は以下のようになっています。

・アメリカ    49%
・カナダ     34%
・オーストラリア  17%

このうちのアメリカとオーストラリアの小麦の供給に問題が出た場合、価格も上昇するでしょうが、供給そのものに問題が出る可能性もあるかもしれません。

仮にですが、ラニーニャが「さらに続く」ようなことがあった場合、アメリカにもオーストラリアにも同じような影響が続いていく可能性もあり、相当厳しい状況となり得そうです。

オーストラリアの洪水被害について、ABCニュースの報道です。




 


最も生産性の高いニューサウスウェールズ州の農業地帯で、何億ドルもの作物の損失が発生している

Most productive NSW agricultural shire counts hundreds of millions of dollars in crop losses
abc.net.au 2022/10/22

ニューサウスウェールズ州の農業団体は、洪水に見舞われた北西部だけで、最盛期の小麦がすべて失われた場合の損害額は、1億 5,000万ドル (220億円)を超えると述べている。

モリー地区、ガネダ地区、ダボ地区、モアマ地区の一部は、現在、140以上の洪水警報が残っており、人々は避難している。

農学者たちは、北西部の穀物生産の中心地では、収穫の準備がほぼできていた 120,000ヘクタール以上の小麦が失われたと予想されていると述べる。

この地域はまた、大麦とナタネの大量生産を誇っており、綿花やモロコシなどの作物の夏期の作付け期にある。

ニューサウスウェールズ州農業協会は、連邦政府に対し、今期の労働党の最初の予算で洪水支援の支払いを強化するよう求めている。

穀物委員会の議長であるジャスティン・エヴェリット氏は、小麦の被害のドル価値は、投入コストが異常に高かった年に農家が作物を育てるために費やした約 4,200万ドル (約 62億円)を上回っていると語った。

エヴェリット氏は、ほとんどの農作物が現在、「洪水に溺れている」と述べ、農地がすぐに乾かなければ「完全に失われる」可能性があるとして、以下のように述べた。

「農地の準備、作物の種まき、施肥、散布に、私たちは莫大なお金を費やしているのに、収穫の数週間前にそれらが一掃されてしまうのを見ている状況です。胸が張り裂けそうです」

「農家の人々は作物を植えるときにリスクを多少は考慮しますが、洪水に次ぐ洪水が続くこの継続的な雨天は、信じられないほどのものです」

 

モリー地区の副長であるスザンナ・ピアース氏は、豊作だったはずの農作が荒廃したと語った。

「これは私たちの歴史の中で 4番目に大きな洪水です」

「これはこの時期の作物の収穫に必要とされていたものではありません」

「本来、私たちの地域は、オーストラリアで最も生産性の高い農業を営む地域です。通常、このモリー平野からは毎年約 10億ドル (約 1480億円)の農産物が得られています」

「この洪水は私たちのコミュニティに大きな影響を与えるでしょう。私たちの地域は農業に大きく依存しているのです」

「農業がうまくいって、はじめてモリーの町もうまくいくのです」

 

将来は「財政的に悲惨」になる可能性がある

エヴェリット氏は、洪水が短期的に食料価格に直接影響を与える可能性は低いと述べたが、今後、地域の農家にとって「現金の枯渇」につながる可能性があると述べる。

「この洪水被害の後片付けをして再び農作に向かうためのお金を見つけようとするとき、土地は準備ができていても、そこに作物を植える経済的な余裕が彼らにはないかもしれません」

 

ウィーワー地区などの北西部の一部では、作物が何週間も水没している。

水没していない農地では、多くの農家が水浸しの放牧地で機械を操作したり、影響を受けた道路の下を移動したりするのに苦労している。

「人々が農地に種をまくことができる場所では、今ではすべてが脅威にさらされています」とエベリット氏は言った。

今年 9月に、オーストラリア農業資源経済科学局は「今年は豊作になる」と予測を発表していた。

エヴェリット氏は以下のように述べた。

「当局が数か月前に予測していた豊作からの大きな転換となってしまいました」

「もし土地がすぐに乾かなければ、それは多くの生産者たちにとって財政的にも壊滅的なものになるでしょう」







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