7月25日のスウェーデンの報道メディアの記事より
先日、北欧を襲っている異常な高温と乾燥状態により、スウェーデン国内で数多くの山火事が発生し、ほぼ制御不能となっていることを以下の記事でご紹介させていただきました。
スウェーデンで歴史的な猛暑と乾燥のために「建国史上最悪の山火事」が発生中。全土50カ所以上で火の手が上がっており、鎮火の目処は立たず
その後も森林火災が終息しない中で、スウェーデン当局は異例ともいえる「方法」を実行しました。
それが、冒頭にありますように、
「空軍の戦闘機で火災現場に爆弾を投下し、延焼拡大を食い止める」
というものです。
それが実施された時の様子は、下の動画に収められています。
https://youtu.be/D-QFPUxs8mU
写真で説明しますと、以下のような感じで作戦は進行し、そして「成功した」ということのようです。
スウェーデン空軍の戦闘機による森林火災への爆撃作戦
ターゲットの火災現場に向かう戦闘機
・Försvarsmakten爆弾を投下
・Försvarsmakten爆弾投下による消火を確認
・Försvarsmakten
消火に使われた軍用機は、サーブ 39 グリペン(JAS-39 Gripen)というスウェーデン空軍の戦闘機で、これは「多目的戦闘機」として知られていますが、まさか「森林火災の消火」に使われるとは、乗組員たちも考えたことがなかったと思われます。
使用された戦闘機「サーブ 39 グリペン」
・JAS Gripen. Rygge Air Show 2007
投下したのかは消火弾のようなものなのかなと思っていましたけれど、記事には、
> 使われたのは、最先端の爆弾のひとつで、レーザー誘導により、ターゲットに投下された。
とありますので、通常の攻撃用の爆弾だったようです。
火災は、150メートルの範囲で消火することができたということで、目的は成功したということなのですが……ということは、これからも、森林火災が起きているスウェーデンの森中のあちこちで爆弾が投下されるということになるのでしょうか。
おそらくですが、新しく発生した山火事について、規模が小さなうちに食い止めるという目的では使われそうです。
スウェーデン空軍は見解として、
「現在、発生している火災はこれまでのものとは違います。したがって、消火方法もこれまでとは違う方法でおこなう必要があります。今回の試みはそのひとつです」
とコメントしています。
戦争じみてきたスウェーデンの山火事ですが、今後の状況はどう予測されるかといいますと、気温の観点からは「非常に厳しい」と言わざるを得ません。
実は、現在、ヨーロッパに、
「これまでよりさらに激しい熱波が近づいている」
のです。
下は 7月28日からのヨーロッパの気温予想分布ですが、英国、フランス、ドイツ、デンマーク、スウェーデンでは、最高 40℃近くまで気温が上がる場所があるとされているのです。
7月28日のヨーロッパ全域の予想最高気温の平年との差
・Severe Weather Europe
スウェーデンでも地域により平年より 10℃以上気温が高くなると予測されている場所があり、場合によっては、最高気温が 39℃などになる可能性が発表されています。
この気候が続く限りは、スウェーデンの「山火事との戦争」は続くことになるのかもしれません。