戦争の時代 異常な現象

米軍トップのミリー統合参謀本部議長が「ウクライナの反撃は成功していない」と述べるほどの戦地の惨状。反撃攻勢の中、ウクライナ軍は新兵の90%近くを失う

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地雷除去の訓練中のウクライナ兵士。戦地には1000キロにわたりロシア軍の地雷が展開されている。 spiegel.de




地獄の戦場と化している

ウクライナの戦争に関しての日本の報道を見ていますと「自分は不思議ワールドにでも生きてるのだろうか」という違和感を日々感じます。

たとえば、9月18日の共同通信の報道のタイトルは「激戦地バフムト周辺また奪還 ウクライナ軍、前進続く」というもので、ウクライナ軍が圧勝して進軍しているイメージを抱かせてくれるタイトルですが、アメリカの軍事メディアや、あるいは、米軍最高幹部そのものの発言からは、

「ウクライナ軍の被害はどうにもならない惨状を呈している」

ことがわかります。

アメリカ軍制服組トップであるマーク・ミリー統合参謀本部議長は、CNNなどの取材に対して、ウクライナ軍による反撃を「長く、困難で、血なまぐさいもの」と評しています

米軍事メディアのミリタリー・ウォッチ紙は、

「昨年のウクライナの徴兵部隊の損失レベルは 80~ 90%だったとウクライナ中佐が報告した」

と伝えています。

この損失レベルは、死亡ということではなく、「戦闘能力が消失した」ということで、死亡、負傷、または障害を負ったものが含まれます。

ミリタリー・ウォッチによれば、現在のウクライナの徴兵対象は「 16歳から 60歳の男性」となっていますが、それでも、兵士が足りていない。

そもそも、ウクライナ軍が、何の問題もなく戦争を進めているのであれば、「精神障害者を含む男性たちへの徴兵」を行うようなことはないでしょうし、「女性の徴兵」もしないでしょう。

でも、それをしている。

以下のそれぞれの記事で、ウクライナ自身の発表を取り上げました。

(記事)ついにウクライナ軍は、従来兵役を免除されていた精神疾患、神経疾患、HIV患者等にも動員命令。そして「学徒動員」もほぼ確実に
 地球の記録 2023年9月4日

(記事)ウクライナで10月1日から「女性の兵役登録」が義務付けられる。最初は、女性の医師、看護師と薬剤師が対象
 地球の記録 2023年9月5日

こんな中で、ウクライナの男性たちの間では、徴兵忌避のために、「とにかくウクライナを脱出したい」という動きが強く、その中で、法外な値段(100万円など)で国外への脱出を手助けする「国外逃亡援助ビジネス」が暗躍していることを、欧州のメディアが伝えていました。

ウクライナの徴兵忌避スキャンダル、国民が兵役から逃亡しようとして新たな逮捕者が続出
Ukrainian draft-dodging scandal continues with new arrests as citizens attempt to flee service
rmx.news 2023/09/15

 

ウクライナ政府が、こんな悲惨な状況をいつまで続けるつもりなのかわからないですが、行くところまで行くつもりなのでしょうか。

現在の状況について、軍事メディアの記事をご紹介します。

ロシア軍は、途方もない範囲に地雷を展開しており、それによるウクライナ軍の死傷者が膨大に出ている模様です。





「そこらに首が落ちている」:反撃は地獄のような3か月だった - 部隊の80~90%が損失

warnews247.gr 2023/09/18


ウクライナ軍兵士。

ウクライナ政府は本日、今月初めに新たな国防大臣が任命されたことを受け、ハナ・マリアル国防次官および国防次官 6人を解任することを決定した。

これらの変更により、反攻撃目標の組織化と定義に参加した副大臣、国防副大臣が就任した。

ウクライナの新聞ウクライスカ・プラウダは、匿名の政府筋の話として、ウクライナの新国防大臣ルステム・ウメロフ氏の要請を受けて国防副大臣 6人全員は、「自発的に」辞表を提出したと主張した。

 

ミリタリー・ウォッチ紙:ウクライナ軍は、新兵の80%から90%を失った

ウクライナ軍が多大な損失を被っていることを米メディアのミリタリー・ウォッチ紙が報じた。

ポルタヴァ地域の新兵募集局の幹部、ヴィタリー・ベレジニー中佐は、 2022年秋に部隊に加わった兵士たちのうち、(率で言えば) 100人のうち、残ったのはわずか 10~ 20人だったと明らかにした。

昨年の徴兵部隊の損失レベルが 80~ 90%だったということだ。

ウクライナ国防省が最近徴兵の対象者の範囲を大幅に拡大したことを思い出させる。肝炎、無症候性HIV感染症、および治癒した結核を患っている男性などの徴兵免除は撤回された。

ミリタリー・ウォッチ紙によれば、ウクライナ軍兵士にはソ連時代のライフルと軍服が支給され、何の訓練も受けずに前線に送られていると書かれている。

 

ミリー統合参謀本部議長は「ウクライナの反撃は成功していない、困難で血なまぐさいものである」と認める

米統合参謀本部のマーク・ミリー将軍はCNNとのインタビューで、ウクライナ軍の反撃によってロシア軍の完全排除は望めないと述べた。ミリー氏は以下のように述べた。

「この攻撃は重要ではあるが、作戦上および戦術上の目的は限られている。たとえ完全に達成されたとしても、ゼレンスキー大統領のより大きな戦略目標であるロシアを完全に打ち負かすことはできないだろう」

マーク・ミリー統合参謀本部は、ウクライナ軍による反撃を「長く、困難で、血なまぐさいもの」と評した。

 

ドイツ・シュピーゲル紙は「ウクライナにとって地獄のような3ヶ月の反撃だった」と伝える

ドイツのシュピーゲル紙がウクライナ軍兵士たちの話として報じたところによると、ウクライナ軍はロシアの地雷に対処できないと不満を抱いている。

兵士の一人は以下のようにシュピーゲルに述べた。

「私たちはまだ最新のF-16戦闘機を持っていません。西洋の指導者は私たちに地雷地帯を避けるように言いますが、どうやって移動を? 地雷だらけであり、何かを取り除くと新しい地雷が現れます。ここをどうやって移動しろと?」

ウクライナ軍兵士たちによると、地雷のために、反撃は「地獄の3ヶ月」となったとシュピーゲル紙は報じた。

シュピーゲル紙は、ウクライナ軍は大量の装備だけでなく兵士も失っていると指摘した。

軍病院で働くウクライナ人の外科医は以下のようにコメントした。

「恐ろしいです。ここにいめのは地雷で爆破された兵士がほとんどです」

多くのウクライナ軍兵士は、反撃を開始する前に敵はそれほど強力ではないと考え、状況を誤って判断したことを認めた。「ロシア軍は巧みに地雷を敷設した。これを過小評価すべきではない」と ウクライナ軍将校は結論づけた。







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