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ノルウェーでパンデミック以降、ADHD(多動性障害)と診断される十代から二十代が急増。理由は不明ながら女性ばかりが増加

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ywamkristiansand.no




原因が明確ではないADHDの急増

最近、ノルウェー公衆衛生研究所が発表した報告書によると、パンデミックが始まった 2020年を契機として、ノルウェーで「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」と診断される若年層の数が大幅に増えていることが示されています。

小さな子どもたちではなく、十代から二十代の若者たちで増加していることが示されていて、特に女性で顕著です。

以下は、ノルウェー公衆衛生研究所によるデータです。

2010年-2022年までのADHDと診断された女性の推移

ノルウェー公衆衛生研究所

興味深いのは、一般に ADHD と診断されることが多い年齢層の 0- 5歳には「まったく変動がない」ことです。

特に、16歳から19歳(緑のライン)、20歳から24歳(赤のライン)などは、2020年を境にして明確に急増しています。

男性の方は以下のようになります。

2010年-2022年までのADHDと診断された男性の推移

ノルウェー公衆衛生研究所

男性は、全体として徐々に上昇してますが、2020年を契機とした増加とはなっていないようです。

専門家たちは、2020年から若い女性たちの ADHD が急激に増加した要因として「ロックダウンのせい」としており、中には、以下のような、やや奇妙な理由を述べている方もいらっしゃいます。

ノルウェー国立科学研究所小児保健発達学科の上級研究員のラッセ・バング氏

「社会が閉鎖(ロックダウン)されていたときには、ポジティブな気晴らしが減り、その結果、自分の体、食事、運動にもっと集中するようになった可能性があります」

なんだか曖昧な感じの言葉ですが、これでは「なぜ女性ばかりで急増しているのか」ということの理由にはならないですし、何より

 

「ロックダウンが終了した 2021年以降も新たに ADHD と診断される若い人たちが増えている」

 

ということが、ロックダウン原因説を危うくしています。

それに、ロックダウンによるストレスが原因なら、5歳以下の小さな子どもたちも大きなストレスを受けたはずですが、その年齢層での変動はまったくありません。

ノルウェー公衆衛生研究所の報告書では、他にも、うつ、不安障害、適応障害、広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害)、精神障害のデータも掲載されていますが、先ほどの女性のグラフで多かった16歳から19歳の女性は、他でも影響を大きく受けているようです。特にこの年齢層の「摂食障害」の急増はかなりのものです。

2010年-2022年までの摂食障害と診断された女性の推移

ノルウェー公衆衛生研究所

以前、スイスの調査で、パンデミック以降、「若い女性の精神疾患が、過去にないような増加を示している」ことについて、以下の記事でご紹介したことがあります。

(記事)スイスの歴史で前例がない「うつ病と精神疾患の増加」の報道から思い出す、スパイクタンパク質とヒトヘルペスウイルスの再活性化の関係、そして MAO との関係
 In Deep 2022年12月13日

スイスでは、10~14歳の女性の精神疾患による入院が「 52%増増加した」など、通常では考えられないほどメンタルの問題が拡大していると報じられています。

実際のところ、これらの原因は何かは正確にはわからないですが、ロックダウンが関係しているにしても、それだけではないことはグラフから明確です。

あと、あまり関係ないことですが、ノルウェーでは 2021年から「性感染症も劇的に増加」しています。以下の記事に、ノルウェーの報道を翻訳しています。

(記事)ノルウェーで性感染症が劇的に増加
 BDW 2023年3月18日

関係のなさそうに見えるさまざまな疾患の「唐突な急増」の背景には共通した何らかがあるのかもしれません。

ノルウェーの ADHD の増加に関して、公衆衛生研究所の報告を報じていた報道をご紹介します。





コロナ政策中にノルウェーでADHD診断が増加

Adhd-diagnoser ökade i Norge under coronapolitiken
nyadagbladet.se 2023/09/17

新しい報告によると、ノルウェーにおける ADHD と診断された人の数は 2020年から 2022年にかけて大幅に増加した。

若い女性では、2019年と比較して 2倍に増加している。

過去 10年間、ノルウェーにおける ADHD の診断数は比較的安定したレベルにあったが、2020年から 2022年にかけて国内で診断数が急激に増加した。これは、ノルウェー患者登録簿のデータを分析した公衆衛生研究所の新しい数値によって示されている。

この増加は特に少女と女性で高く、2019年と比較して 16歳から 24歳の間で ADHD と診断された人の数は 2倍になった。少年と男性でも増加しているが、女性ほどではない。

2019年から  2022年にかけて、ADHDと診断された少女と女性の割合は、16~ 19歳では 1.5%から 3.1%に、20~ 24歳では 1%から 2.2%に増加した。

コロナ政策に関連して ADHD の診断数がこれほど増加した具体的な理由は不明だが、自宅学習に関連しているのではないかと推測されている。

他の精神障害と診断された 12歳から 24歳の人の数も、同じ期間に大幅に増加している。とりわけ、少女と女性の間の摂食障害が急増した。

公衆衛生研究所の児童保健・発達部門の責任者であるハイジ・アーセ氏は以下のように述べる。

「考えられる説明の 1つは、子供たちが家で過ごす時間が長くなったことで、ADHD の症状が家族にさらに目立つようになったということかもしれません。また、ADHD を持つ子供たちにとって、画面の前でのホームスクーリングが特に困難になった可能性があります」

ノルウェー国立科学研究所小児保健発達学科の上級研究員ラッセ・バング氏は述べる。

「社会が閉鎖されていたときは、ポジティブな気晴らしが減り、その結果、自分の体、食事、運動にもっと集中するようになった可能性があります」

研究者たちは、ロックダウン政策が若い世代の精神的健康にどのような影響を及ぼし、今後も影響を及ぼし続けるかについての知識はまだ限られていると強調している。

スウェーデンでも同様の傾向が見られる。例えば、 2020年には合計 14万6,000人のスウェーデン人が ADHD の治療薬を服用しており、前年の 13万人から増加した。







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