米 CDC (疾病予防管理センター)の「ワクチン有害事象報告システム / VAERS」のデータの最新情報を定期的にご紹介しています。
今回は、9月24日までの以下のデータからです。
Found 752,803 cases where Vaccine is COVID19
前回分は以下になります。
[定期]アメリカの9月17日までのワクチン接種後の有害事象報告は 72万件超、死亡例は 1万5386件。「流産・早産・死産」が急激に増加
現時点で最新の CDC の有害事象の全体の報告数、死亡報告数、重症報告数のそれぞれの前回からの 1週間の推移は以下のようになります。
・有害事象報告 72万6965件 → 75万2803件(前週から 2万5838件増加)
・死亡事例報告数 15,386件 → 15,937件(前週から 551件増加)
・重症事例報告数 9万9410件 → 10万5758件 (前週から 6,348件増加) データ
まず、若い世代の有害事象報告です。
若い世代の有害事象が特に増え続けています。
十代の有害事象と死亡事例
・12歳から17歳の有害事象報告 15,251件(データ) 前回 14,609件
・12歳から17歳の重症事例 1,200件 (データ) 前回は 1,124件
ワクチン接種年齢の下限が 12歳まで変更されたことに伴い、「 9- 12歳」の有害事象報告が増加し続けています。
・9歳から12歳の有害事象報告 798件(データ) 前回は 734件
以下は、12歳から17歳の重症の事例の報告数と、死亡事例です。
・12歳から17歳のアナフィラキシー事例報告 2,674件 (データ) 前回は 2,559件
・12歳から17歳の心臓障害の事例報告 476件 (データ) 前回は 455件
・12歳から17歳の血液凝固障害の事例報告 96件 (データ) 前回は 91件
・12歳から17歳の「死亡」事例報告 21件 (データ) 前回は 21件
以下は、 12歳から17歳のアメリカでの死亡事例の詳細です。ID 番号のリンク先に詳細な個別臨床データページがあります。
2021年9月24日までの12歳から17歳の 21人の死亡事例詳細
・15歳 / 女性 / ニューハンプシャー州
[症状]アナフィラキシー反応、心停止
[接種から死亡まで] 1日 (ID 1187918)・16歳 / 女性 / ウィスコンシン州
[症状]心停止
[接種から死亡まで] 11日 (ID 1225942)・15歳 / 男性 / コロラド州
[症状]心不全
[接種から死亡まで] 2日 (ID 1242573)・16歳 / 男性 / カリフォルニア州
[症状]死亡(原因不明)
[接種から死亡まで] 48時間以内 (ID 1382906)・16歳 / 男性 / ジョージア州
[症状]胃腸穿孔、状態悪化、死亡
[接種から死亡まで] 4日 (ID 1386841)・13歳 / 男性
[症状]インフルエンザ様疾患、死亡
[接種から死亡まで] 2日 (ID 1406840)・16歳 / 女性 / ペンシルベニア州
[症状] 胸痛、血球貪食性リンパ組織球症、心嚢液貯留、長期入院、死亡
[接種から死亡まで] 73日 (ID 1420630)・13歳 / 男性 / ミネソタ州
[症状] 小脳出血、 心停止、死亡
[接種から死亡まで] 17日 (ID 1431289)・13歳 / 男性
[症状] 死亡
[接種から死亡まで] 不明 (ID 1463061)・13歳 / 男性
[症状] 心臓肥大、 心筋炎、死亡
[接種から死亡まで] 0日 (ID 1429457)・16歳 / 男性 / カリフォルニア州
[症状] 死亡
[接種から死亡まで] 27日 (ID 1466009)・16歳 / 男性 / ペンシルベニア州
[症状]死亡
[接種から死亡まで]6日 (ID 1475434)・15歳 / 男性 / ニューヨーク州
[症状]失神、心室性頻脈、死亡
[接種から死亡まで]4日 (ID 1498080)・13歳 / 女性 / メリーランド州
[症状]心室頻拍、死亡
[接種から死亡まで]27日 (ID 1505250)・13歳 / 女性
[症状]死亡
[接種から死亡まで]不明 (ID 1655100)・16歳 / 女性 / ウィスコンシン州
[症状]肺塞栓症
[接種から死亡まで98日 (ID 1694568)・16歳 / 男性
[症状]自死
[接種から死亡まで]8日 (ID 1576798)・15歳 / 女性
[症状] 無力症、脳死、心停止
[接種から死亡まで]27日 (ID 1592684)・13歳 / 男性
[症状] 多臓器不全、敗血症性ショック
[接種から死亡まで]3日 (ID 1633205)・15歳 / 男性
[症状] 死亡
[接種から死亡まで]4日 (ID 1668800)・14歳 / 男性
[症状] 肺水腫、心不全
[接種から死亡まで]38日 (ID 1690103)・16歳 / 男性
[症状] 心停止、心室細動、腸虚血
[接種から死亡まで]6日 (ID 1702154)
なお、アメリカでは、5歳から 11歳への子どもへのワクチン接種について、ファイザー社がアメリカ食品医薬品局に使用許可申請しており、申請はまもなく通ると見られ、アメリカでの子どもたちへの接種も近く始まる見込みとなっています。
ファイザー 5~11歳もワクチン接種対象に拡大 近く申請へ
アメリカの製薬大手ファイザーとドイツの企業ビオンテックは、今は新型コロナウイルスワクチンの接種の対象になっていない、5歳から11歳の子どもについても、ワクチン接種による中和抗体の増加や安全性が確認できたとして、この年齢層の子どもにも接種対象を拡大するよう、近く、アメリカのFDA=食品医薬品局に申請すると発表しました。
ファイザーなどが開発したワクチンは、アメリカで16歳以上について正式に承認され、12歳から15歳に対しては緊急使用の許可が出されていますが、12歳未満の子どもも使用できるように、臨床試験が行われています。
ファイザーなどは20日、5歳から11歳の2200人余りを対象にした臨床試験の結果、中和抗体の増加と安全性が確認できたと発表しました。 (NHK 2021/09/21)
次に全体です。
全体の有害事象事例
毎回見ている「ベル麻痺(顔面麻痺の一種)」「流産、早産」「アナフィラキシー反応」は、以下のようになっています。
・ベル麻痺(顔面神経麻痺) 5,889件(データ) 前回 5,608件
・流産・早産・死産 2,138件 (データ) 前回 2,013件
・アナフィラキシー反応 196,910件(データ)前回 190,937件
「血栓、血液凝固あるいは血小板減少」の報告は以下のようになっています。
・血栓 / 血液凝固 / 血小板減少 21,157件(データ) 前回 20,099件
ギランバレー症候群は以下のようになっています。ギランバレー症候群の報告数の増加幅も大きくなっています。
・ギランバレー症候群 1,298件 (データ) 前回 1,188件
アメリカでは、「ワクチン接種率の高い州」での感染拡大と、何より「重症化率」が高くなる傾向にあり、アメリカの州でワクチン接種率第4位であるメイン州について以下のように報じられています。
米メイン州で何が?…ワクチン接種率が高いのに、新型コロナ患者が「急増」
米国では、新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種率が低い地域で未接種者たちを中心に感染者と死者が発生しているが、ワクチン接種率の高い一部の州でも感染者が続出していることから、疑問があがっている。
30日、米ウォールストリートジャーナル(WSJ)によると、全米50州でワクチン接種率4位であるメイン州で、新型コロナの入院患者と死者数が最近、連日記録を更新している。
現在、米国の平均接種率は56.2%にとどまっているが、メイン州の接種率は68.99%で平均をかなり超えている。
それにもかかわらず、メイン州で最近新型コロナの感染が拡散している理由として「デルタ株の高い感染力」と「マスク着用の義務化解除などで緩んだ市民意識」があげられている。
メイン州では、ことし7月には人口呼吸器を必要とする患者は1病院あたり4人ほどであったが、現在は40余人以上に達している。これは、10倍以上急増したことになる。1週間における一日の平均新規感染者数は7月が20人ほどであったが、現在は520人に増加している。 (wowkorea.jp 2021/10/01)
メイン州の状況は、アメリカ CDC のデータですと、以下のようになっています。
こうなった理由は、「ワクチン接種率が高いから」としか言いようがないですが、以下の記事にありますようなシンガポールと同じです。
追加接種が進んでいるワクチン接種率80%のシンガポールで、さらに感染拡大と死者数の増加が止まらない
投稿日:2021年9月28日
どこの国や地域でも、そのうちピークとなり、デルタ株の感染は落ち着くと思われます。しかし、ワクチン接種率が高い国や地域では、そのうち選択圧によって生まれた新しい変異株が出現します。
それは現行のいかなるワクチン中和抗体も効かないものとなり、それからが本当の危機になると思われます。次の変異株にワクチン中和抗体がまったく効かないことについては、以下の記事でご紹介した日本での研究の論文などにあります。
東京大学等や大阪大学の異なる論文に見る「ワクチンによる逃げ道はナシ」という実感。強行した後に残るのは「無」
In Deep 2021年9月11日
次の変異株の本格的な流行がいつ始まるかは誰にもわかりません。