急激な入院数の増加を見せるオーストラリアで
少し前に、「オーストラリアのコロナ入院数が過去最大になった」ことについて、取りあげたことがあります。
(報道) 16歳以上の2回ワクチン接種率が95%のオーストラリアがコロナの修羅場に (2022/07/27)
この時点で入院数が急激に増加していたということからも、その後、死亡事例もさらに上昇すると見られていましたが、7月28日に、オーストラリアの 1日の新たなコロナ死者数が 157人となり、過去最大を更新しました。
以下は、7日移動平均でのオーストラリアの「感染確認数 (黒の線)」と「死者数 (赤い線)」の推移です。
感染確認数は過去最大の半分以下なのに対して、死者数だけが急激に上昇していることがおわりかと思います。
過去1年間のオーストラリアの感染数と死者数
ourworldindata.org
以前は、感染状況のグラフと死亡数のグラフに少し遅れた相関が見られたのですが、「それも崩壊」しています。
「単に死者、あるいは死亡率だけが増えていく」
という現象に転じたことを示しています。
要因のひとつとしては、オーストラリアで「 4回目の接種が進んでいる」ことも関係していると見られます。
最近の In Deep の記事で、カナダとオーストラリアの 4回目接種と入院率の関係のグラフを載せさせていただいたことがあります。
それらのデータでは、4回目接種者の入院率が破格に高いことが示されています。
[記事] オーストラリアのデータでは、4回接種者の入院率は「未接種者の100倍」。それが導く今後の日本の医療崩壊
In Deep 2022年7月30日
データ期間の、オーストラリアでの入院数の平均の比較は、以下のようになっていました。
・ワクチン未接種 1.5人
・ワクチン1回接種 45.8人
・ワクチン4回接種 151.9人
このような内訳となっており、ワクチン 4回目接種の入院率は、未接種の 150倍というような数値となっています。
死者が急増するのも当然かとも思われます。
現在のオーストラリアの死者の増加の原因は、以下のいずれかか、これらの要因が交差していることにより起きていると考えられます。
・複数回のワクチン接種による免疫抑制 (参考記事)
・抗体依存性増強 / ADE (参考記事)
・ワクチン後免疫不全症候群 (参考記事)
一方で、日本では以下のような報道もありました。
感染拡大も対策は“自己責任” ウィズコロナ目指すオーストラリアのコロナ政策
テレビ朝日 2022/07/30
報道の内容はともかく、ここに「ウィズコロナ」とありますが、状況はそうではありません。
「ウィズ死亡」
です。
日常で常に死と共存する社会ということです。
そして、オーストラリア政府は「自己責任」としたのではなく、
「あとは死ぬに任せる」
という方向転換をしたものと見られます。
あとは放っておけばいい、と。
それだけで、どんどん消えていく。
先ほどのテレビ朝日の報道には、
> オーストラリアの感染症医師ポール・グリフィンさん
>
> 「現在の課題としては病院が満床なことに加え、多くの医療従事者が感染してしまって不在になり、医療逼迫に直面しています。」
とありますが、この医療崩壊もさらに拡大していると予測されるために、あらゆる病気への対応が以前のようにはいかなくなっているはずです。
このようなこともあり、オーストラリアでの死者数は、コロナ以外のすべての要因を含めて冬の間は増え続けると思いますが、しかし、4回目接種が進んでいる国では、同様のことが起きていくはずです。たとえば、
「数としてオーストラリア以上に 4回目接種が進んでいる日本」
もです。
現状では、オーストラリアとの比較では、人口 100万人あたりの日本の死者数は、5分の1程度ですが、オーストラリアの死者の増加の原因のひとつに「 4回目接種」があるのならば、日本もこの倍率に追いついていく可能性があります。
オーストラリアと日本の人口100万人あたりの死亡数の比較
ourworldindata.org
それでも、オーストラリアは屋外でのマスク義務が廃止され、実際に誰もマスクなどしていないという点については、少しはマシかもしれないです。
日本はこの炎天下でいまだに多くの人たちがマスクをしています。
猛暑下のマスク着用などいう狂気も、健康へのダメージは甚大です。