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日本でも一般的な非ステロイド性抗炎症薬のボルタレンに、人によって著しい心臓毒性があることが示される。日本人は世界で最もリスクあり

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非常に一般的な鎮痛剤が

アメリカのワシントン州立大学薬学部の研究者がたちが最近、日本での製品名で「ボルタレン」という非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)に、心臓に対しての毒性があることが明らかになったという論文を発表していました。

以下にあります。正式名は、「ジクロフェナク」という名称です。

日本でも、ジェネリックではジクロフェナクという名前が使われている場合が多いと思います。

多形性UGT2B17によるジクロフェナクの腸内代謝は、その非常に多様な薬物動態および集団全体の安全性と相関する
Intestinal Metabolism of Diclofenac by Polymorphic UGT2B17 Correlates with its Highly Variable Pharmacokinetics and Safety across Populations

 

日本では、ボルタレンは、関節リウマチや変形性関節症、神経痛などから抜歯後の鎮痛、腰痛など幅広く使われている、かなり一般的な処方薬です。

 

ただですね。

 

単に、こういう NSAIDs の問題というのは過去にたくさんありました。

以下に In Deep の NSAIDs に関する過去記事一覧があります。

[リンク] 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)に関する過去記事一覧

 

しかし、今回の研究で印象的だったのは、

 

「日本人が特にリスクを持っている」

 

ということが示されていることでした。

これはなかなかややこしい話なんですが、上の論文のタイトルにありますように、遺伝子の「 UGT2B17 」という酵素と関係するもののようです。

UGT2B17 遺伝子も、それほどよくわかっているものではないようですが、論文にあることを非常に簡単に書きますと、

 

「この UGT2B17 遺伝子が《欠失している人》で心臓毒リスクが高い」

 

ということのようです。

この遺伝子がないと、ボルタレンの「代謝」に問題が生じるということのようで、そのために、「副作用としての心臓毒性の問題が起きやすい」ようなのです。

そしてですね、主要な民族の中で、

 

「最もこの遺伝子の欠失率が高いのが日本人」

 

なのだそうです。

論文には以下のようにあります。

(論文より)

> ジクロフェナク (※ ボルタレン)の代謝と薬物動態における UGT2B17 の定量的および組織特異的な寄与を解明した。

> UGT2B17 は、ヒトで最も欠失している遺伝子の 1つであり、その遺伝子欠失頻度は、白人集団の約 20%から日本人集団の 90%までの範囲だ。

> …プロテオミクスに基づいた生理学的薬物動態モデルは、UGT2B17 遺伝子の発現が、男性の約 3分の1である女性におけるジクロフェナクの曝露の増加を説明している。

> 同様に、私たちの予測はまた、報告された日本人集団におけるジクロフェナクのより高い曝露とより低い標準臨床用量を裏付けている。

onlinelibrary.wiley.com

 

ここから「日本人の 90%が、この遺伝子が欠失している」と読めるわけですが、どんな遺伝子かは私は知らないにしても、白人で 20%しか欠失していない遺伝子が、日本人で 90%、つまりほとんどの人が欠失しているということになり、「ホンマかいな」と思い、日本の論文を調べてみました。

2014年の日本の論文がありました。

これは、いわゆるスポーツなどのドーピング検査に関するもので、その一環として、 UGT2B17 の解析を行っています。

以下のように書かれていました。

(2014年の日本の論文より)

> テストステロン (※ 代表的な男性ホルモン)の グルクロン酸抱合に関与する UGT2B17 の遺伝子多型解析を行った。

> その結果、日本人競技者の UGT2B17 ホモ接合型欠失者は男性で 74.5%、女性で 60.2%を占め、UGT2B17 接合型挿入者は男性でわずか 1.2%、女性で 2.7%であり、その頻度は欧米諸国とは著しく異なることを明らかにした。

 

この「ホモ接合型欠失者」とか「接合型挿入者」の具体的な意味がわからないのですが、

 

> 接合型挿入者は男性でわずか 1.2%、女性で 2.7%であり…

 

と記されており、いずれにしましても、日本人のこの遺伝子の欠失率は相当なものではあるようです

それで、この遺伝子が欠失している人の場合、ボルタレンを服用すると、「心臓の問題の副作用が出やすい」と。

 

なんだかんだと、今はワクチン後の世界でもあり、ただでさえ、心臓の問題はいろいろと出されているわけですが、少なくとも、他にも鎮痛剤は多くありますし、ボルタレンは避けたほうがいいのかもしれません。

現在はいろいろな要素が、心臓を含めた多くの人の体に負担がかけている時です。

 

ちなみに、実は、私自身、 15年以上前だと思いますが、持続的な首の強烈な痛みに対して、ボルタレンを処方されたことがあります (私は実は、理由は不明ながら首の骨が一部分欠落しているのです)。

 

そして、ボルタレンの服用を始めて、

「その数日後に、胃潰瘍で大量吐血して緊急搬送」

という目にあったことがあります。

まあしかし、胃潰瘍は、NSAIDs 全般に見られる主要な副作用のひとつですが、今回の問題は、ボルタレンの「心臓毒性」に特化したもので、そして「日本人が特に危ない」とされたものです。

この論文を比較的わかりやすく説明していた医療メディアの記事をご紹介させていただきます。

論文も記事もすべて「ジクロフェナク」となっていますが、日本ではわかりにくいですので、製品名のボルタレンとします。

なお、日本では、ボルタレンは飲み薬だけではなく、湿布や軟膏なども市販品であります。




 


一般的な鎮痛剤の隠れた危険性が明らかに - ボルタレンの使用により数百万人が危険にさらされている

Pharma News: A Common Painkiller's Hidden Danger Uncovered - Millions at Risk From Using Diclofenac
Thailand Medical News 2023/05/01

新しい研究により、広く使用されている鎮痛剤ボルタレンの驚くべき副作用の背後にある潜在的な理由が明らかになり、何百万人もの人々が重度の合併症の危険にさらされている。

薬物の代謝に関与する酵素が、心臓の損傷を含む深刻な健康への影響をもたらす重要な要因である可能性がある。

この画期的な研究で、科学者たちは、ほとんど理解されていない薬物代謝酵素である UGT2B17 の遺伝子と、ボルタレンに関連する重篤な副作用との間の重要な関連性を発見した。

この発見は、危険にさらされている個人を特定し、特定の人口統計グループに合わせてより安全な投薬ガイドラインを調整する道を開き、数え切れないほどの命を救う可能性がある。

関節炎の患者に人気のある消炎鎮痛剤のボルタレンは米国では 2013年まで市販薬として販売されていた。

その後、アメリカ食品医薬品局 (FDA)は、ボルタレンが心臓障害を引き起こす可能性があるという証拠が増えたとして、その使用を、医療機関からの処方のみに制限した。

それにもかかわらず、米国では年間 1,000万件を超えるボルタレンが処方されており、アジア、アフリカ、中東では依然として一般的な市販薬だ。

この鎮痛剤は、何百万人もの関節炎患者たちに危険をもたらし続けており、その多くはすでに心臓病の危険にさらされている。ボルタレンを摂取すると危険性が増し、心臓発作や脳卒中の可能性が高まる。

このワシントン州立大学の研究チームは、ボルタレンの代謝の際に、重要な酵素 UGT2B17 の発現が大きく異なることを以前に発見していた。

この酵素 UGT2B17 の存在は、男性と比較して女性で低く、おそらく女性患者の心臓損傷のリスクが高いことを説明している。

また、9歳未満の子供には UGT2B17 は事実上存在せず、人種によっても、重大な違いを示している(※ 日本人が最も欠失しています)

この研究で、研究チームは、人間の肝臓と腸のサンプルをコンピューターベースのモデリングとともに利用して、ボルタレンの代謝への酵素の寄与を定量化した。

彼らは、UGT2B17 が主要な役割を果たしていることを発見し、この酵素が低レベルの場合、薬物に関連する心臓の損傷の原因となる可能性があることを示唆した。

この画期的な発見により、特定の個人がボルタレンによる心臓毒性を経験する理由が明らかとなった。

興味深いことに、研究チームは、肝臓で活性な他の関連酵素とは対照的に、酵素 UGT2B17 が主に「腸」でボルタレンを代謝することを発見した。

この革新的な発見は遺伝子検査の実施につながる可能性があり、医療提供者はボルタレンを処方する前に、個人の UGT2B17 レベルの検査で、安全性リスクを評価することができる。







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