大量死 最期の食糧危機 異常気象

5月の北米で異常な寒さが続き、カナダとアメリカの一部では作付けが5月になっても始められず、アメリカでは穀物備蓄が大幅に低下する予測も

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アメリカなどの北米で、現在、農作に関しての大きな問題となっているのは「干ばつ」ですが、今年の春は気温も異様な状態が続いています。

干ばつから連想するのは気温の高い状態なのですが、そうではなく、例年より非常に気温が「低い」地域が多いのです。そして、それらの多くが穀物生産地帯でもあります。

4月中旬の以下の記事で、北米の異様な春の寒波について取り上げましたが、異常な寒波はいまだに続いていることが報じられています。

 

[記事] 北米の異様な「春の大寒波」はアメリカとカナダの85%以上の地域に達する。米北部では4月中盤以降も降雪が続く見込み
 投稿日:2022年4月15日

 

カナダのバンクーバー島では、雪と寒さのために、5月に入っても作物の植え付けができる状態にならず、まだ植え付けが始まっていないようです。

以下のように書かれていました。

バンクーバー島では畑で植え付けが始まっていない

FIELDS REMAIN UNPLANTED ON VANCOUVER ISLAND
electroverse.net 2022/05/06

「間違いなく平年以上に湿った春です。湿気と低温がひどい」

カナダ・ブラッククリークにあるクレバークロウ農場のブライアン・マコーミック氏はこのように語った。

近くのコートネイでは、ジェリー・マクリントック氏のベリーの収穫は予定より数週間遅れているが、彼の主な事業である 180頭の水牛はまだ納屋に閉じ込められている。平年なら水牛たちはすでに草地に出ていたはずだったとマクリントック氏は嘆いた。

「私は 34年間農業を続けてきましたが、今の時期にこれほど長い間湿っていて、そして、これほど寒かったことを思い出すことができません。この天候の結果、水牛たちの飼料(本来は牧草地の草)が不足しているため、飼料を購入しています。寝具もほぼ不足しているので、良い春ではありません」

ブドウ生産者たちもひどく苦しんでいる。コモックス市近郊の40ノットワイナリーの共同所有者であるレイン・ロバート・クレイグ氏は、彼のブドウの木は予定より数週間遅れて芽を出し始めたばかりだと語った。問題をさらに悪化させているのは、世界的な不足のために、ほとんどの生産者たちが、この春に肥料を与えることさえできなかったということだ。

 

このような状態が、カナダとアメリカのかなりの地域に広がっているようですが、問題が、気温と天候の問題だけではなく、

・肥料不足

・除草剤と農薬不足

・エネルギー価格の高騰

も重なっていて、このようなことを経験したことのない生産者たちが多いと報じられています。

農薬や除草剤に関しては賛否があるかもしれないですが、現在のアメリカの大規模農業は「農薬/除草剤使用が前提となっている」方法ですので、この不足もまた深刻な作物への影響を出すと見られます。

しかし、農薬以前の問題として、5月として異例の寒さの中で、とにかく作付けが遅れている。

この結果、現時点でのアメリカの穀物の備蓄が低い状態となっていまして、以下は、昨年、そして2年前との、トウモロコシ、大豆、小麦、オート麦、綿、カノーラ、ソルガム、大麦の備蓄量の比較です。2020年と2021年は、最終的な備蓄量です。

2022年の分は最終的な備蓄量ではないとはいえ、今後、低くなりそうなものが目立ちます。


アメリカ農務省

 

以下は、アメリカの「トウモロコシの植え付けの進行状況」を示したマップです。「0%」とある州では、「まったく植え付けが始まっていない」ことを示します。

2022年5月2日現在のアメリカのトウモロコシの植え付け進行状況マップ

アメリカ農務省

 

「0%」とあるうちのひとつは、以下の記事で、4月の中旬に吹雪に見舞われていたノースダコタ州ですが、5月2日の時点でも、まだ作物の植え付けが始まっていないようです。

 

[記事] アメリカ北部の主要な穀倉地帯が歴史的な春の猛吹雪と寒波に見舞われる。ノースダコタ州では1メートルを超える積雪と氷点下30℃に近い気温になる場所も
 投稿日:2022年4月14日

 

これについては、報道で以下のように記されています。

残念ながら、アメリカの多くの主要な穀物生産州で植え付けの遅れが増えている。

今の時期であれば、まだ、今後十分な量のトウモロコシを植えることができるという希望はあるが、現時点では、作物がまったくない日が増えるごとにに、収穫量に悪影響を受けている。

5月の第 3週までに種蒔きや作付けが始まらなければ、それはゲームオーバーを意味する。

これらの気象条件による植栽の遅れに加えて、アメリカの生産者たちには、肥料と農薬、そして除草剤が不足している。

窒素、リン、カリウムは、肥料として食糧を生産するための鍵だ。肥料がないと、収穫が大幅に低下する。同様に除草剤/農薬は、これらの投入がなければ、現代の化学物質に依存する農業は失敗する運命にある。

結論として、現時点の状況からは、アメリカの食糧不足の不安は増すばかりだ。

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アメリカから多くの穀物を輸入している日本も、今後のアメリカの穀物収穫状況次第では、今年の後半から来年に向かって、厳しい局面になることもあり得るかもしれません。







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