最期の食糧危機 気になるニュース 異常な現象

「ウクライナの今年のトウモロコシ収穫量が3分の1急落する可能性がある」と黒海の調査会社が発表。ただし、これは「最良の推定値」

投稿日:2022年3月17日 更新日:


Corn field sunset




 

最近、食糧関係の記事が多くなっていますが、私が生きてきた間で、ここまで食糧に対しての緊張が世界中で高まっているのを見たことないためでもあります。

戦後という時間的な括りでいえば、現在のように、

 

・供給源からの輸出の減少や途絶

・サプライチェーンの混乱

・肥料の極端な不足

 

がすべて一気に訪れたのは、今回が初めてなのではないでしょうか。サプライチェーンの混乱は、コロナ以来から続いているものです。

今回は、すでに穀物と肥料の輸出を禁止しているウクライナの話です。

ウクライナの今年の収穫予測が壊滅的なことになっていることが調査会社により発表されています。

[記事]世界第5位の小麦輸出国であるウクライナが、小麦を含む「すべての穀物の輸出を禁止」する緊急命令を発表
 投稿日:2022年3月10日

[報道] ウクライナが肥料の輸出を禁止
 投稿日:2022年3月17日

 

この黒海の調査会社によると、今年のウクライナの穀物収穫量が昨年より大きく減少する推定値が出されており、特に「トウモロコシ」の収穫量は昨年から3分の1低下すると報告されていたことが報じられています。

この数値自体大きなものですが、ただ、この調査会社の推定は、ロシアがウクライナとの停戦の協定に達し、作付け期である 4月までにウクライナの農家の人たちが農作業を開始できるとした上でのもので、仮に「停戦に達しなかった場合」あるいは、種や肥料などの不足が生じた場合、さらに収穫が減少する可能性があります。

 

そうなった場合、穀物価格はさらに上昇する可能性があり、またトウモロコシは、飼育動物の主な飼料でもあり、以下の記事のポルトガル豚生産連盟の話にありますように、「すでに動物用の飼料が不足してきている」国や地域もあるようです。

[記事] ポルトガルで食糧配給が検討される:「今後の食糧貧困は、見たことのないレベルに達するでしょう」
 投稿日:2022年3月17日

 

このような予測のまま進みますと、穀物と共に、食肉類についても高騰あるいは不足、何より飼育農家の負担が大変高くなるということもあります。

このウクライナの今年の収穫量についての報告の記事をご紹介します。


現在の推定値では、今年のウクライナのトウモロコシの収穫が3分の1急落する可能性がある

Ukraine's Corn Harvest May Plunge By A Third, Estimates Show
zerohedge.com 2022/03/17

黒海の調査会社 SovEcon は、 世界有数の穀物輸出国の 1つであるウクライナが、ロシアの侵略により、2022年の収穫年に劇的な生産量の減少を経験すると予測されると報告した。

ウクライナの主な農産物はトウモロコシと小麦だ。侵略前、ウクライナは欧州連合にとって 2番目に大きな穀物供給国であり、アジアとアフリカの新興市場にとって最大の供給国の 1つだった。

これまでの数字を分析すると、ウクライナは世界のひまわり油の 49.6%、世界の小麦の 10%、世界の大麦の 12.6%、世界のトウモロコシの 15.3%を生産した。

SovEcon は、ウクライナの 2022年のトウモロコシの収穫量が昨年の 4,190万トンから今年は 2,770万トンに 35%急落すると予測している。小麦の推定収穫量は、昨年の 3,210万トンから、2,600万トンになると推定している。

農業市場を専門とする SovEcon は、紛争の影響を受けた地域は、ウクライナのトウモロコシと小麦の生産量の 40%を占めると述べた。

彼らは、植栽と収穫量は、燃料不足、労働者と肥料の不足、そして紛争による農作業等への影響等の課題を受けるだろうと述べた。また、干ばつの気象要素が小麦生産地域に影響を与える可能性がある。

しかし、調査会社のこの推定値は、ロシアがウクライナとの停戦協定に合意し、春が近づいている 4月までに農家の人たちが農作業を開始できるということを前提としたものだという。

仮に、休戦とならずに、紛争が激しさを増した場合、または何らかの理由で、設備、燃料、種子、肥料、労働力の不足により、一部の地域での正常な農作業の開始ができない場合はどうなるのだろうか。

そのような場合は、ウクライナの収穫量は SovEcon の現在の見積もりよりもさらに低くなる可能性があり、世界の食料価格をさらに高くする可能性がある。国連は、世界の食料価格 が現在の水準からさらに 8〜 20%上昇する可能性があると予測している。

一方、ウクライナは、 小麦やその他の商品の輸出を禁止することにより、国内の食料供給の安定を確保するための保護貿易主義的措置を実施している。この動きは世界的な食料価格の上昇をもたらし、食料需要をウクライナに依存している国々では、食糧不足を経験する可能性がある。

小麦価格の高騰により、暴動の発生の可能性が予測されている国々もある。

また、専門家の以下のようなツイートがある。

2022年のウクライナの収穫量が、昨年の半分に減少する可能性があることを示唆する信頼できる見積もりがある。 ウクライナの場合、その生産量が 10%減少したとしても、世界の飢餓と食糧供給安定に大きな影響を及ぼす。

食料安全保障は国家安全保障そのものだ。
Nathan Carson


 

ここまでです。

なお、記事の中に、

> 小麦価格の高騰により、暴動の発生の可能性が予測されている国々

とありますが、これは、小麦の輸入をウクライナに大きく依存している国々ということで、こちらにブルームバーグによるグラフがありますが、以下のような感じです。

 

ウクライナからの小麦の輸入量が多い国のランキング

・エジプト   6億1000万トン
・インドネシア 5億4000万トン
・バングラデシュ 2億9000万トン
・パキスタン  2億5000万トン
・トルコ    2億トン
・モロッコ   2億トン
・チュニジア  1億9000万トン
・イエメン   1億4000万トン
・レバノン   1億3000万トン
・フィリピン  1億2000万トン

 

現在、すでにウクライナからの小麦の輸出は禁止されていることもあり、これらのような国では、かなり早い段階で問題が発生するかもしれません。

しかし、結局この問題は世界全体に広がります。

それまでにどのくらいの期間がかかるのかはよくわかりません。







-最期の食糧危機, 気になるニュース, 異常な現象
-, ,

Copyright© 地球の記録 - アース・カタストロフ・レビュー , 2024 All Rights Reserved.