理由は「毒性試験が存在しない」ため
英国政府の医薬品規制当局が、8月16日に、ファイザー社ワクチンに関しての評価レポートを公開しました。
そこには、
・妊娠中の女性への安全が保障されていないので接種するべきではない。
・授乳中の女性もワクチン接種を受けるべきではない。
と明確に記されていまして、まあ、いろいろと含みのある話とはいえ、英国は、主要国で公的に「妊娠した女性と授乳中の女性へのファイザー社ワクチン接種を禁止した」初めての国となりました。
公開評価レポートは以下にあります。
COVID-19 ワクチンに関する公開評価レポートの概要 Pfizer/BioNTech
Summary of the Public Assessment Report for COVID-19 Vaccine Pfizer/BioNTech
医薬品およびヘルスケア製品規制当局 2022年8月16日
文書の冒頭に、
> これは COVID-19 mRNAワクチン BNT162b2の評価レポートの概要です。
とあり、ここに「 BNT162b2 」とありますので、つまりこの型番は、これまで日本でも展開されていたファイザーワクチン「コミナティ筋注」そのものです。
この書類の「 3.4 毒性試験」の「結論」に以下のように記されています。
結論
生殖毒性データが存在しないことは、COVID-19 mRNAを最初に特定して選択する開発の速度を反映しています。臨床試験用のワクチン BNT162b2 と、現在進行中の緊急の健康ニーズを満たすための急速な開発によるものだと思われます。
原則として、動物での生殖毒性試験からのデータがなくても、ワクチンの認可に関する決定が、このような状況で行われる可能性はありますが、進行中の研究があり、それは利用可能になったときに提供されます.
174項に基づく供給の文脈では、現時点では、妊娠中の女性にワクチンを安全に使用することを十分に保証することはできないと考えられます。
ワクチン接種前に妊娠が判明、または妊娠疑われる場合は、接種を受けるべきではありません。同様に、授乳中の女性もワクチン接種を受けるべきではありません。
これらの判断は、現時点でのデータがないことを反映しているものであり、特定の懸念事項を反映したものではありません。
この結論の前には、以下のような概要が記されています。
(英国政府のレポートより)
遺伝毒性
BNT162b2 の遺伝毒性研究は計画されていません。なぜなら、すべてのワクチン構築物の構成要素は、遺伝毒性の可能性があるとは予想されない脂質と RNA だからです。
生殖発生毒性 / 生殖能力と初期胚発生および胚胎児発生
一般的な毒性研究では、オスとメスの生殖組織の肉眼的および顕微鏡的評価では、毒性の証拠は示されませんでした。ラットにおける受胎能と発育に関する複合試験(催奇形性および出生後の調査を含む)が現在進行中です。
母体機能を含む出生前および出生後の発達
そのような研究は行われていません。
局部公差
そのような研究は行われていません。一般毒性試験の一部として行われる評価で十分であり、別個の試験は必要ありません。
その他の毒性試験
そのような研究は行われていません。
そんなわけで、いろいろとおこなわれていないのですが、この後に先ほどの「結論」に続きます。
この「いろいろな毒性試験がおこなわれていない」ことについては、昨年の日本の特例承認書でも同じ内容でしたが、「日本は、妊娠している女性や授乳中の女性への接種が奨励した」ということになっていました。
ファイザー社ワクチンの厚生労働省部局による昨年の特例承認書は、以下の記事でご紹介しています。
[記事] 厚生労働省の医薬品部局による「コロナワクチン特例承認」書類で知る「闇」(というか本当に黒い部分が多いので)。蒙昧なその内容を皆様もご覧ください
In Deep 2021年6月22日
ただ、英国で 2020年末から展開されたアストラゼネカ社のワクチンについても、ほとんど「同様」だったと記憶しています。
そもそも、アストラゼネカ社ワクチンは、
「臨床試験から妊娠中の女性と、授乳中の女性を原則、除外していた」
ので、娠中の女性と、授乳中の女性に対しての影響がわかるはずがないのです。
以下は、厚生労働省部局による昨年のアストラゼネカ社ワクチンの特例承認書の 76ページからの抜粋です。太字はこちらでしています。
厚生労働省部局による昨年のアストラゼネカ社ワクチンの特例承認書より
7.R.3.3.3 妊婦における安全性について
妊婦に対する安全性について、申請者は以下のように説明している。
併合解析に含まれた海外 4 試験では、妊娠中、授乳中又は妊娠を希望する女性は除外し、妊娠可能な女性は有効性の高い避妊法を継続して使用することを必須とした。
併合解析の主要解析時点では、妊娠が 40 例(本剤群 24 例、対照群 16 例)に認められた。妊娠中絶は本剤群 4 例及び対照群 3 例、自然流産は本剤群 4 例及び対照群 3 例に認められた。
妊娠中の女性での本剤接種、本剤接種後に妊娠した女性及び授乳中の女性における本剤接種のデータは限られているが、すべての妊娠について、転帰が確認されるまで追跡調査を実施する予定である。なお、本剤の生殖発生毒性試験において特段の懸念は認められていない。
グレーというより、いろいろと真っ黒ではあるのですが、いずれにしましても、今に至って英国ではファイザー社ワクチンに関して、妊娠している女性と授乳中の女性への接種は禁止となったようです。