2020年 1月7日、イラン政府は、アメリカ軍によるイラン革命防衛隊の司令官の暗殺に対する報復として、イラクの米軍基地に対してミサイル攻撃を行いました。
これにより世界は大変な緊張に覆われたのですけれど、そのイランによるミサイル攻撃が行われた数時間後、イランで唯一の原子力発電所である「ブーシェフル原子力発電所」付近で比較的大きな地震が発生しました。しかも、その翌日の 1月8日にも、同じ場所で地震が発生したのです。
ブーシェフル原子力発電所の位置と、この地震の震源の位置を照らし合わせますと「ほぼ原発のある場所で地震が起きた」ことがわかります。
ブーシェフル原子力発電所の位置と1月7日と8日の2つの地震の震源
・Google Map
ブーシェフル原子力発電所
・Google
震源となった場所では、昨年 12月27日にも、マグニチュード 5.1の地震が起きていまいして、10日くらいの間に、原発のある場所で 3度の比較的大きな地震が起きたことになります。
現時点では、被害などの報告はないようですが、イランでは従来、マグニチュード 5クラスの地震でも大きな被害が出ることが多く、昨年 11月にも、マグニチュード 5.9の地震で、5人が死亡しています。
仮に、もう少し規模の大きな地震が同じ場所で発生しますと、危ういことになる可能性もあります。
タイミングとして微妙な地震の発生の仕方ですので、何かと話題となっています。
アメリカの CNN の記事をご紹介します。
Two earthquakes strike near Iran nuclear plant
CNN 2020/01/08
イランの原子力発電所の近くで2つの地震が発生
1月7日の朝、イラン南西部にある原子力発電所の近くで 2回の地震が発生した。この場所では、わずか 2週間前に、やはり大きな地震が起きたばかりだ。
アメリカ地質調査所(USGS)によると、最初の地震は、マグニチュード 4.9で、ブーシェフル州の現地時間の午前 9時直前に発生した。
約 30分後、今度はマグニチュード 4.5の 2回目の地震が、同じ州で起きた。
これらの地震の震源は、イラン唯一の原子力発電所であるブシェール原子力発電所の近くだった。この同じ地域では、マグニチュード 5.1の別の地震が 2週間前に起きている。
イランにとって、この 1月7日は劇的な日でもあった。先週の米軍によるイラン司令官の暗殺に対する報復として、イランは、米軍を収容する 2つのイラクの基地に対して数十発のミサイル攻撃を行った日だった。
そして、ミサイル発射のわずか数時間後に 2つの地震が起きた。
ブシェール原子力発電所は、2010年8月に稼働を開始した施設で、これはイラン初の原子力発電所であるだけでなく、中東で最初の民間原子炉でもある。
イランは、アラビアプレートとユーラシアプレートの間の主要な断層線上にあり、過去に多くの地震を経験している。
2017年11月には、イランとイラクの国境付近で発生した地震により、少なくとも 452人が死亡した。
今世紀で最悪の地震は、2003年にイランで発生した。マグニチュード 6.6の地震がイラン南東部の都市バムを襲い、約 2万6000人が死亡した。