戦争の時代 最期の食糧危機 異常な現象

習近平氏が中国の大学生たちに「卒業後は都市から田舎に行き、農業に従事すること」を正式に奨励

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毛沢東時代の中国で展開された「山へ行け田舎へ行け運動」の政治宣伝ポスター。 rfa.org




 

新しい「山へ行け 田舎へ行け運動」

最近、In Deep に以下の 中国に関する記事を書かせていただきました。

[記事] 「霊的洗礼」の中で中国の文化大革命は続く:ディストピアの末にたどりついた「世界一幸福な国」で進む毛沢東時代への回帰
In Deep 2023年5月23日

[記事] 中国もアメリカも不動産セクターはもはや瀬戸際に。世界一位と二位のこの大国の不動産が「同時期に」崩壊した場合、世界は一体どうなる?
 In Deep 2023年5月25日

 

中国というか、習近平国家主席が「明確に毛沢東時代の文化大革命を目指している」ということが鮮明になってきているわけですが、その後、中国語版のラジオ・フリー・アジアの記事を偶然見まして、習近平氏が、中国の若者に、

「田舎に行きなさい」

と呼びかけているという報道を知りました。

ラジオ・フリー・アジアによれば、中国は、毛沢東時代に、「山へ行け 田舎へ行け運動」というものが展開されていたそうなのですが、それと同じことを述べたようです。

 

なお、現在、中国では、「若者の失業率」が 20%と過去最多となっていますが、中国でも大学を卒業する人の数は非常に増えていて、2023年度の卒業者数は 1158万人に上ることが伝えられています。それでもこの失業率で、先行きも難しい部分もあります。

(記事) 中国の若者(16-24歳)の失業率が過去最高の20パーセント超 (2023/05/17)

2018年-2023年4月までの中国の若者の失業率の推移

zerohedge.com

こういう若者の失業率の高さの問題も、習近平氏の発言と関係しているのかもしれないですが、それでも、むしろ「毛沢東時代への回帰への決意」の気配のほうを強く感じます。

先ほどリンクしました記事「中国もアメリカも不動産セクターはもはや瀬戸際に…」などで記したような中国の不動産危機、あるいは金融危機が拡大したとすれば、若者たちの失業率はさらに高くなる可能性があります。

その場合、選択の余地なく、政府の奨励通り、大学を卒業した都会の若者たちが田舎へ行くという選択だけになる場合もあり得ます。

しかし、なんかこう……中国の経済の縮小あるいは、場合により崩壊というのも「どこか意図的な感じ」もしないでもないです。

欧米の経済と金融の崩壊にも、意図的な側面を感じないでもないのですが、「経済が崩壊したほうが統制しやすい」という面は一部にはあります。ないとは思いますが、仮にアメリカがデフォルトに陥った場合、意図的にも見えます(良い悪いはともかく、止められるものではあるので)。

よくわからないですが、中国という国は、予想以上に、毛沢東時代へ猛進しているのかもしれません。もちろん、自由意志で田舎へ行きたい若者たちもいるでしょうが、大学まで行った中国の若者たちは、多くが都会での活躍を望んでいるわけですが、その人生の全体象が文化大革命と共に変化していく可能性がありそうです。

農業がイヤな場合は軍隊へ、というような選択だけのような世界ですね。

習近平氏は、自らの理想の実現のためには、もしかすると「力づくで自国の経済を崩壊させる」という方向さえ選択するかもしれません。

ラジオ・フリー・アジアの報道をご紹介します。




 


習近平国家主席が中国の若者に「困難を求める」ために田舎に行くよう奨励

习近平鼓励中国青年走进乡土"自找苦吃"
rfa.org 2023/05/05

5月4日の、中国の「青年の日」の前夜、中国国営メディアは中国の指導者である習近平氏が大学生に宛てた返信書簡を掲載し、新時代の中国の若者たちは田舎に行き、「自ら苦難を求める」精神を持つべきだと述べた。

一部の学者たちは、習近平氏には低迷する経済を押し上げる能力がないと嘆き、文化大革命中に教育を受けた若者たちに山や田舎へ行くことを奨励した毛沢東の不可解な政策同様の言及しかしておらず、これは文明を嘲笑していると非難している。

中国国営の新華社は 5月3日、「中国農業大学小規模科学技術学院の学生への習近平の返信書」を引用し、習主席が 5月4日の青年節に向けて青少年に祝意を表明したと報じた。

報告書は、習近平氏が書簡の中で学生たちに次のように返信したと述べた。

「あなたがた若者たちは、中国の田舎の奥深くに入って初めて何が事実から真実を求めるのか、また大衆とどのようにつながるのかを深く理解できる」

「新時代の中国の若者たちは、苦労を求める精神を持つべきだ」

習近平国家主席が中国農業大学科学技術院の学生に宛てた返信書(中国政府公式サイト)

 

文化大革命研究の専門家で、カリフォルニア大学名誉教授のソン・ヨンイ氏は 5日、ラジオ・フリー・アジアに対し、「これは完全に文化大革命時代の人民の洗脳と隠蔽政策だ。これは毛沢東時代の政策そのものだ」と語った。

1950年代から1978年にかけて、中国は「山へ行け田舎へ行け運動」を展開し、都市部で教育を受けた何百万人もの若者が田舎での労働に強制参加させられた。

「毛沢東時代、教育を受けた若者たちは田舎に送られ、教育を受けた若者が農民に変えられ、若者の知識レベルは低下した。若者たちに対して、毛沢東は、苦難に苦しむことは理想と野心の現れであると伝えたが、苦しみがないところに苦しみを作り問題を見つけるというようなことは、人類の文明を嘲笑するものだ」とソン・ヨンイ氏は述べる。

新華社通信によると、毛沢東と同じように習近平主席は書簡の中で以下のように述べたと報じた。

「中国共産党第 20回党大会は強い農業国の建設に向けた取り決めを行った。学生たちが高い志を持ち、現実的であることを期待する」

「学問と農村実践を密接に結びつけ、農業への愛着を育み、農業を活性化する力を実践し、農村活性化の大舞台で貢献し、若い力で農業・農村の近代化を加速し、総合的に社会主義国としての近代社会を構築する」

 

ソン・ヨンイ氏は、習氏と毛沢東は、高い教育を受けた若者たちを田舎に投じることを望んでおり、これは低いレベルの文明的活動により若者たちの生涯を無駄にしていると述べた。

これは人類の文明や科学技術の発展に逆行するものだ。習近平氏は逆行しており、過去 30年間積み上げた改革開放の成果を 10年以内に使い果たしており、その弊害は間もなく現れるだろうと述べる。

中国 CCTV は、中国農業大学科学技術院の学生代表が習近平総書記に書簡を送り、強い農業国の建設に貢献するという固い決意を表明したと報じた。

新華社通信の報道によると、習近平氏は冒頭の返信書で「問題を解決するために学校が設立した小さな科学技術研究所を通じて学生たちが田畑や村に赴いていることを知り、大変うれしく思う」と述べたという。

新華社はまた、習近平氏の返信書は「強い反響」を呼び、「総書記からの返信書を受け取った後、学生たちは非常に興奮し、励まされた」と称賛した。

中国国家統計局は、今年 3月の中国の 16~24歳の若者の失業率が 19.6%に達したと発表した。今年、中国の大卒者数は過去最高の 1158万人に達したが、若者の失業率が再び上昇する可能性がある。

呉建中氏は、王岐山・元中国副主席が、「中国は厳しい生活を送ろうとしている」と警告したことに言及した。習近平氏を除いて、中国全土と全世界は、中国経済が急落し、中国の技術革新と産業変革が深刻な後退を経験し、全世界が中国を包囲していることを知っている。

呉建中氏は、農民が村に追い戻されれば、いわゆる「失業問題はなくなるだろうが…」と述べ、しかし、田舎と美しい田園地帯を活性化するという計画は立派だが、実際には中国共産党は失業率の問題を歪曲し隠蔽するために利用していると述べた。

中国は 10年以上にわたって「三支一支援」計画 (※ 中国の草の根実施政策であり、大学生が卒業後、地方に赴き、地元民と共に農業、教育、医療、貧困緩和の支援に従事すること)を推進しており、大学卒業生を少数民族地域や国境地域、村落に派遣して「復興と支援」を支援しており、これを運動2.0と呼ぶ人もいる。

呉建中氏は、すべては習政権が失業対策に苦戦していることを反映していると考えている。







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