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米国の新型コロナウイルスの感染数は「公式の数値より50倍から80倍高い可能性がある」と大規模な抗体検査を行った米スタンフォード大学の研究者が述べる

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AP




 

アメリカでの感染拡大が収まるところを知りません。4月18日までの時点で、公式な発表では、感染確認数が 71万人を超え、死亡者数は 3万7000人を超えています。

これだけでもかなりの数ですが、カリフォルニア州のサンタクララ郡で、3000人規模となる初めてとなる大規模「抗体テスト」がスタンフォード大学によって行われ、その結果、

「検査した人の 2.5〜 4.2%が抗体を持っていた」

ことがわかりました。

これが意味するところは、たとえば、人口 200万人のこの郡では、

「 4万8,000〜8万1,000人の過去の感染経験者がいる」

という計算になるのです。

あるいは、もっと範囲を大きくして考えれば、たとえば、人口 4000万人のカリフォルニア州には「 100万人から 160万人程度の感染経験者がいる」ということにもなるかもしれないのです。そして、これが、人口 3億人を超えるアメリカ全土の規模で考えるなら…。

このテスト結果を受けて、調査をしたスタンフォード大学の科学者は、

「アメリカでは公式に報告されているより 50倍から 80倍多い感染があった可能性があります」

と述べています。

何しろ、発症しない人の多い感染症ですので(こちらの報道では、約 60%が発症していません)、どのように感染が拡大しているのかわかりにくいものなのです。

症状があまり出ないことが事態を複雑にしている部分もある新型コロナウイルスですが、それを報じたアメリカ ABC ニュースをご紹介します。

 


 

抗体の研究は、新型コロナウイルスの感染は、報告されている数より、はるかに広まっている可能性があることを示す

Antibody research indicates coronavirus may be far more widespread than known
ABC News 2020/04/18

アメリカ社会を正常に戻すための将来への重要な問題としては、どのくらいのアメリカ人が新型コロナウイルスへの抗体を保持しているか、あるいは免疫で保護されるかということがある。

カリフォルニアの 2つの研究チームが、ボランティアの軍隊の援助により、この免疫と抗体の問題に答えるために着手した。その最初の結果は、意外なものだった。

カリフォルニア州サンタクララ郡で 3,300人を対象にした最初の大規模なコミュニティテストでは、テストされた 2.5〜 4.2%が抗体陽性であることがわかったのだ。

これは、公式に報告されている数よりも、過去に新型コロナウイルスに感染した人の数が、はるかに高いことを示唆している。

このデータに基づいて、研究者たちは、ウイルス感染した可能性のある人の範囲は、人口 200万人のサンタクララ郡で 4万8,000人から 8万1,000人であると推定した

研究を主導したスタンフォード大学医学部のエラン・ベンダヴィッド(Eran Bendavid)准教授は以下のように述べた。

「この調査結果は、私たちのサンタクララ郡では、公衆衛生部門によって報告されたものよりも多くの症例があったことを示唆しており、アメリカ全体でも、公式の数値より 50倍から 80倍多い感染がある可能性を示しています」

この結果に対し、ボストン小児病院の疫学者であるジョン・ブラウンスタイン博士(Dr. John Brownstein)は、カリフォルニア州の結果は、必ずしもアメリカ全体の感染傾向を表すものではないと警告している。しかし、ブラウンスタイン博士は、この結果から「私たちが予測していた以上に多くの感染事例があるということを示しているとは思います」と述べる。

抗体検査は、アメリカがいつ正常な生活に戻ることができるかを判断するためのツールとして、公衆衛生の専門家からしばしば提言される。過去にウイルスにさらされたかどうかを判断することにより、どのくらいのアメリカ人が抗体、免疫を持っているかが示されるためだ。

しかし、抗体を持っている場合でも、それが長期の免疫となるいう保証はない。しかし、抗体を持つ人がある程度の免疫保護を獲得することを医療関係者たちは望んでいる。

ベンダヴィッド准教授は、2.5〜 4.2%が抗体を持っているということは、逆にいえば、「調査した郡の大部分の約 95%の人にはまだ抗体がない」ことも意味する。

この調査を受けて、アメリカ社会が正常に戻る機会を探ることが厳しい選択と共にあることが示され始めている。







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