・学術誌プロスワンより。 journals.plos.org
ブラジルで、デング熱のような症状を持つ患者たちからの血漿から、「ヒトでは同定されたことのない未知の新型ウイルス」が検出されたことが報じられています。
これは、アルボウイルスというカテゴリーのウイルス感染症の症状を示していると、発表された学術誌プロスワンには記されていますが、アルボウイルスというのは、「蚊」などが血液を通してウイルスを媒介する感染症のことで、デング熱やジカウイルス、ウエストナイルウイルスなどを含めて、世界中にさまざまな疾患があります。
ブラジルで発見された未知のウイルスは、症状は、デング持つのようなアルボウイルス感染症と似たものですが、これまでヒトからは検出されたことがないウイルスのようです。
南米では、数年前にも「ジカウイルス」などの流行がありましたが、また新型の何かのウイルスが登場したのですかね。
なお、プロスワンにある患者の年齢分布を見ますと、「 10歳以下の子どもの患者が多い」ことが気になります。しかも、子どもの患者の3分の2が女の子となっていました。
ある地区の患者の年齢と性別
・journals.plos.org
ブラジルでは、今年 1月に「まったく知られていない遺伝子で構成されている未知のウイルス」が発見された事が報じられていたことがあります。
2020年2月のアメリカの報道より
・futurism.com
新しいウイルスは、日々見つけられているものでもありますので、それほど異常なことではないのですけれど、実はこの数年は、新しいウイルスの発見が極端に増加していまして、
・2016年までに発見されたウイルスの数 1万5,222種
だったのが、
・2019年までに発見されたウイルスの数 19万5,728種類
と、この3年ほどの間に、新しいウイルスの発見が急激に増えています。
ちなみに、知られているウイルスの中で、人間に感染するウイルスは、約 1,000種ですが、今回、ブラジルで見つかった新型ウイルスは、実際に人々に感染していますので、「ヒトに感染するウイルスの種類がまたひとつ増えた」ことになるのかもしれません。
このブラジルの新型ウイルスについて報じていた記事をご紹介します。
ブラジルの感染症患者から珍しい新型ウイルスが検出
Rare Novel Viruses Appear In Patients In Brazil
thailandmedical.news 2020/04/18
ブラジルの北部地域において、デング熱やジカ熱に似た症状(高熱、激しい頭痛、発疹など)があった患者たちから採取した血液サンプルから 2種類の新型ウイルスが見出されたことについてウイルス学者たちは警告している。
これらは、アンビデンソウイルス属とチャパルボウイルス属に属するふたつのウイルスで、この新型ウイルスの発見は、ジャーナルPLOS ONEに掲載されている。
ブラジルのサンパウロ大学医学部の研究員であり、論文の著者の 1人であるアントニオ・チャーリーズ・ダ・コスタ博士は、以下のように述べている。
「この属のウイルスは、昆虫、甲殻類、および他の無脊椎動物でのみ発見されていたもので、ヒトを含む哺乳類ではこれまで一度も報告されたことがありません」
コスタ博士は、異なる種のチャパルボウイルスが、他の哺乳類で報告されたことはあったが、ヒトで報告されたのは今回が初めてとなるという。
米バイタラント研究所の上級調査員であるエリック・デルワート博士は、これらの調査結果を参照しながら、ブラジルのこの地域の他の人々や、あるいは他の集団に新型ウイルスが存在するか、あるいは感染拡大のリスクがあるのかを調査する意向だと述べている。
デルワート博士は以下のように言う。
「これまでのところ、これらの新型ウイルスの感染が拡大していたり、またはヒトに対して病原性を持っているという証拠は見つかっていません。しかし、アンビデンソウイルスがヒトから検出されたということは科学的に興味深いものです」